34 つまみ食いをしよう
「……あっ」
いーものめっけた♪
忍でぃす。
冷蔵庫開けたら昨日は無かったチョコレートを発見。
しかも! 封は開いている!
これをつまみ食いしない手は無いよ。
いただきま~す。
……の、前に。
念のため賞味期限確認しておこう。
去年のだったりしたら大変だし。
《2011,02》
……ま、大丈夫だ!
いただきます。
「あ゛っ! ねーちゃんずっこい! オレにもちょーだい!」
「え~、賞味期限過ぎてるんだよ。あたしは処分してるだけだもん」
ザ・言い訳。
「消費期限は過ぎたら食っちゃいけねーけど賞味期限は大丈夫って習ったぜ?」
…………なんだろう。
あたしが前にやったのと同じ言い訳をする。こいつ。
「ねーちゃんに」
「いつ!?」
あたしは教えた覚え欠片もないんだけど。
「あ、正しくはにーちゃんに。ねーちゃんの言い訳ノート的なモノを見せてもらったんだ」
何だ、そのあたしの言い訳ノートって。
兄貴、あんたはストーカーか?
「あ、ちなみに勝手に聞こえてきたものを書いただけだからストーカーじゃねーってよ」
純兄の地獄耳ィ!
「はい、ってな訳でちょーだい」
「分ーった分ーった」
残り少なかったのになぁ。
「お姉ちゃ~ん~、雛あられ見つけたよ~!」
……あ~っ!
あたし、今年雛あられ食べてない!!
「よし食べよう」
「ちなみに賞味期限は昨日だよ~」
うん、今食べてたチョコレートよりずっと安全だ。
「チョコあられプリーズ」
「岳お兄ちゃん~、自分で探してよそれ位~」
そーだそーだ。
「えー」
「レモンあられ口いっぱいに突っ込んじゃうよ~?」
「ヤメテ」
よし、食べよう。
ちょっと残ったら部屋に溜め込もう、うん。
ハムスターを見習って!
「忍、テメェ部屋に菓子持ち込むの止めろ。絶対忘れるんだから」
「純兄も食べる?」
「……テメェ人の話聞いてんのか?」
うんにゃ。
「にーちゃん、食うの食わねーの」
「食う」
食べるんだ。
「あ~!」
『?』
「クッキー発見~!」
『でかした!』
何で純兄は『でかした』言ってくれないんだろう。
ノリが悪いなぁ。
「からし味って書いてあるよ~」
そんなのあるんだ。
んじゃ、まぁ試しに……
『頼んだ、岳(お兄ちゃん~)』
「何でオレなんだよ!?」
だって純兄は実験台になってくれる訳ないし。
あたしは絶対ヤダ。
「光は」
「え~、可愛い妹を実験台にするの~?」
「…………分ーったよぉ」
いや~、損な位置にいるよね、岳。
ポリッ
「……辛ッ!」
まぁそりゃそうだよね。
「ありゃ? 何か中に入ってる」
「何かって~?」
「……紙?」
紙!?
クッキーに!?
不良品!?
「え~っと……ハズレ……って何だよこれ!!」
「あ~、これ、おみくじクッキーって端っこに書いてある~」
おみくじって。
「つまり、おみくじクッキーからし味ってことか!」
「でも不思議なのが~、これ、手書きなんだよね~」
……手書き?
「光、まさかこれお前が作ったのか?」
「あは~☆ ばれちゃった~!」
……何のために作ったのかがサッパリ分からん。
とりあえず一言。
知らぬが仏って正しいね。
じゃ無きゃ岳は絶対に食べなかったからさ。
おみくじクッキー。
ちょっと作ってみたかったりします(笑)