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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、睦月の暴走
342/410

342 問われても……

「しののーん」

「シナモンじゃありません、忍です」

「しののーん」

「シノンじゃありません。忍です」

「しののーん」

「死のう? 勝手にしてください」

「イヤだよ! ……しののんがおかしくなったぁっ!」

「おーい、叫ぶな超音波」

 ちょっと耳ふさいだだけじゃどうにもなんねぇな、こいつの声は。

 純だ。

 誰かしっかり音を防げる耳栓教えてくんねぇかな。いや、無駄な抵抗をするよりも、音源から離れた方が早ぇか。

「どうしたんだ、しののんは。じゅんじゅん、何か知ってるだろう?」

「おい古賀。じゅんじゅんって呼ぶの止めろ。あぁいう無邪気……なのならともかく、テメェみてぇな一見冷静そうな奴に言われると気分悪い」

「……しののんは?」

 ……そう呼びたいのか?

「本人に聞け」

 兄に聞くな。めんどくせぇから。正直に言うと、分かんねぇから。日によって返答違うから困る。

 …………いや、あんまり困らないか。

「じゅんじゅん~、しののんがおーかーしーいー」

「元からだ」

「そうじゃなくてぇ!」

 何で音源が近づいてきてるんだ。離れようと思ってたのに。思っただけで行動はしてねぇけど。めんどくせぇから。

「しののんどうして上の空なの!?」

「寝不足なんだろ」

「どうしてしののん寝不足なの!?」

「テメェの声が五月蝿くて眠れなかったんだろ」

「どうしよう!」

 俺の答えで『どうしよう!』なんて答えを返してきたテメェの頭のほうが『どうしよう!』だよ。

「テメェが黙れば全て解決だ」

 周りの奴の耳が。

「なるほど!」

 よし、静かになった。

「なるほどじゃないだろうっ! 単にお前を黙らせたかっただけなのが分からんか! まったく、黙って聞いていれば……」

 なぁ古賀。テメェはこっちのチームじゃなかったっけ。『部長の声は五月蝿いから黙れせたい』チーム。

「あっ! そ、そうだったの!?」

「なぁ古賀。テメェちょっと部長の頭叩きすぎじゃねぇか?」

 突っ込む度にハリセンでパンパンパンパン。

「……薄々そんな気はしていたんだ」

 んじゃ叩くの止めろや。

「そんな気はしていたのに、もう体が勝手に反応して……」

 ん、わかった。もう深くは聞かない。興味が失せた。

「ねぇじゅんじゅん、結局しののんどうしたの?」

「寝不足なんだろ」

「どうしてしののん寝不足なの!?」

「テメェの声が五月蝿くて眠れなかったんだろ」

「どうしよう!」

 さっきと全く同じ答えを繰り返すテメェが『どうしよう!』だっつに。

「部長! 今日も言うぞ、もう何十何百言ったか分からんが言うぞ! 馬鹿かお前は!」

 ……なんだろうな。ちょっとスッキリした。

「で? 純、結局しののんはどうしたんだ?」

「寝不足なんだろ」

「何でだ?」

「テメェ等オカルト部が五月蝿くて眠れなかったんだろ」

「まさか!」

 部長が二度かかって、それに突っ込んだ癖して自分もその罠にかかるテメェに『まさか!』だわ。

「…………純、怒るぞ」

「そう言う奴は大抵既に怒ってんだよ」

 あと、お前誤魔化そうとしただろ。

「ちゃんと答えろ、しののんはどうしたんだ?」

「寝不足なんだろ」

「何でだ」

「寝付けなかったんだろ」

「そらそうだ。何で寝付けなかったんだ」

「俺が知るかよ」

「そらそうだ。あれ? 同じ家に住んでるんじゃないのか」

 一回『そらそうだ』っつったよな。

「同じ家に住んでても寝る部屋は別に決まってんだろ」

 ……あ、皐月姉が『『決まってる』は絶対に無いって決まってる』って言ってたな。

 …………皐月姉。いちいち矛盾しなきゃ気がすまねぇのかアンタは。

「純兄ー」

「ん?」

「寝不足ー」

「ん、寝ろ」

「何処で?」

「机に突っ伏して」

「誰の?」

「お前の」

「どうして?」

「寝不足なんだろ?」

「うん、どうしてあたし寝不足なの」

 知るかっつに。

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