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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、睦月の暴走
358/410

358 見て見て! この間違い!

「兄ちゃん、姉ちゃん、母さん。見てこれ」

『ん?』

 岳が手に持ってんのは……テスト?

 何で岳笑ってんの?

 忍でーす。

 勉強のちょっと休憩中。りんご丸かじりしています。

 あれ、これちょっとって言わなくない? と思い始めたところで岳がやって来ました。

「百点だったの? よかったねー」

「百点じゃねーよ。百点でも別に『よかったねー』言われるために持ってきたりしねーし」

 冷めてるなぁ。

「で、どしたの? そのテストにまさか漫画が描かれてるとか? 読まして」

「なんでだよ!」

 ちぇ、違うのかぁ。いや、分かってたよ? もちろん。

「見てってば。うっかりで十点落とした!」

「威張んなよ」

 うんうん、どれ?

 テスト裏側にある四角の二番。量を表す単位を書く問題。

『①地球と月の間の距離・・・約38万《㎏》』

「……重いな、地球と月の距離」

「だろ?」

 ㎞との間違い……。ちゃんと見直ししようよ。いや、あたしもやって無かったけどさ。小学ん時は。

 と言うか、やり始めたの二年三学期の中間テストあたりだよたぶん。

「岳~、見直しはしないとダメでしょ~」

 と言うか、あれ? ここしか間違えてないのに十点落としてるの?

「一つの問題にかかってる点数も重っ」

「……俺は一問しか問題が書かれてないテストやった事あるけどな。百点満点の」

 一問!?

「百点か零点しか無いじゃん!」

「途中式に点がもらえるから、それは無い」

 あ、数学なんだ。

「解けた?」

「解ける訳ねぇだろ。一問しかねぇイコール滅茶苦茶むずいんだから」

 ふーん。

「で、何点だった?」

「……五」

「マジでか」

「ん。あのな、それやった時俺小六。出された問題何だったのか聞いたら大学受験の問題だって」

 よく点取れたね!?

「あれ~、岳~……これ一回正解書いてたわよね~?」

 ん? 今度は表面? 百点満点中九十五点。

「あーうん、それ、書いた後でなんか違うような気がして書き直したら、書き直したのが間違ってた」

 あるよねー。……ってか、あったなー。

 イラッときて、その部分だけ千切ったなぁ。小学……中学年か高学年の時。

 全部びりっびりに破こうとしたらクラスの誰かに止められた。誰だろう。

 純兄は高みの見物決め込んでたし、なっくんは爆笑中だったし、香ちゃんはニコニコしてみてただけだし。うん、きっと名前を忘れてしまった誰かさんだ。どうでもいい人なんだろうなきっと。

「お母さ~ん~、あ~、お姉ちゃんとお兄ちゃん達も居た~。見てみて~」

 おはよう、光。さっき見たときお昼寝してたけど起きたのね。

 で、なんで光もテスト?

「漢字テストじゃん。すっげー、八十八点? すげー」

「えへへ~、凄い~?」

「オレは漢字苦手だから、すげーよ」

 最低点二十点代だもんね。百点満点中。あたしも漢字苦手だけどそこまでは行かなかったよ。

 …………うん、五十点は切らなかったはず。確か。

「で、どこ間違ったの?」

「まずここでしょ~」

 どれだろ。あぁ、これか。

『四十.空を飛ぶヒコウキ』

 光の答えは?

『飞行机』

 …………いくら楽だからって、簡体字つかっちゃ駄目だろ。

「光、どうせならこう書けよ」

 と言って純兄が書いたのは?

『飞机』

「中国語じゃん!」

『中訳しなさい』じゃないんだから……。

「ん、よく分かったな」

「おばーちゃんに教えてもらった」

 楽だよーって。

『手紙』が中国語だと『トイレットペーパー』って意味になっちゃうって事とか。ちなみに手紙は『信』だってさ。

 多分光もおばーちゃんから聞いたんだね。

「こんなのもあるよ~」

 商品か何かですか、間違いは。どれ?

『なっちゃんを柵でカコむ』

 誰!? なっちゃんって誰!? なっちゃん策で囲んでどうするの!? 誰だこの問題作ったの!

 ……で、光は何て?

『なっちゃんを解放してあげて』

 うん、そうだね。わざわざカッコの外に書いといたんだ。

 答えの方は?

『井』

 ……………………確かに解放されてる……かな?

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