321 小学校の階段大掃除
「さぁ~、大掃除だよ~!」
「うん、大掃除だよ!」
「さぁ~、終業式だよ~!」
「うん……、終業式、だよ」
「さぁ~、冬休みだよ~!」
『いえぇ~っ!』
わぁ~、皆さんご一緒にいえぇ~! だよ~。
光です~。
これから大掃除~。
それが終わったら終業式~。
それが終わって学活したら冬休みなのです~! いえぇ~。
最近寒いと思ったら冬休みだよ~。びっくりだね~。
「さぁ、気合入れてやろうな! 年末大掃除だ!」
後十回寝たらお正月だよ~。
紅白歌合戦を最後まで見て~、除夜の鐘聞いて~ってして起きたままお正月迎えるのなら後九回~。
他にも徹夜なんかするなら~……知るかンなもん~、だよ~。ちゃんと寝なさ~い~。
「私達は階段掃除だ~」
「同じ班だもんねー!」
「……三人でやったら、あっという間」
いえ~い~。
「……あの、俺等居るんだけど」
そうだった~!
「ごめんね~、忘れてたよ~、八月十五日くん達~」
「違う! 八月十五日で、あきなかって読むんだよ!」
あはは~、現実に居たら会ってみたい名字にランクイン~。
……あ~、目の前に居るんだった~。
「さー、さっさとやっちゃうよ!」
「六人寄れば……文殊二人の早さ?」
「その文殊の掃除の速さが分からないよ~」
文殊って知恵をつかさどる菩薩だもの~。掃除はあんまり関係……あ~、もしかしたら早く掃除を終わらせる方法とか考えるかも~?
でもそれなら素直にやった方が早そうだよ~。
「掃いて~、掃いて~」
「おえぇっ」
吐いてじゃないよ~。桂くん~
「でぇいっ!」
はーちゃんの蹴りが桂くんのお尻に炸裂~!
「ぎゃぁああああっ!?」
階段から転がり落ちちゃった~。
大丈夫だよ~、転がり落ちるって言っても~、終わりの二段だったから~。
「汚いギャグ、駄目」
さらにみーちゃんがほうきでこつん~。これはあんまり痛くなさそう~。
「痛た……何すんだよ! 海中っ!」
「みーちゃんが言ったでしょ! 汚いギャグは駄目! オマケに寒かった! 取り敢えず気持ちよぉく新年を迎えるために排除したよ!」
「お前の頭と心掃除した方がいいって!」
む~。はーちゃんを悪く言ったな~!
はーちゃんは頭も心もきれいだもん~!
「とぁ~!」
階段の半分よりちょっと上の方から大ジャンプ~!
「ちょっ!? 高山! スカート捲れて……」
「はーちゃんを悪く言うな~! そして見たな~? え~い~!」
スコーン。
箒が桂くんの頭にくりてぃかるひっと~。
そしてそのまま私は桂くんの上に着地~!
小太りだからやわらかい~。
「水城ぃ! 大丈夫!?」
水城って桂くんの名前だね~。
「大丈夫だよ~」
「お前じゃないよ!」
む~。
「さ~、はーちゃんみーちゃん続きしよ~。粗大ごみは片づけたもんね~」
「そうだね!」
「そうだね……」
「水城、今度からアイツ等、小悪魔三人衆って呼ばない?」
「……俺の心配は?」
ドンマイ桂くん~。
「小悪魔三人衆だって~」
「褒め言葉! 褒め言葉!」
「……美代、小悪魔っぽいことやって無い……」
「落ち込まないで~!」
「これからやればいいんだよ!」
あれ~? いいのかな~?
「あーいあーい、ちょっと通して……って、あれ? 大丈夫か!?」
あ~、岳お兄ちゃん~。ゴミ箱持ってるってことはゴミ捨て当番だね~?
「光、何があったんだよ。こいつ、階段から落っこちでもしたのか?」
「そうだよ~。足滑らせちゃって~。だから休ませてあげてるの~」
「そっか。酷いんなら保健室行けよ?」
「ち、違うよ……俺は……」
「分かってる、誰だって一回はやっちまうんだよ。あれ? やるか?」
全然わかってないよ~、お兄ちゃん~……。そしてやらないと思うな~。
「さぁさ、頑張ろ! あともうちょっと!」
「お~!」「……おー」
階段はきれいになりました~。
階段は~、ね~。
男の子たちがどうなったかはご想像にお任せを~。
「大したことなって無いじゃん。保健室行っちゃったんだから」
はーちゃん~、言っちゃ駄目~!