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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、睦月の暴走
341/410

341 昼休みがもっと長かったら良いのにな

「あむあむ、んー、やっぱりさ、英語の授業ってつまんないよね」

「基本的に授業はつまるつまらないの問題ではないが、それにしてもつまらなさすぎるよな」

「オマケに解説分かりにくいしね~。チョークの色も使い分けられてるようで分からな~い」

 だよねーと、あたし、桜、しーちゃんの女子三人組はうなずき合います。

 忍でーす。

 昼休み、教卓の前にある……ってか、三学期最初の席替えでそうなった、あたしの席に集まってお弁当をもぐもぐと食べています。

「……あの、そういうこと、授業する本人の前で言う?」

 教卓の隣には空の席が用意されていて、先生はそこでお昼ご飯を食べるのです。つまりあたし等の言ってる事丸聞こえ。

「いや、でもま、あれだよ? きっと英語の発音良くなってるよ」

「忍、フォローのつもりなのかそれは」

 しーちゃん、あたしにフォローするつもりあると思う? 無いよ。

「先生くじけちゃダメだよ~、人間他人の評価をどう受取るかが大事ってどこかに書いてあったって誰かが言ってたような気がするけど勘違いかもしれない~」

 ……桜、アバウトにも程があります。

 いつの間にかお弁当箱の中身が空になっています。元から少なかったけどさ、うん。

「そこで、こんなの考えてみない~?」

「何?」

「このクラスの人たちで学校を作ったら、誰がどんな立場に居るか~」

「何が『そこで』だったのか教えて欲しいなー」

 まったく繋がりがないと思うんだなー。

「先生の授業が面白くないから、誰だったら面白い英語の授業をしてくれるかな~って考えるついでに他の部分も考えちゃおう! 『誰だったら面白い英語の授業をしてくれるかな~』ってところが『そこで』」

 桜、桜、先生が泣いてる。柿の種が泣いてる。違う。泣きそうなの必死にこらえてる。でも涙目。見てて凄く可哀想。助け舟だす気はさらさら無いけど。

「曲がりなりにも『誰だったら面白い英語の授業をしてくれるかな~』なんだから、まずは英語教師だな」

 しーちゃん乗り気だ。教室をぐるっと見回して……。

「シジミとかどうだ」

「紫波だよっ!」

 律儀な子だよね。わざわざ教室の後ろから突っ込んでくれたよシジミくん。よく聞き取れたね。こんなにざわざわしてるのに。

「紫波くんの授業はちょっと馬鹿っぽい気がするな~」

「言っている事がちゃんとしていればそれて良いんじゃない? 楽しいかもよ」

 少なくとも今よりは、とは言わないであげよう。

「じゃ、他の部分考えてみよう。……配役から考えるよりも人から考えた方が早いな。忍は何になるか」

 あたしですか。と言うかしーちゃんノリッノリだね。

 ……焼き海苔が食べたくなってきた。あ、やっぱり味付け海苔。

「忍は~……国語の先生!」

 なんで!?

 あたし、国語はそんなに得意じゃないよ? 常に4は取ってるけど。上がる事も下がる事も無く。国語の成績で5とってみたいよーう。

「自由気ままに適当なモノ読んで読ませて書かせてそう」

「それさ、教師って言わないよ絶対」

「さぁ次行こ~」

 聞けよ。

「桜は放送部の部長……いや、副部長くらいかな」

「篠~、何でワンランク下げたの?」

 似たようなモンじゃない?

 放送部無いけどね、この学校。

「桜が実況すれば運動会盛り上がるだろうなー」

 過去形になるかな? 盛り上がっただろうなー。

「篠はきっと社会の先生だな~」

「社会?」

「何となくそんなイメージなの~。地球儀持ってそう」

「うん、家に五つくらいある」

 ……マジで? 多すぎない? 何のためにあるの?

「清はまさかの数学教師」

『まさかだぁ』

 わざわざ苦手教科を取らなくても。

「なっくんは体育の先生とか?」

「何で~?」

「何か体育の先生って豪快なイメージある。なっくんはやたらと笑う」

「関係ないだろ」

 ぱっと浮かんだんだもん。あとついでに、なっくんジャージ似合うんだもん。

「あ! 水谷くんが、美術の先生ってしっくり来ない?」

『あぁ~』

 無言のまま黙々と何か描いてそうかも。

 これだったら美術部員かな?

「玲奈はきっと……えと」

「ツンデレが活かせる教科なんて無いよ~」

 いや、そうだけど……。

「あ、理科は?」

 一番常識人だし。危険物の取扱いもちゃんと注意してあげられるだろうし。何気に親切。

「中森は保健室にでも居そう」

「あぁー、生徒と一番触れ合うのって、きっと保健室の先生だよ」

「でも中森さんだったら何でもやりそうだよ~。何でも楽しむ人だもん」

 一番得な性格だよね。

「ん? 席替えしたのか」

 純兄だー。

「今日は来たんだな、遅刻野郎」

「よぉ篠、今学期最初にかける言葉がそれか?」

 事実だと思いますが。昼休みだもん。

「俺の席は……」

 教卓の右上には座席表が描かれているのです。純兄はそれを見ているのです。

 それにしても、純兄ってば隣で泣きそうな顔隠すかのようにして黙々と弁当食べる振りする(さっきから全然なくなってない)先生が居るって言うのに、まるで興味示してないよ。

「純くんの席あそこだよ~。後ろの窓際……今なっくんや清くんや岬くんやその他諸々いっぱい居る所」

 お弁当食べるのに集まった人達。なんであそこに溜まるんだ。いや、あの人たちが溜まった所にたまたま純兄の席があるだけなんだけどね。

 あれ? 何気に机あさられてるよー。空っぽいけど。

「テメェ等ぁ、誰から殴られるかジャンケンしろ」

『げ』

「高山兄!? いつから……」

「ん? いつから? 今から殴る。他に質問は? ねぇな? よし、さっさとジャンケンして殴られる順番決めな」

 淡々とした口調。基本的に感情は汲み取れないけどね。怒っては無いなきっと。

「忍、純思いついた」

「あー、あたしも」

「わたしも~」

「じゃあせーので言おう。あたし言うよ? せーの」

『不良』

 だよねー。

「あ、あ、柿ピーが可哀想だからわたし考えたよ~」

 柿ピーって言った時点で救う気ゼロでしょ、桜。

「柿の種先生は、不良純くんに鉄拳制裁を加えようとする教育指導の先生!

 でもいっつも返り討ちにされて終わるという悲しい日々……」

 余計可哀想にしてどうするよ。

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