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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
十一月でなくとも暴走中
272/410

272 さぁどこまでが台本通りか当ててみろ!

 ふわぁ~……ふぅ。

 ねむねむ……。

 桜です~。いきなりごめんなさ~い。

 文化祭二日目、今日は主に演劇です~。暇。……あ、言っちゃった。

 でも、でもね! 暇なものは暇なんだもの、仕方ないでしょ。

 劇は三年三組と二年生三クラス、先生たちのと、後はやりたい人が集まってやれ~って言うのが一組の筈……。

 ざっと紹介していくね~。

 二年二組『白雪姫inジャパン!』

 完全ギャグ展開の、日本版白雪姫でした~。

 王子様のキスで白雪姫が目覚めるところが、お坊さんのお経で目覚めたのは何故?

 二年三組『暇!』

 言っちゃ悪いけど、見てるこっちが暇でした。

 二年四組『永久に』

 ……ごめんなさい寝てました。

 でもでも、周りの人がすっごく感動してたよ~、人によっては指笛鳴らしてた……気がする。

 先生方『桃太郎』

 いくら桃太郎役だからって、年甲斐もなく『おぎゃーっ!』って泣き叫んで、どっちらけた後に大笑い、さらに馬鹿にされた牡蠣野先生に励ましのお便りを。

 三年三組『夏のバレンタイン』

 夏でなければ、バレンタインまでまだまだ時間はあります。ちなみにラブコメ。現在進行形で演ったはります

 ……たった今、こんなセリフが聞こえてきたよ。

「あぁっ! チョコが溶けちゃうっ!」

 夏だもんね、設定上……。

「ありがとうございました!」

 ……え?

『ありがとうございましたぁー!』

 …………えぇ!? 終わったの!?

「あ、山内さん起きた?」

「山本さん、わたし寝てた~?」

「ぐっすりと。『チョコが溶けちゃう』の所から」

 お~……全然気づかなかったな~。

「そう言えば、さっきから高山兄妹さん居ないんだけど、何か聞いてない?」

 忍と純くん?

「な~んにも?」

「ふぅ~ん、そっかぁ」

 どこ行っちゃったのかな~。

 ……あ、そういえば前に何か言ってたな~。えっと……

『ホンットオカルト部何なんだよ!』

 関係ないか~。

 っていうか、オカルト部なんてあった……あ、そういえばたまに五人組が騒いでるね。あれかな~?

『プログラム六番、有志者……』

「オカルト部だよっ!」

 ……耳に悪そうな声がしたよ~? 超音波みたいな……。

『えぇと、プログラム六番、オカルト部、『さぁどこまでが台本通りか当ててみろ!』です』

『さぁどこまでが台本通りか当ててみろ!』? 挑戦的なネーミングだね~。

 あ、緞帳が上がって……中の幕は閉まってるね。そして誰も居ない。ただのステージとも言います。

 誰か出てきた~。制服姿の……

「あれ? 高山さん、オカルト部だっけ?」

「まっさかー。しょっちゅう逃げ回ってるよ?」

「高山兄と一緒にね」

「……やらされてるとか?」

「かも、ね」

 ざわざわしてる中の一部をご紹介しました~。

「シャラップ!」

 上から声が? 超音波ちゃん、もとい夏江なつえちゃんの声……照明かな。

 シーンと、静まり返った体育館に、再び超音波が響きます!

「さぁ、いいよ! しののん!」

「この空気でどう始めろと!?」

 忍はすっごく気まずそう……。

「て言うかね、ちょっと手伝ってーって言うから照明か音響か、そのあたりだと思ったのにね!? 何でキャストなわけ!? おかしくない!? 何で手伝ってーって言う方が裏方に回ってんの!?」

 手伝ってるところがちょっとじゃないよね、それって。

「手伝ってもらうからには華持たせるべきじゃないっすかー! だから、しののんセンパイと純吉センパイにはそっち回ってもらいます」

 もう一人の照明、上靴見えないし、名札もしてないから何年生か分からないけど一年生か二年生なんだね~。先輩って事は。

「こっちとしてはいい迷惑だよそれ!」

 本当にね。

「し、しののん先輩、台詞忘れたなら台本貸しますよ?」

「いらんわ! せめてえっちゃんこっちおいで!」

 怒鳴ってる顔の向きからして音響の方に叫んでるのかな?

「わ、私無理ですっ! ほ、ほら、音響がありますから……」

「音入れるところなんかないでしょ!?」

 じゃあなんで音響の役あるの~?

「わ、分かりましたっ! じゃあ……」

「うん、早くおいで」

「何か適当に音入れます!」

「なんでそうなるの!?」

 ……わ~、本当にどこまでが台本通りか分からない。

 全部アドリブなんじゃないの~?

「……純吉は何処に行った!?」

 あ、やっともう一人舞台に出てきた。

 なぜか手にはハリセン。それで忍の頭を……はたきましたぁっ! ナレーションじゃないよ? 多分。

「何であたしがはたかれなきゃなんないのさ……」

「純吉は何処だ?」

 スパーン! ガタンガタン、パリーン!

 ……あれ? 何か余計な効果音入らなかった?

「枝奈、何してるんだ?」

「何か適当な音入れるって言ったじゃないですか、古賀先輩」

「ならいい」

 いいんだ~。

「で、純吉は何処だ?」

「純兄、出て来いってさー」

「ちっ」

 舌打ちがここまで聞こえてるよ~。

 どどんどどんどどどん!

「何の効果音!?」

「えっと、太鼓Ⅰって書いてあります」

 確かに太鼓の音だったけど……。

「あ、救護係の先輩!」

「あの時はありがとうございました!」

「俺にはそれしかねぇのかおい」

 だって純くんって表に出る事無いじゃない~。

 去年やった劇だってあっちこっちのヘルプしてただけだったし……。だからそれしかないんだよ、きっと。

「よし、じゃあ俺は戻る」

『何処に』

「小道具」

「何も作ってねぇだろうが」「何も作ってなんか無かったでしょ!」

 古賀くん……ハリセン持ってた割には突っ込まれてばっかりだね。

「…………」

 スパパコーン!

 ハリセンが華麗に高山兄妹に直撃しました!

「俺にも突っ込ませろ!」

『じゃあボケんな!』

 ごもっとも~。

『……後、一分』

 何か放送で聞こえてきたよ?

「えぇ!? それホント? マコちゃん!」

 夏江ちゃん、声ホンット響くよね。

「叫ぶな超音波」

 純くん、それはあまりにストレートに言いすぎじゃ……。

「どーしますー? 終わらせましょっか」

「マコちゃん! 緞帳閉めていいよ!」

『はい』

 あ、緞帳閉まり始めた……え、終わりなの!?

「終わるの!? ホンット何だったのこの劇!」

 舞台の上に居る人がそう言う事言っちゃっていいのかな?

「誰だ律儀にも手ぇ叩いてる奴」

「どうもありがとう」

 唖然とする忍に、呆れた顔している純くん、頭下げる古賀くんと……よく分からない状態だねぇ。

『え……と、ありがとうございました。もう一度拍手をお願いします』

 何でちゃんと拍手してるんだろうわたし達。



「ねぇ忍~」

「あい? 何桜」

「あれって結局どこまでが台本通りだったの?」

「全部」

 ……あれで?

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