357 喧嘩で怒られるのは大抵年上
「いいか、テメェ等。おいコラ、何で怖がってんだ」
『じゅんにぃだもん』
こら。
「純ちゃん、そーちゃん達に何かしたのですか?」
「してませんよ」
「ウソだ!」
よし、剣。何がウソか言ってみやがれ。
「オレ等フルボッコにしただろ!」
してねぇよ。組み手の相手してやっただけで。
あ、後は勝手に余計な行動したときに一発ずつ叩いただけで。
「純ちゃん」
「してません」
純だ。
何か知らんが俺が悪いみたいになってる。何でだ。
俺は単に天斬剣に実技教えてやれって言われて教えようとしただけなのに。
「ウソだぁ!」
事実だけど。
「そーちゃん、何されたか言ってみて?」
何でマーリさんはあっちの肩持つかな。
小っちゃい時からそうだよ。いっつも忍やら岳やら光……とは喧嘩してないな。とにかく喧嘩した時、怒られるのは俺なんだから。別に文句はねぇよ? 何かもう割り切ってるし。
だから光とはやんなかった訳で。最近忍と喧嘩したけど。あれはまぁ、忍が悪い! ……ってことにしといて。
「この間私首絞められたもん!」
襟首引っつかんだだけでやってねぇよ。……似たようなモンかなぁ? いやでも、首絞めると襟首つかむは違うだろ。
「純ちゃん?」
「襟首つかんだだけで、首絞めたわけじゃありません」
「純ちゃん、あんまり乱暴な事しちゃダメですよ?」
結局俺が悪いって事になってんじゃねぇかよ。
「ち、分かりましたぁ」
「……じゅーにぃ、分かってる?」
斬、何かイラっと来るから止めてくれ。
忍にも言われた事あるんだよ、それ。
岳にも言われた事あるんだよ、それ。
ついムカついて殴ったから余計に怒られたんだよ。
「あ、純! どうー? 調子」
ん? リオだ。
「調子も何も……教えるどころか教えてもらう気ねぇよこいつ等」
元はリオがやってたんだから、そのまま続けりゃいいのに。
「あはは、大丈夫。純もそうだった」
何がどう大丈夫なんだよ。俺がそうだったって聞かされると余計に大丈夫じゃねぇように聞こえるわ。
…………自分で言う事じゃないだろうけど。
「もう大変だったよ。何かというと俺等の粗を見つけてとことん突いて来るし」
「んー、聞こえねぇ」
「その突いて来るからイラっときて、手ぇあげたら返り討ちにされるわ、どう見ても苛められてるの俺なのにマーリさんに怒られるわ」
あー、ん、気分よかったなあの時。だっていっつも怒られる側だったから。
調子に乗るのだけは止めたけど。調子乗ったら怒られるの知ってたから。忍も岳も光も春も皆調子乗って怒られてたし。
「という訳で純、苦難の道はこれからだよ」
「いや、俺がテメェ等の二の舞は演じねぇよ。どうやったら大丈夫か思い出してきた」
とりあえず、相手がチクるような事はしない。
向こうがでっち上げ言うようなら……『それでいいよ』って言っとく。