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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、睦月の暴走
353/410

353 だって、ねぇ?

「はーちゃんおめでとー!」

「ありがと~」

「おめーと」

「ありがと~」

 岳だ。

 今日は光の誕生日、いつもの妹三人組で誕生会やってらっしゃるよ。

 …………オレと兄ちゃんの部屋で。

 光曰く、自分等の部屋では姉ちゃんが勉強してるかららしいけど……だからって、なんでここ? 一階じゃ駄目なのか?

 まったく、ゲームが捗りゃしねぇ。だってこいつ等ケーキとか食ってんだもん。欲しいじゃん?

「はい! これプレゼント! ウチとみーちゃんで作ったの!」

 中ぐらいの箱。ちゃんと包装紙で包まれて、リボンがかかってる。何が入ってるんだって言う前に、よくそんなちょうどいい箱があったなって言いたくなるのはオレだけか?

「わ~! 開けていい~?」

「……もちろん」

 わー、オレも興味津々。あ、やべ、一機死んだ。ちょっと一回スリープモード。

「………………………………わ~、凄~い~! やかん~?」

 いやいや、なんで誕生日プレゼントでやかん貰ってんだよ。やかんに見せかけた何かじゃねぇの? 紙粘土だし、小っちゃいし。

「そう! さっすがひーちゃん! 分かってるぅ!」

 いやいやいやいや、分かってるとかそう言うモンなのか? と言うか、マジでやかんなんだ。

「……使って、ね」

 どういう場面で!? 火にかけた途端燃えるわ! っつーか水入れたら即アウトだろ! 紙粘土だし!

「うん~。もちろん使わせてもらうよ~」

 だから、どういう場面で? やかん型ペン立てにでもすんのか。



 ――数時間後、春&美代の二人が帰ってから。

「お兄ちゃん~、これどうやって使ったらいい~?」

 ……考えて無かったのか。

「やかん型ペン立ては?」

「それは無いでしょ~」

 拒否されるまで滅茶苦茶早かった……。流石にへこむぜ? いや、別にへこまねーなぁ、こんくらいじゃ。

「んじゃ、あれは、えぇと……」

「考えてから言ってよ~」

 すいませんでした。

 でもなぁ……どう使えってんだよ。

「いっそやかんとして使おうか~……」

「早まるな! 溶けるだけだぜ! もしくは燃える!」

「あはは~、そうだよね~」

 うーん、どうする。

「単に置いとくだけじゃ駄目なのかよ?」

「使ってね~って言われたからそれはちょっと~……」

 そうだ。大体アイツ等、どうやって使えって言ってんだよ。純粋にやかんとして……ってこたねーよな。

「う~…………」

「光ー、別に入っててもいいんだよ? 部屋」

 あ、姉ちゃん。

「お姉ちゃん~、はーちゃんとみーちゃんにこれ貰ったの~」

「ふーん。これ、やかん? 紙粘土の? どーやって使えって言うの」

「どうやって使お~……」

 うーん……並んでんの見たら、光と姉ちゃん似てるよなぁー。姉ちゃんと母さんはそこまで似てねーのに。

「いっそ一回溶かしてもう一度形を……」

「それは駄目~!」

「そらそうだ。小物入れって言うのは? 蓋もあるしさ」

「あ~、その手もあったか~!」

 小物入れって、結局ペン立てと似たようなもんじゃねーか! なんで姉ちゃんのだったら納得するんだ?

「こーんばーんはっ。光ちゃん誕生日なんだって? おめでとう」

「あ~、リオンさんだ~! ありがと~」

 リオンさんだー。生憎今日は光の好きなモンが晩飯だから、辛いもんは出ねーぞ。光は甘党だし。

 ……窓から入って来たことに関してはもう突っ込まねーぞ。

「あれ、兄ちゃんは?」

「まだお仕事中ー。……か、部隊長と喧嘩してるな。はたまたお化けの誰かと遊んでるか」

 かなりあやふやじゃねーか。

「光ちゃん、ちょっとおーいで。丁半知ってる?」

「丁か半か~?」

「そうそう」

 えぇっと……さいころ振って出た目の和が……偶数か奇数だったら、丁か半なんだ。たしか。分かんねーよ。どっちがどっち?

「光ちゃんは丁か半か選んでね。俺は反対の方を選ぶから。光ちゃんが勝ったらいいモノあげよう」

「何だったらどっちなの~?」

「あぁ、サイコロ二つ振って、その足した数が偶数なら丁、奇数なら半の勝ち。ほい、丁か半か?」

 リオンさん、どっから出したんだ、その小っちゃい籠とその中に入っているであろうサイコロ二つ。

「半~!」

「じゃあ俺は丁ね。はい!」

 五と四? 足して九。

「グシの半! じゃあはい、あげる」

「ありがと~……これ何~?」

 うん、まぁ、予想はしてたけど、真っ赤だな。きっと辛いんだろうな。調味料っぽい瓶に入ってるし。

「アエオイリュ」

「え~?」

「アエオイリュ。俺が作った香辛料」

 あ、自分で作れるんだ。

「光、使ったら少なくとも二日間は悲惨だから絶対使うなよ」

「ちょっと純、何て事言うんだよー」

「少なくとも剣は悲惨な事になった」

 そこら辺のモン何でもかんでも口に入れるからだよ。剣の場合。

「純兄お帰りー。何してたの?」

「ん、まぁ色々」

 答えになってねー。

「リオ、お前は一回味覚の治療してもらって来いよ」

「酷いな。俺は元からこうなの。生まれた時からこうでした!」

 へー、母乳も辛口か?

「あ、光、口裂け女の茜さんにべっこう飴貰ったからやるよ」

「わ~い~!」

 今までで一番喜んでるな! 一番適当なモンなのに!

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