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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
十一月でなくとも暴走中
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270 探している、と言うのは口だけで

 忍です。死神の方の忍です。

 幼稚園の先生の気持ちがよぉーっく分かりました。

 ……だから、ね?

「おめー等もうチョイ大人しくできんか?」

『無理』

 なんと言う事でしょう。たった二文字で返されました。

 俺は今、凶悪トリオこと天斬剣を連れて水ヶ岡中学校に来ています。ちなみに学校サボりました、俺。純の文化祭にトリオが乗り込んでしまったので、わざわざ迎えに来てあげたんです。

 ほっといたらマジで何するか分かんないから。

「しーねぇ、会ったら帰る」

 忍ちゃんか? 純の妹の?

「それなら自分のクラスに居るんちゃうか」

 たしか、三の一のはず……。

「って、あれ、居らんこなっちょぉ!?」

 ……あ、今見えたで、階段登ってんの。

「待たんかぁっ!」

 追いついた頃には、既に三人は人の列をすっ飛ばして教室の中に入ろうとしてた。人に見えないのをいい事に……。

「忍にぃ! あれ、なんて読むんだ?」

 おー、喫茶店か何かみたいな看板がかかっちょる。なになに?

『オバケ喫茶』

 マジで喫茶かよ。あの衣装はこれのためか……。

「何が書いてあるかって聞いたんだ。早く答える」

 おめー等、日本語喋れるのに読めんのか。

「オバケ喫茶って書いてあるんだよ」

『喫茶?』

「えー……茶ー飲むこと、だったと思う」

 ……中でお化けが茶飲んでんのか?

「早く入ろうぜ!」

『おー』

 ぜんっぜん盛り上がっちょらんやん。

 お、ちょうど誰か入る所みたい……あ、この子可愛ぇ。くっ、霊体じゃ無きゃ話しかけたのに! 今実体化したら、絶対ビビられるしな……はぁ。

 まぁええわ。一緒に行動しよ。この中入ってる間だけは。……ストーカーとちゃうよ?

 黒いカーテンをめくると……

「トリック・オア・トリート」

「い、いらっしゃいませっ!」

 ドラキュラっぽいかっこうした女の子とついでに男子が出迎えてくれた。お、女の子めっさ美人じゃん。

「鈴木ちゃん、緊張しすぎだぜ」

 鈴木ちゃんっていうのかー。名字だよな、コレ。名前で呼べよ!

「う、五月蠅いわねっ! 別に緊張なんかしてないんだからっ!」

 あぁ、分かった。純の言っとった玲奈ちゃんか。なんとまぁ分かりやすい。まさにツンデレ。

「まぁ、気楽にやろーぜ」

 そういうのって普通裏でやるもんやないと?

「え、えっと、この先は二つの部屋がありまして、悪戯トリックの部屋とおもてなし(トリート)の部屋がありますっ!」

「好きな方を選べってこった」

「村田! 気楽すぎよっ!」

 あー、こいつが村田か。これも純から聞いてる。いじめっ子か。

「え、えー……っと、じゃあ、トリートで」

 客に引かれちょぉやん、ドラキュラコンビ。えぇんか、コレ。

 しかも何? その「いいの?」みたいな顔。

「行こーぜ行こーぜ!」

 天斬剣は選ぶ前に勝手に進んでやがんな。

 またカーテンをくぐると……

「……居心地が悪いんだけど、なんでだ? しのにぃ」

 足元にはジャックランタンがずらっと並び、壁には頭蓋骨がぶら下がっている。ところどころに蹲っている白頭巾やらミイラ男やら……あれはフランケンシュタインか? が、じぃーっとこっち、つまり入口の方を見つめている。

 何と言うか……物欲しそうな瞳で。

 こっちは『おもてなし(トリート)の部屋』だった気がするから……まさかおもてなし(トリート)って、『おもてなししろ』とでも?

 天が居心地の悪さを感じたのは多分、奴らの『おもてなししろ』オーラのせいじゃろ。

 ……俺等の姿、見えてねぇ筈なのに。

「……反対側がいい」

「私も」

「オレも」

 と言う訳で、しきりのカーテンをくぐり……もとい、すり抜けて、反対側へ。

『ぎゃぁあああああっ!?』

 あれ、こいつ等は確か……さっきおもてなし(トリート)を選んだ子の後ろに居た三人組だな。

「お菓子ぃ!」

「えいっ!」

「覚悟ぉっ!」

 ……そんな言葉と共に、がばぁっと覆いかぶさるように襲い掛かったり、スライム投げたり、猫じゃらしで首筋くすぐったり……なんか、色々やってる。

『楽しそうっ!』

「お前等は参加するな!」

 死人までは行かなくとも怪我人が出る!

「……だめ?」

 可愛く首を傾げてもいけんよ、斬。

「でも、もうやった」

 早っ。

「きゅ、急に寒くなったな……」

「小浜もか?」

「藤原もか……うわ、スライム凍った!?」

 …………。

「斬、怒るよ」

「はーい」

 よし、元の室温に戻ったらしいな。

「うわっ!? 床水浸しだぞ!?」

「今度は剣か!?」

「斬やってたからいいのかと思って」

 床が腐るから水回収させて、

「もう出るぞ!」

『えぇっ!?』

「忍ちゃんおらんじゃったろ!」

『そういえば』

 わすれてたのか? 来た目的。

「……ったく、こうなったらその辺の子に聞くか」

 実体化ミサンガ(商品名)どこやったっけ。あ、あった。ポケットに入ってた。

 これを他人に見えないところで首に付けて、実体化完了! 何度も思ったけど、なんてお手軽なんだ実体化。

「忍ちゃんってどこに居るか知ってるか?」

 近くの白頭巾女の子に声をかけてみる。

「忍? 前半だったから、今は他のクラスの展示回ってるんじゃないか?」

「そっか、さんきゅ」

 やー、うちの学校の制服が学ランで良かった。そして今、その制服を着てた俺にグッジョブ。

「じゃあ忍ねぇ探すついでにほかの展示見ようぜ!」

『おー』

 えっ!?

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