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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、如月を暴走
371/410

371 とある朝の朝休みトラップ

 寒いわ。寒かったわ。……校舎の中も寒いわ。多少は暖かい事を期待してたのに。

 夕菜よ。

 学校に着いたところ、上靴に履き替えて階段を登って、四組の教室に……入れなかった。鍵がかかってるわ。

 ……あぁそうか、今日は私立入試だったわね。五組(空き教室、またの名をA教室)に集まれって昨日配られたプリントに書いてあったような無かったような。

 書いてあったということにして、開けてみ……開いてたわ。少しだけ、開きっぱなしになってる。

 全く、誰よ。暖気が逃げるじゃないの。暖房が点いているならの話だけど。きっと点いてるでしょ。

 ぼふっ

 ……黒板消し!? 誰よ、こんなの仕掛けたの! 小学生!?

「…………くくっ」

 純……しか居ない、じゃあ?

「くく、悪ぃ、まさかゆうが引っかかるとは思わなかった」

 ……楽しそうね。その薄笑い引っ込めて。

「小学生じゃないんだから……」

「ん、被害者の事を考えて、チョークの粉は落としておいてやったよ。中学生らしく」

「何処が中学生らしいのよ?」

「受身になって考えられる事、とか?」

 もうっ。

「まぁ、やっぱり多少は付くか。粉」

 やだ、付いてるの?

 払って……って、言う前にやってくれた。ん、じゃあ、少しは許すわ。

「じゃあ、セッティングしましょうか」

「黒板消しをもう一回か?」

「当たり前でしょ他に何があるって言うのよ」

 私だけが引っかかるなんて、絶対イヤよ。私は常に罠を仕掛ける側で居たいの。

「ねぇな」

 純……ほんと貴方、楽しそうね。また笑っちゃったりして。

「今日は随分テンション高いじゃない」

「ん? 俺はいたずらが好きだから、って理由でいいか?」

「充分よ。私もそうだから」

 ……あ、来たわ。

 がらっ

「んたっ」

 成功。

「誰だ黒板消しなんか仕掛けたのは! 小学生か! ベタか! 漫画か!」

「おはよう、古賀くん」

「うん? おはよう。……違うっ! 風見、お前か、これを仕掛けたのは。と言うかお前以外誰が仕掛ける!」

 あら、私ってどんなイメージなのかしら?

 純、俯いて肩を震わせているのは笑っているのね。えぇ、確かにさっきの『んたっ』の時の古河の表情は……ダメ、笑いが……。

「お前等、グルかっ!」

「そだよ」「そうよ」

 純とハイタッチ。それほど綺麗な当たり方してくれたのよ、古賀くんは。ちょっと上を向いてたから、額と目の上にぼふっ。そのまま後ろにのけぞって。何でそのまま倒れてくれなかったのかしら。

「んで、今日はまさか部長来てねぇよな」

 部長? ……あぁ、古賀くんってオカルト部を自称してる軍団の一人だったっけ。部長というと、針先さんね。

「部長は専願で私立を受けてる。ところで純……しののんは?」

「私立受けてる。併願で」

「む……そうか」

 残念そうねぇ。さて、もう一回仕掛けようかしら。

 今度は誰が……。

「暖房ちゃんと……あたっ?」

 あら、今度は牡蠣野先生?

「しまった。チョークの粉をびっしり付けておくべきだったわ」

「全くだ、ゆうはちょっとその辺への気配りが足りねぇな」

「それ気配りって言わない! 絶対言わない!」

「人の気配りを無にするようなことを言うな!」

「古賀! 突っ込み絶対間違ってる! そして教師をハリセンで叩くな!」

 哀れね、柿ピーも。あ、間違えた。牡蠣野先生も。

「せんせーい、そこ邪魔でーす。入れませーん」

 女子の一団のご到着。六人も一緒に歩いてて、車の邪魔にならないのかしら? イヤミじゃないからね。

「純、次はどうする。粉を付けるのか?」

「……え? 黒板消し? まだやるのか?」

「やんないのか!?」

「三人も見たらもういい」

 勝手ねぇ、王様? まぁ、私も二人見たら充分だけど。

「そういう訳で、一人でやりなさい」

「え……いや、これだけ人居る中で、俺だけトラップ用意してたらすごく浮かないか?」

「浮きなさい」

「そんな無責任な!」

 だって責任なんか無いもの。

「まぁ、止めねぇから」

「行ってらっしゃい」

 あい、とハイタッチ。そんな高いところでもないけど。だって純、初めっからずっと座ってるもの。

「仲いいなお前等。双子か」

「これ以上妹いらねぇよ」

 え? 私が妹なの?

「私、姉じゃないの?」

「どちらにしてもこれ以上兄弟いらねぇよ」

 あ、そう。

『……で?』

「え?」

 やるの? その黒板消しトラップ。

「……くっ。いいさ、俺一人でも」

 そうね、最初は純一人がやったんだもの。

「何やってんの、治也くん」

「小学生?」

「…………」

 最も、周りの環境はだいぶ違うけど。

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