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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、睦月の暴走
338/410

338 高山四兄妹、仲は良くても

「ねー純兄」

「ん?」

「昨日あたし達、貧乏神払ったよね」

 いっぱい笑って、七草粥も食べて。

「ん。なのになんで風邪ひいてんだお前」

 あたしは今それを聞こうとしてたんだよっ!

 忍です。

 頭は痛いし、フワフワするし、喉が痛くないのはまだ良かったけどなんかダルい。

「もー、貧乏神払ったら普通風邪ひかないでしょ」

「誰だってひく時にはひくだろ」

 そう?

「じゃ、あれだよね。『風邪ひくなよ』って別れの挨拶、無理だよね。誰だってひく時はひくんだもんね」

「ん。言ってやるな」

「誰に?」

「別れの挨拶に『風邪ひくなよ』って言う奴に」

 あーい。

「ね~お兄ちゃ~ん~。びんぼーがみって神様なの~?」

 光も一緒にダウンしてまーす。頭合わせて並べたベットの反対側にいまーす。

「曲がりなりにも神科、だったかな」

「かみかって何~? 神様になる事~?」

 神化?

「字が違う。キツネザル科とか、マングース科、とかの科」

 そんなのあるんだー……。

「神科って倒せる~?」

「生物だからな」

「うふふ~」

 光、怖いから。凄く怖いからその笑い。

 絶対『貧乏神倒してやる~』的なこと考えてるよこの子。

「昨日の貧乏神さんは何処に居るかな~?」

「呼んだ?」

 来たよ。

 自分を倒そうとしてる奴が居る所にわざっわざ姿現したよ、この貧乏神。

 言っていい? アホだろお前。

「おやおやおや、すっかり弱っちゃって」

 いや、貴方を倒そうという殺気はすっかり高まっちゃいましたよ。

「これならとりつきやすい」

 とりついた途端フルボッコにされますよきっと。

「お兄ちゃん~、神様殴っても罰当らないよね~?」

「ん、これは神様とは違うから」

 そういえば昨日、弱点の中に神挙げてたね。

「えい~」

「ぐぽっ」

 光の口調がほのぼのしてるからって、油断してはいけません。

 貧乏神みたいになるよ。動きは速いから。意外と。特にむかつく奴殴ったり蹴ったりする時の手足の動きは特に。

「姉ちゃーん、光ー。母さんがポ〇リ買ってきたらしいけど飲むかー?」

 階段上るの億劫で、階段の上に居る人に階段の下から話しかけることってあるよね。

「ちょーだーい」

「岳お兄ちゃ~ん~! 貧乏神がまた来たよ~!」

 光、それいう必要あったの?

「貧乏神ぃ!? またか!」

 あ、岳が階段登ってきた……音がする。

「あっ! 居た!」

 居るって言ったじゃん。

「この野郎! 光のはテメーが原因かぁっ!」

「ぐぎゃっ」

 あ、貧乏神の鳩尾に岳の蹴りが。さらに顔面に拳がめり込んだ。

「ねー岳、あたしは?」

「姉ちゃんのは多分勉強のしすぎ」

「そんなにやってないよ」

「オレからしたらやってんの!」

 いや、岳勉強しないじゃん。宿題もよく学校でやるし。

「……ん? あ。オレと、白金高校に行きたくなる前の姉ちゃんからしたらやってんの!」

 何で言い直した!?

「おーい、貧乏神、大丈夫か」

「……イタイ」

「だろうな。貧乏神の分際で俺等の妹に手ぇ出すからだ馬鹿」

 ねぇ、『等』って入ってるってことはあたしカウントされてないよね? もしかして純兄も岳と同意権?

「たかが人間のパンチとキックなのにイタイ」

 たかがって言ったな?

「たかが人間だと思って舐めてんじゃねーぞ。そっちはたかが貧乏神だろー」

 岳、調子に乗ると手に負えません。今もなんか、貧乏神の鳩尾にかかとねじ込んでるし。笑ってるし。

 端から見たらもう完全にいじめっ子だよ。

「高山兄妹舐めんじゃねぇぞ。小物が」

 純兄じゃないよ今の。あたしだよ。

 ちょっとノって見たかったのー。やってみたかったのー。

「永遠にさよ~なら~、貧乏神ちゃん~」

 ちゃん呼ばわりだよ。貧乏神をちゃん呼ばわり。

 ……あたしら完全に悪者だよねー。悪役だよねー。やってる事が。

「逃げるなら今の内、さっさと逃げなきゃ……」

「ひぃっ!?」

 凄いスピードで逃げて行った。

 まぁねー、今の純兄怖かったもんねー。肉食獣みたいな目で睨み付けられてたもんねー。

「どうする気もねぇけどな」

 逃げた方見て肩すくめたり。

「さー、厄除け厄除け、あははははっ」

 逃げた時の貧乏神の顔思い出して笑ったり。

「あ~、だいぶ楽になったよ~」

 貧乏神の事綺麗に忘れた振りして伸びしたり。

「家に入ったのが運の尽きってね」

 酷い目にあったことを相手のせいにしたり。

 いやー、あたし達って酷い兄妹だね!

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