表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
十一月でなくとも暴走中
287/410

287 霊界にも色んなのが居る

「じゅん、リオン知らないでしゅか?」

「リオが何処にいるかよりも、ミュウがなんでここに居るのか知りてぇんだけどな、俺は」

「リオン知らないでしゅか?」

 スルーか、おい。

 純だ。

 最近、用も無いのに霊界に来ることが増えた気がする。実際増えたんだけどな。今、学校はニ時間目当たりかな……。

「リオン知らないでしゅか?」

 三度目。ほっといたら何回言うんだろ。

「答えないと実体化できないようにしましゅよ?」

 ん、それは少し困る。

 リオが行きそうな所……

「リオの故郷は?」

「行ったでしゅ」

「飯屋」

「行ったでしゅ」

「カジノ」

「行ってないでしゅ! ありがとでしゅ!」

 すっ飛んでった。

 ……居るって保証はねぇんだけどなぁ。まぁいいや。 

「おぉっ! 純!」

 俺が今居るのは、霊界の中でも大きい商店街。

 売ってる物はどれも激安。たまに例外でやたら高いものがあるけど、基本激安。真ん中は無し。極端な商店街。

 名前が『極端商店街』だからか? 素直すぎやしねぇか。

 えっと、今こっちに走って来てるのは……。

「橋本さん?」

「誰が橋本さんだって? 私はハシモンって名前だぞ」

 ちっ、惜しい。

「何か御用ですか?」

「冷たいな、死神学校の同期卒業生じゃないか」

 周りが年上ばっかりだったからなぁ……同期って言われてもピンと来ねぇ。でも多分、俺のことだから敬語使ってただろうな。

 ハシモンさん、いい年したおっさんだし。少なくとも見かけは。

「まぁ、今日は久し振り……一年半前後か? に会ったんだし、飲もうじゃないか」

「……朝からですか?」

 しかも俺未成年。死神だから法律関係ないけど、未成年は未成年。

「大丈夫! この時間からやってる店知ってるんだ」

「すみません、俺、ちょっと用あるんで。少なくとも今日は空きそうに無いです」

「そうか……じゃあ、またの機会に」

 次この人見かけたら逃げよう。

「おっ、純じゃねぇか! トマトはもう食えるかー?」

「おかげさんで」

 八百屋のおっさん。本名知らん。

 なんて言うお化けかも知らん。

「そうかそうか! まぁ、この季節、トマトは無いが、かぼちゃとか、山芋ならあるぞ!」

「今は足りてるよ。買う前に家にあるのさっさと食わねぇと」

「そうかそうか! 無駄買いはいかんからな! じゃあさっさと帰って食いな!」

 今?

「で、ウチの買いな! 安くしとくから!」

 ただでさえ激安なのに、これ以上安くするって言ったら……日本円でも一桁になるんじゃ。

 よし、絶対来よう。

「ん。無くなったらまた来るわ。んじゃ……」

「そうかそうか! また来いよー!」

 行くって言ったとこじゃねぇか。

 おっさん、人はいいけどたまに人の話し聞かねぇんだよなぁ。

「あら、純。今日はリオンと一緒じゃないんだ」

「リオはカジノかどっかで遊んでんだよ。多分。いつも一緒に居るわけじゃねぇし」

 仕事ん時は一緒だけど。

 花屋の姉さん。子供の頃に、どこぞの小学校の七不思議のひとつになった事が自慢らしい。

 ちなみに、ハロウィンに、ジャックランタン作ったかぼちゃはこの人に貰った。

「リオンがカジノ……? あんまり想像できないな」

「いっつも負けて戻ってくるぜ」

「あぁ、よく分からないけどちょっと安心」

 本当によく分かんねぇな。安心要素が何処にあったんだ? 心配要素もねぇけど。

「あぁら、純ちゃんじゃない」

 あ、口裂け女。……じゃなくて、名前なんだっけ。

あかねさん?」

「そうよぉ、ちゃんと覚えてたからべっこう飴あげる」

 何で名前覚えてただけで飴くれるんだ、このお化け。

「あ、そうそう、お菊ちゃんに会ったら、菊の花ありがとうって伝えておいて。何処にいるか分からなくてぇ」

 何処かの家のお手伝いさんやってると思うぞ。

 お菊さんだから、皿の扱いにはめちゃくちゃ気を使ってる。そっちに気を使いすぎて、他がおろそかになる事がたまにあるらしいけど。

「純」

「あ、リオ。何処行ってたんだ?」

「見てこれ!」

 ……チラシ?

『新発売! キムチと唐辛子、激辛パター蛇(食用の蛇、異世界の産物)の激辛パフェ!』

「おいしいと思う?」

 辛いと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ