表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
2012、睦月の暴走
337/410

337 七草粥食べて、笑いましょ。これで無病息災!

「光、春の七草言ってみよう」

セリナズナ~、御形ゴギョウ繁縷ハコベラ仏の座~、スズナ蘿蔔スズシロこれぞ七草~!」

 さぁ、これを今の名称で言ってみよう。

 セリ、ナズナ、ハハコグサ、ハコベ、コオニタビラコ、カブ、ダイコン

 言いにくい。

 忍でーす。

 今日の朝ごはんは七草粥、ぶっちゃけ葉っぱの味よく分かりません。

 ちょっとだけど、鰹節とか醤油とかかけてるしね。

「はい、今光の言った七種類の草がこの中に入っていまーす」

「菘と蘿蔔は根っこも入っていま~す~」

 あ、ダイコンの根っこ発掘。…………ダイコンだよね? きっと。

「母さん、おかわりってあるよな?」

「足りなかった~? 鍋に入ってるわよ~」

 岳、食べ終わるの早いなー。

「よし光、次は秋の七草言ってみよう」

 おとーさん、何がしたいのかよく分からないよ。

はぎススキ~、桔梗ききょう撫子なでしこ女郎花おみなえし~、くず藤袴ふじばかまこれも七草~」

 食べた事無いけど。

 って言うか、元々秋の七草は眺めて楽しむモンだってさ。

 …………眺めもしないや。

「じゃあ光、昔の七草は?」

「お母さん~、お粥おいしいね~」

「おーい」

 誤魔化したな。

 ……あたしも知らないけど。昔の七草。そんなのあったの?

「米、栗、キビ、ヒエ、ゴマ、小豆、蓑米」

「そうそう~、純お兄ちゃんが言った奴~」

 光、素直に知らなかったって言いなさい。

「へぇ~、そうなんだ」

「おとーさんも知らなかったの!?」

 何で知ってるみたいな顔して光に問題出したの!

「へ? 知らないから聞いたんだ」

 ……さいですか。

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥って言うでしょ」

 いや、昔の七草知らないからって恥かくことは無いと思うなぁ。

 そもそも昔の七草の存在自体知らなかったし、あたし。

「兄ちゃん、そんなの何処で知ったんだよ?」

「お菊さんに教えてもらった」

 ……あぁ。何か納得。

「誰?」

「お化け。怪談でよく皿数えてる奴」

「あぁ」

 おとーさん、意外と簡単に納得するんだね……。

 そりゃそうか、純兄が霊的なモノ見えることくらい知ってるし。あたし等が見えるようになったのも知ってるのかな。

「ちなみに今食べてる七草~、お菊さんにいただきました~」

『そーなの!?』

「ん、採り過ぎたからおすそ分けだと」

 お菊さん、七草粥の野草自分で採ってるんだ……。

 そういやおとーさん、野草にはまってたのに何でこれは採りに行かないんだろ。

「いいなぁ、純も凛も、お化けが見えて」

「父さーん、オレ等も見えるぜ! 大分前から」

 去年の……三月くらいから。わぉ、意外と前だ!

「ウソ!?」

「ホントだも~ん~! 今もほら~、お父さんの後ろにガリガリのお爺さん……が……お母さ~ん~!」

 怖!? ちょっ、顔が怖い!

「何だよあれ!? 骸骨!?」

 おぉ、その表現ピッタリだよ。骸骨に皮貼り付けたような顔、もう一回言うよ。怖い!

「へ?」

 おとーさんいいなぁ! 見えてなくて! 純兄助けろーっ!

「ちょっと……そんなに怖がらないで」

「ん、怖がるなって言うなら、まずは何でも良いから食って太れ。

 ところで忍、太ったか? なんか重い」

 正月は皆多少は太るモンなの。

 しばらくしたらまた元に戻るよ。毎年そうだもん。

 ……でも太ったか? とか言われるのちょっと傷つく。ペーランサボらずちゃんとやろう。

「何? おとーさんの後ろになにが居るんだ?」

「あぁ、心配しなくて大丈夫。貧乏神だから」

『心配するわっ!』

 するべきだっ!

「貧乏神が居たら、何とか少ない金で生活しようとするだろ?

 貧乏神がどっか行ってもその癖が抜けなけりゃ、金が溜まる」

『…………』

 いいのかそれ。それでいいのか。

 少ない金で生活する癖がつくまで貧乏神居たら大変だよ。

「たまに餓死する奴が出てくるけど」

 ダメじゃん!

「貧さん出てってくれ!」

「あの、ワシこっち! しかも貧は名字じゃない!」

 おとーさん……気持ちは分からんでもないけどさ……。

「父さん! 貧は名字じゃねーって! きっと『貧ぼ』が名字だ!」

 それはもっと無いでしょうが! 何で名字の最後の『ぼ』と名前の最初の『う』が一つの漢字『乏』に同居してるの!?

「ぴんぽん!」

 なんで合ってるの!?

 なんか骸骨みたいにやせこけたお爺さんが、腕と人差し指突き出して笑ってる図って怖いね!

「いやー、楽しいなここ」

「居座るのはお断りだからな」

「いやいや、君は知らないかもしれないが、断ってどうにかなるものじゃ無いからねぇ」

 え゛。

「ふぅん? 貧乏神の弱点ってなんだったっけ」

「え? 幸せな笑いとか、強運とか、死神とか、神とか、無邪気なお化けとか、囲炉裏の火に、健康な働き者」

 弱点意外に多いね。そしてきっと、弱点ぺらぺら喋っちゃう事も弱点だよね。

「あはははは~!」

「光、わざと笑うのは違うだろー」

 ちょっぴり引いたけど、貧乏神。

「岳、意外と効いてるみたい」

「マジで!? あっはははは、貧乏神意外と弱ぇー!」

 ちょっと無理してるっぽいけどね。岳も。

 あ、おとーさんも笑い始めた。おかーさんも。

「…………ぐすん」

 涙ぐんで出て行っちゃったよ貧乏神。

 笑う門には福来るって本当だねー。いや、福の神は来てないけど。

「……ちょっと可哀想だったかな~?」

「大丈夫よ~、貧乏神は意外にタフなんだから~。千年は生きるわよ~」

 わぉう。

「貧乏神って生きてるもんなんだな……」

「神ってつくけど、お化けみたいなモンだしな。 ……あ。夏ん家入った」

「え~っ!? はーちゃんが~!」

「秋ちゃんが~!」

 とか慌てながら言いつつ、あんた等全然動かんな。光とおかーさん。

「あ、あっさり出てきたぜ」

「……ん、あっこにゃ笑い上戸が居たな」

 なっくんか……。

 なっくんだけじゃなくても、はーちゃんも冬くんもよく笑うしね。

「あー、冷めてもおいし」

 七草粥。

「ん。同意」

「オレもっかいおかわりしてこよ」

「私もおかわり~!」

 なんでだろう、もちが食べたくなってきた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ