271 居なくなっては探し
「忍にぃ! 小っちゃい建物が建物の中にあるぞ!」
それは校舎の模型。
「し、しのにぃ! バナナの形がおかしい!」
幼稚園児の作品って書いたるしな。
「……しーにぃ、この水の中あわあわいっぱい」
プールの模型な、水はジェルなんやないと?
忍です、死神の。
忍ちゃんに会いたいーっ! とかダダこねた凶悪トリオ天斬剣と一緒に、水ヶ岡中学校文化祭に来ちゃいますが、肝心の忍ちゃんに会えません。
あっちこっち回ってみているにも関わらず。
……ところで、このトリオは、ほんっとーに忍ちゃんに会いたいのでしょうか。さっきから展示物見て楽しんでんねんけど。
「亮、亮、見てよこの絵! すっごく上手! 写真みたい!」
「……シジミ」
「紫波だよ!」
「……それは写真」
「え」
「それ……写真」
「…………」
あ、シジミ野郎が蹲って『の』の字書き始めよった。
写真を絵と見間違えるって、どんな写真だよ……。
「次行くぞー!」
『おー』
こら! 勝手に行動すな!
「おまーらな、ここに何しに来たと、ホンマに」
『…………えっと』
くぉら。リオン呼んで叱ってもらおか。
「……しーねぇに会いに来た」
「せやる? だのに何でさっきから展示ばっか見とんじゃ」
『珍しくて』
あぁリオン、こういう時俺は何て言い返せばいいんだ。
こいつら言ってることは事実だし……、何気にまだ幼児なんじゃよなぁ。普段忘れとーけど。
「居たいた、トリオ+忍」
「リオン! 俺をオマケみたいに言うな!」
「ごめん、まとめたらこうなっちゃって」
じゃあまとめようとせんといて。
「リオンは何しに?」
「時間が空いたから、来てみようと思って……忍ちゃんには会えた?」
『ううん』
三人そろって首をふるふる。綺麗にそろってる……
と、言う事はなくばらっばらじゃ。
「そっかー、何処に居るのかな」
「リオンも会わんかったんか」
もうその辺に居る人片っ端から聞いてったろかな。
「……あれ? トリオはどこ行ったの?」
「え? 居ない!?」
忍ちゃん一人も探せんのに、あいつ等はぁあああっ!
「こうなったらダッシュで色々すり抜けて隅から隅まで探してっちゃる!」
「忍ちゃん探すときもそうやれば早かったんじゃ……」
あーあー、聞こえなーい。
えー、この一般からの作品が展示されてる多目的教室は一階じゃけぇ……上に探してくか。
シュバッと音……は、実際せんけれど、走って……職員室だの購買だの体育館だのすり抜ける。
居らんかった。
しかも何? 多目的教室しか展示やってねぇじゃん、一階。
次二階!
三年生の展示物ざっと見て……居ない! 三組は劇をやるんだそうで、ただの教室やった。それだけ。
あ、音楽室がある……中はギターが置いてあること以外特筆することは無し!
次三階!
二年生は三クラスが劇? 一クラス寂しく……実際には結構人来てて寂しくも何も無かったけど……展示してた一組は、控えめっぽいのに、突っ込みどころあったら何故か全部突っ込む可愛こちゃんが居た。
次四か……あ、居たぁっ!
「忍ちゃん!」
「誰?」
…………誰か、俺を慰めて。
「忍、忍だ」
「……あ、衣装手伝ってくれた人か」
その言葉はわざとではなく本気で忘れていたという意味じゃよな!?
「……天斬剣に会わんかったか?」
「知らないよ? ねぇ。純兄」
「ん、知らねぇな」
あいつらぁあああっ! ホンットにどこ行きやがった! 四階にいることを願う!
……ちょっと気になったんやけど、周りの奴等、なんで純と忍が二人して何もない所と話してたのにスルーしちょんじゃろ。よくあることみたいな認識されてんのか? そうなのか!?
「天斬剣ぃー!」
『お腹一杯』
何でこんな返事が返ってくると!?