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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、睦月の暴走
359/410

359 別にいーじゃん小っちゃくてもッ!

「ね~、私の身長って何センチメートルだろ~」

「四センチ」

「小っちゃ~! 一メートルは超えてるよぉ~」

「すげぇ!」

「お兄ちゃ~ん~、若くしてボケた~?」

 いや、多分ゲームしながら適当に言ってるだけ。だから訳分かんないことになってんだよ。

 忍でーす。

 リビングで暖まってます。勉強? やったよ、過去問。ってか一応今もやってるからね。本読むのも勉強の内だよ、うん。

 岳はソファーの墨に縮こまってゲーム。落着くよね、端っことか狭い所とかって。あたしもよく押し入れん中入ってたよ。ニンジンとサツマイモの甘煮と一緒に。抱えられる格好で。

 で、光はメジャー片手にてこてこやってきたけど。……身長測れってか?

「ね~、何で家の柱に身長書いてないの~?」

「傷つけるのがイヤだったからじゃない?」

「む~、お姉ちゃんやお兄ちゃんの小っちゃい頃と比べてみたかったのに~」

 家のどっかを探せば見つかると思うよ。身長や体重や体力テストの記録。小学校でやってた奴が。『わたしのからだ』って名前が付いた緑の紙。

「で、光の身長何センチなの?」

「測って~!」

 ……うん、ちゃんと言ったね。

 メジャー差し出して。

「じゃあー……そこの壁に背中くっ付けて立って。そう、そこのドアの隣」

 何かまっすぐな板みたいなのないかな。あ、ティッシュの箱が合った。これでいいや。

 これを光の頭に乗っけて、壁に垂直にくっつくように……はい、床からここまでの高さは何センチ?

「百……二十、七丁度かな」

「127~?」

 そうですよー。

「岳お兄ちゃんは何センチ~?」

「…………」

 ダメだ、今は何言っても反応してくれないよ。凄い集中してる。指の動きもめちゃくちゃ早い。……何のゲームやってるんだろう。

「お姉ちゃんは~?」

「前は152センチだった」

「前っていつ~?」

「四月」

「測ろ~! そこ立って~! 立って~!」

 はいはい、立つよ。立ったよ。

「……箱持っといて~」

 あいあい。

「153センチ代~。変わんないね~」

 うん、そんなモンでしょ。何で光そんなに適当だったの? 『代』って。ミリ単位のとこも結構大きいのよ?

「お兄ちゃ~ん~! 岳お兄ちゃ~ん~! もう一時間経ってるから明日のゲーム時間削られるよ~?」

「うぉ、マジで!? セーブする時間は数えないってことにしてくれ」

『ことにして』って言われてもね。そこんとこはおかーさんに言ってもらわないと。

 はい、セーブ終わったらしく電源切ってゲーム機を閉じる。で、何でいちいち充電するのか分からないけど充電始め。

「で、光さっきなんか言ってなかったっけ」

 ほんっとに聞き流してたんだね。

「お兄ちゃん身長どれくら~い~?」

「さー?」

 あたしとあんまり変わらないよ。149とか150とかじゃないの?

「測ろ~!」

「えー、いいよ。別に知らなくても死なねーし」

 死ななきゃいいのかって言う以前に、極端すぎるよ。『困らねーし』じゃダメなの?

「私が知りたいの~!」

「えー」

「はぁやぁくぅ~! そこに背中つけて立って~!」

 わがまま全開だね、今日の光。いつもかな? いや、いつもはもうちょっと謙虚だ。多分。

「わぁったわぁった。これでいい?」

「うん~、いいよ~!」

 にぃっこり。我が妹ながらなんて可愛い笑顔。さっき怒ってた顔とまさに正反対。

 …………身長測られながらむすっとしてる顔が純兄そぉっくり。本人じゃないかって思うくらい。髪の色がちょっと違うけども。

「岳、何でそんなに機嫌悪いの?」

「ゲームがすげー中途半端なとこで終わったから」

「セーブできたらそれはキリがいいところなんだよ」

 多分。

「…………何でまた身長なんか測ってんだ?」

「おかえりー。光が何か気になるんだってー。純兄も絶対聞かれるよ。何センチ? って」

 光じゃ測れないな、純兄は。

「岳お兄ちゃん148センチだ~」

 あ、思ったよりは低かった。でも絶対来年あたし抜かされるよね。成長期だし。

「で~、純お兄ちゃんは~? 百八十~?」

「どんだけでけぇんだよ俺は。もっと低いわ」

 うん、百八十は無いね。

「じゃあ何センチ~?」

「百七十前後、かな?」

「測ろ~!」

「えー。いい、いい、知らんでも仕事に差し支えねぇし」

 いやいや、どんな基準!?

「私が知りたいの~!」

「んー」

「はぁやぁくぅ~! そこに背中つけて立って~!」

「わぁったわぁった。これでいいか?」

「うん~、いいよ~!」

 にぃっこり。

 さっきと全く同じ展開! 多少口調が違うだけで全く同じだよ! 表情込みで!

「ん~………………お姉ちゃ~ん~」

「はいはい。結局測れなかったのね」

 純兄が百七十だったとして、身長差は四十センチくらいあるもんね。

「動かないでね~」

「動かねぇよ。テメェ等五月蝿くなるから」

「今動いたじゃん!」

 口が。

 あ、呆れられた。溜息吐かれた。

「百六十九だよ」

 あと数ミリ。

 さっきあたし、ミリ単位の所も結構大きいとか言ったけどぶっちゃ気んなトコ見るのめんどくさいよ。

「何でそんなに大っきいの?」

「いや、テメェが小っちゃいんだろ。学校でもそんなでかい方じゃねぇし。俺だって」

 下から見るとでかいんだよ。

「で? 満足かー、光」

「え~? うん~」

「っつーか何でまた身長なんか気にしてんだよ」

「はーちゃんやみーちゃん~、あとパソコンで調べた平均身長より私小っちゃいもん~」

 ……だから?

「お姉ちゃん達も平均より小っちゃいのかな~? って思って~」

「……で?」

「お姉ちゃんは小っちゃかったけど~、お兄ちゃん達はちょっと大きかった~」

 うん、前者言わなくてもいいから別に。

 小っちゃい方が狭い所にも入れていいじゃん!

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