33 今日も今日とて
たーたー、たかたかたんたんたかたかたんたんたかたかたったらったたららら♪
これだけで何の曲か分かった人はそんけーに値する!!
「チッ、ちょこちょこ逃げやがって……」
「ほーれほーれ、ついて来れないのかにゃ~、修也くぅん?」
岳ダス。
今日も今日とて修也を弄り、煽り、追いかけっこを楽しんでいる!
や~、若干顔赤くして、可愛いの何の。
死神トリオも混じったら面白いかと思ったんだけどなー。
今日から明後日まで何か三人揃って用事あるんだそうな。
死神の用事ってなんだよ。
「ほーれほれ、奈那子ちんと遊んできた方が楽しいんでねーの?」
「なんで奈那子が出てくんだよッ!」
「ムキにならなーいの♪」
何かなー、調べた情報によると付き合っちゃってるみたいなんだなー。
お陰で10円ガムをあげる羽目になった。
「ホラホラ、こっちこっちー」
「チッ」
や~、追いかけっこって楽しいねぇ。
先生は『仲良きことは美しきかな』とか言って入ってこねーし。
むしろ緑茶すすりながら、さらにお菓子つまみながら観戦してるし。
で、クラスの殆どのやつらはそのお菓子もらいに行ってるし。
オレも逃げ回る合間に盗りに……もとい、もらいに行ってるし。
いや~、案外旨いお菓子もらってくるから嬉いったらありゃしない。
「修也~、食う?」
「ッ……いらねえよ」
そんなこと言って、本とは欲しいくせに~。
「ほら、やるよ。先生のだけど」
「は?」
とりあえず一個あげた。
オレやっさしー。
「…………ゴミじゃねぇかッ!」
「や、ちょっと期待したでしょ? はいホンモノ」
うん、今度のはホンモノだぜ。
先生のもってきたミニクッキー。
ねーちゃんのお菓子並に旨い。
あー、最近食ってねーなー、ねーちゃんのお菓子。
「岳!」
ん?
「のわッ!?」
あーぶね、マジでこけそうになった。
さんきゅー翔。
「修也、クッキーあげたのにいきなり攻撃してくるとは何事だ!」
「え? あ、悪ぃ」
え? 素直……。
「じゃ、さいか~い!」
「ハァッ!?」
お~にさ~んこっちら、手~の鳴~るほ~うへッ。
パチパチ手を鳴らしてやると箒片手に突っ込んできた。
やっぱ挑発にはこれが一番だ。
さて、修也の息も切れてきたし、
「翔!」
「ん?」
「はい、バトンタッチ!」
「………………は!?」
それゆけー!
どんっ
がらがらがらがら
あ゛。
思いっきり突き飛ばしたら机巻き込んでこけちまった。
「おい!? 大丈夫か!?」
「へーきへーき……、おれは石頭な方だから」
「テストはいつもオレより点数低いしな!」
「そーゆー意味じゃねーっ!!」
あ、違うの。
「だいたいお前に勝てるわけ……そうだ、勝てるわけ……うぅっ」
おーい?
突然泣き出してどーしたの。
どーみてもウソ泣きだけど。
「オール100点なんてそう居るもんじゃねぇし」
『お前が言うか!?』
うーわ、修也が突っ込まれてる。
めーずらし。
大分溶け込んできたねぇ。
ちょっと前は一匹狼的な感じだったんだけど。
え? んな描写なかったって?
……気にするな、きっと後付けじゃない。
と、オレは信じといてあげよう。
「翔ー、修也ー」
「あ?」「ん?」
「よーい……スタートッ!」
机の上まで逃げ回る翔にそれを追いかける修也。
いやぁ、よく分かったなぁ。
「うぁっ!?」
「……遅っ」
修也、小声でも聞こえてるぞー。
ちなみに翔は足速いほうだぞ。
お前が足速すぎるんだ。
「はい、じゃー岳! 後はよろしく!」
「テメェわざと摑まったな!?」
「あっははー」
笑ってごまかすなよ!
「いや、岳と修也の方が面白いから。見てて」
……喜べばいいのか怒ればいいのか。
まぁとりあえず逃げ回りるとしよう!
「行くぜー、よーい……ドン!」
再び! 先生のお菓子をつまみながら逃げるオレに追いかける修也!
あー、たーのしっ。
こんな先生が欲しい。
という願いから生まれたのが岳たちの担任です。
あー、お菓子くれる先生いないかなぁ……。