347 お化け屋敷にほしいモノ
なーにがあったーらこーわいーかなーっと。
岳だ!
今は総合の時間。来月の水小祭に向けて、お化け屋敷にどんな仕掛けを用意するか考え中……。
学級委員長の活躍により、高学年用の『思いっきり怖くしていいお化け屋敷を作る権利』と、『めちゃくちゃ暗い体育館の舞台の下にある倉庫を使う権利』は手に入れた。
後はどんな仕掛けで怖がらせるか考えて、作る。うわぁああっ、楽しみ! 絶対怖いの作ってやる!
六年以外はお化け屋敷作っちゃダメだから、ずっと楽しみにしてたんだよ。
「はーい、皆、お化け屋敷に必要なもの考えたか? 考えた奴挙手!」
『はい!』
実際には揃ってねーよ? あっちこっちでばらばらと。『ははははははい!』って聞こえる。
「じゃあ理絵、言ってみよう」
「はいっ! えっと、あの……コンニャクぶら下げて、ほっぺたとかに付くようにする奴!」
……うん、分かるけど。あれな。肝試しコンニャクというかなんと言うか。
「黒板にはコンニャクって書いとこう。はい他ー!」
あれ? だいぶ手ぇ下がってね? コンニャク言いたかった奴どんだけ多いんだよ。
「よし、じゃあ翔いくか」
「ぱぽちゃん人形! 置いといたら怖くない?」
「確かに怖い。はい、ぱぽちゃん人形……と、他はー」
そのぱぽちゃん人形どこにあるんだ。誰か持ってる奴居んのかな。
少なくともうちにはねーな。精々あのニンジンとサツマイモの甘煮くらいだ。……あれ? 光が人形他にも持ってたかな。
「はいはい!」
「一輝」
「等身大の生首人形!」
それこそ本当にどっから持って来る気だ!
当然せんせもこれを聞くわけで、そしたら……。
「一志くんが、芸術大学で作ってきた! いっぱい!」
一志くんって、一輝の兄ちゃんな。
…………って、なんて!? 大学で作ってきた!? それも、いっぱい!?
「凄いな一志くん……他には?」
すぐに『他には?』って聞けるせんせもすげーよ。
「はーい!」
「奈那子」
「理科室の人体模型!」
ちなみに使われてる所は見たことねぇ!
「あー、あれな、何年か前に使った時壊れたから」
…………三年前じゃありませんように。姉ちゃん達ん時じゃありませんように。
「壊れてる方が怖くていいじゃん!」
「そうだな。聞いとこう」
そんなに簡単に納得していいのか!?
「他はー」
「あーい」
「岳」
お化け屋敷なら定番だろ!
「懐中電灯!」
「ふんふん、でもな、見に来る人たちにも必要だぞ。懐中電灯は」
あー、しまった。向こうの懐中電灯向けられたら怖くもなんともねーじゃん。
「あ、あ、これは! スライム!」
五年の時、サイエンスクラブでやった! 洗濯のりで作る奴。
「去年のお化け屋敷に落ちてて、すげー気持ち悪かった」
仕返しがしたい。正しくは八つ当たり。だって去年の六年は今中一だし。
「ふむふむ、他はー……、はい、璃々」
「白シーツ!」
被るんだな。……怖いか? あれ。
あれもコンニャクみたいに釣竿でぷーらぷーらしてたら怖いかな。
「はい、他は? 修也」
「暗闇」
『間違いない』