335 ダウト
「8~」
『ダウト』
「あぅ~」
やっぱり。4じゃん。
「9」
「ダウト~!」
「残念」
本当に9だった。
「うぅ~」
岳だーっ!
言わんでも分かるだろうけど、ダウトやってる。
兄ちゃんとオレと光とで。姉ちゃん勉強してる。今話しかけたらやべーぞ。すっげー怒るぞ。兄ちゃん波に怖ぇーんだぜ。姉ちゃんキレたら。マジ切れは兄ちゃんを超すかも……。
それはともかく、今、光の手札が持ちきれねーような事になったとこだ。溜まってたんじゃなくて、さっきから嘘吐きまくって『ダウト』言われまくってたから。
「10!」
本当だぜ? マジだぜ?
兄ちゃんか光、ダウトって言え! 1枚だけど、増やせるんならそれでいい。特に兄ちゃん!
『…………』
なんで何も言わねーの!?
「11~」
3枚かー。
……でも、これが嘘ってこたねーだろ。どっぷり持ってんだから。11の3枚くらい持っててもおかしかねーよ。オレ持ってねーし。
「ダウト」
「純お兄ちゃん酷い~っ! なんで分かるの~!? なんで手加減しないの~!?」
「ん、油断大敵ってな」
兄ちゃんが油断してるとこ見た事ねーよ。それにどっちかってーと容赦ないっつーんだよこれは。
「あぁ~、減らない~っ!」
光も光だよ。何でわざっわざ嘘吐くんだよ?
3枚中2枚本物だったじゃねーかよ。
「12」
『ダウト!』
「ん」
よし、9だった! 兄ちゃんの手札は減らなかったぜ!
でも……溜まんねぇな。
「13!」
マジだぞー、まだ手札はあるぜ。
「1~」
「ダウト」
……兄ちゃん、光の番はいっつも『ダウト』言ってね? 表情だのなんだの難しいの見て言ってんじゃなくて、光だから言ってるんじゃねぇの?
「ふふ~、今度は本当だもんね~!」
「ん。よかったな、学習能力があって」
「どういう意味~?」
そういう意味だろ。
七回くらい連続で『ダウト』言われ続けて、全部嘘だったんだから。
兄ちゃんの手札が増えた。
よし、これで今ん所オレ一番! でも油断大敵! 兄ちゃん言ってし。
「2」
次は3だな……やべ、無ぇじゃん。
6で代用!
「3!」
『ダウト』
なんでハモる!? すっげー綺麗にハモってたぜ今!
チクショー。でもよかった、2枚で。ホント溜まらねぇなおい。
……しかも兄ちゃん、2っつって出したの9じゃねーか。あのポーカーフェイスは見破れねーからなぁ。言うのちょっと躊躇っちまうよ。
「4~」
「……ダウト」
あ、兄ちゃんちょっと躊躇ったよな。
「少しは溜めようよぉ~!」
光ぃ! なんでわざわざ嘘吐くんだお前は!? 明らかにAからKまで全部持ってるのに嘘ついて、何のメリットがあるんだ!? 今ので兄ちゃんの手札増やせたかもしれねーのに! 1枚だけど。
「5」
『ダウト!』
「ん……溜めようっつったくせに」
よし、兄ちゃんの手札は減らなかった……何でまた9なんだよ。兄ちゃんの手札9多っ! 三枚目じゃねーか!
次6だな。6ならあるぜ! さっき2の代用に出した奴が!
……いや、ちっと待てよ。6があるってあの二人は知ってんだ。んじゃ、今回はぜってーオレが6を出すと思ってるだろ?
そんならそれを逆手にとって、4!
「ん? ダウト」
「エスパー!?」
「さっき、2の代わりに出した6にはペンのインクついてたから」
……トランプの裏が全部同じ柄なのはなんでだと思ってんだぁっ!