36 たつまきー
「……しーねぇ、これで何するの」
斬が指すのは500mlペットボトルとビニールテープ。
「暇つぶし!」
もう暇で暇でしょうがなくて、何かそこら辺にあったこれで工作でもしようかと。
……ガキとか言うな。
ふっつーの中二は休みの日部活以外に何をするのか教えて欲しいよ。
皆家で暇するに決まってる!
と、あたしは勝手に思っている。
「……はさみ、いる?」
「あ~……、うん、いる。ありがと」
はさみの刃を開いてこっちに向けてないで欲しいんだけど。
さて、始めますか。
「……何作ろ」
考えていると思っていたそこのアナタ!
あたしがそんなこと考えてから行動するわけが無いでしょ。
「ん~……、とりあえず水入れて……」
雨水タンクから。
どうせ後々捨てちゃうんだから新しい水入れるなんて勿体ないし。
ジャーッ←水を入れる音
ごぽごぽごぽ←ペットボトルを逆さにして水を出してる音
ピキーン←出た水が凍った音
「なんで凍ったの!?」
「……凍らした」
あんたの仕業かい。
この水を凍らしたり氷を操ったりの斬の能力、ちょっと羨ましかったり。
「う~ん……何作ろ……あ」
思いついた!
ペットボトルに水を半分より多めに入れて、
空のペットボトルをさかさまにして水を入れたほうの口と空の方の口をくっつけて、
つなぎ目のところをビニールテープでぐるぐるぐるぐる巻ーいてっと。
出来上がりー。
「……それ、どうするの」
「逆さまにして、何かかき混ぜるみたいにぐるぐる回すと……」
プチ竜巻!
何か見てて楽しいんだよね、竜巻って。
ホンモノは怖すぎるけど。
ピキッ
「あ、凍った」
凍ったやつも綺麗だなー。
「貸して?」
「ん、ほいな」
何すんのかな。
ごぼごぼごぼごぼ……
溶かして、下に集めて……。
くるっ
ひっくり返して?
ぼこぼこぼピキッ
お~、泡入り氷の完成。
「斬、しぃねぇ、何やってるんだ?」
「……あ、天」
氷溶かして、渡してみる。
「何だ? これ」
ばしゃばしゃばしゃばしゃ
振る。泡が沢山出来た。
ぺいっ ひゅるる……ばしゃっ
投げて、キャッチ。
あー、何個か作ったらジャグリング出来るかな。
……ちょっと難しいかな。
「……?」
結局分からなかったようです。
「こーやるんだよ」
くるくるごぼごぼごぼごぼ……
「竜巻!」
うわぅ。突然大声なんか出すからびっくりした。
竜巻好きなのかな?
「あーッ! 見つけたぜ! 天、斬!」
ぎゅうっ
剣は斬に抱きついた!
「離れろ、凍らす」
「それはご勘弁を!」
あ、離れた。
「はい、剣」
「……ん? 何だこりゃ」
頭に乗せてみる。
あっという間にバランスゲームに。
「あっあっあっ」
ボトッ
落ちた。
バランスとるの下手だねー。
「剣、そうじゃないって」
「え? 違うのか?」
マジボケ!?
「えー……と、じゃあ」
片手に持って、腕を曲げたり伸ばしたり。
「ダンベル違うから」
「あ、やっぱり? 軽すぎるよな」
これも本気だったらどうしようかと思った。
「こうするんだって」
竜巻ー。
……何か天上手い。
「むっ! 水流渦!」
剣の手の上に水の竜巻が。
いや、張り合わなくていいから!