364 豆まきしようや、大勢で
「節分だよ~!」
「節分!」
「……節分だ~」
鬼はー外ぉ、副はー内ぃ。
豆何処に置いてあるんだろう。
忍です。
学校から帰ったら、妹三人がもう節分気分マックスにして……。
ロールケーキを食べていました。
「なんでロールケーキ!?」
「恵方巻き~」
全然違うじゃん!
………………。
「もしかしてそれ、こないだ作ってた……えっと、光曰く太巻きのロールケーキ?」
「恵方巻きロールだもん!」
はーちゃんや、ロールって認めたね。いや、認めなかったら認めなかったでびっくりするけど。
「……もむもむ」
おいしそうだね、みーちゃん。
ピーンポーン
あれ、誰か来たー。
「はい?」
『村田ですけど』
「あぁ、村田? 美代? 帰れって?」
『そ』
「みーちゃーん、お兄ちゃんが帰れってよー。っつーか迎えてきてくれてるよー」
外暗くなってきてるもんね。
あれ、岳がまだ帰ってないけど……。まぁ大丈夫か。
「え~、みーちゃん帰っちゃうの~!?」
「豆まきやってないのにー!」
やるつもりだったんか?
「………………もーちょっと」
「とか言ってるけど」
『聞こえるか!』
インターホン越しだもんね。
「『もーちょっと』って言ってるけど? 豆まきやってないとも言ってる。なっくんの妹が」
『……入っていいか?』
「どーぞー。開けるし待って」
一時間ほど……は、可哀そうだからちゃんとすぐに開けてあげよう。
「こんばんは、豆まきは?」
「学校で豆食った」
「あぁ、何かやってたねぇ」
花咲とか田中さんとか一緒に。
……食べたから、何? まこうよ!
「美代ぉ!」
「……もちょと」
「駄目だ。父上に怒られんぞ」
「む」
みーちゃんが凄く悩んでる。
……最強の存在なんじゃないの、父上。豆まきとそんなに悩むことなのか。
「恵方巻き母上が作ってるからさ」
「だから?」
みーちゃん、その答えはあんまりだ。
「ただいまっ!」
あ、岳が帰って来たな。遅い!
「おじゃましまーす」
あれ? なんでゆうちゃん?
「お帰り純兄、なんでゆうちゃんが一緒に?」
「なんか知らんが流れで」
「そ、流れで」
どんな流れ?
「あら、もしかして恵方巻きのロールケーキ?」
なんで分かったんだ、ゆうちゃん!?
「今年は北北西向いて食べるのよ。食べ終わるまで喋っちゃ駄目、じゃなかったかしら」
「いいの~。所詮ロールケーキだから~」
光……散々『恵方巻き』って言っといてそれは無いんじゃないの。
「忍ー、春居るか?」
「居るよー。なっくん、お邪魔しますは言おう」
「お邪魔します。でも邪魔はしないから……」
『何て言えばいいんだろう』って悩まなくていいから。
「お邪魔しない、でいいんじゃない?」
ゆうちゃんもわざわざ言ってあげなくていいから。
「よしゃ、じゃあお邪魔しない」
『ばいばーい』
「えぇっ!?」
だってお邪魔しないんでしょ?
「鬼はー外ー!」
「俺は鬼か!」
グッジョブはーちゃん。
ところでどっから豆出した。
「福は~内~!」
「あら、なんで私にも当てるのよ」
「福に来てほしいから~。ゆうちゃん福で良いよね~。来て来て~」
光、福は内って言いながら豆当てたら来るわけじゃないからね。
「鬼は、外ぉっ!」
「痛っ! 美代、痛い! 本気で投げるな!」
…………今年は騒がしき節分となりましたとさ。