27 寝言
「あーうー、さぶい」
忍でしゅ。
「なーんで楽しいことしてる時は時間が早く立つのかねー?」
さっきまで漫画読んでて気がついたら12時に。
いや~、不思議不思議。
明日もテストあるのになー、寝不足の可能性は限りなく高い。
うん、さっさと寝て明日は寝坊しよう。いつもが早すぎるんだから。
と、思って階段登ってたら……。
「わー、たーべーらーれーるーぅ」
何か岳達の部屋から変な声が聞こえてくるんだよね。
まあ寝言だろーけど。
どんな夢見てるんだか。
「あ~! 食うな食うな食うな食うな食うな!!」
寝言だとゆーのにえらい早口だな!?
……テープに取っといてやろう。
確か岳は録音機持ってたはず。
かちゃっ
「……うーわー」
いつ見ても思うけど岳の机、よく雪崩起きないなー。
元の高さの倍くらいになってるんだけど。
しかもよーく見たらゆれてるし……。
「おねーちゃんも来たの~?」
「光!?」
『しーっ』
あれ、純兄起きてたんだ。
「二人とも何してんの」
「岳お兄ちゃんの寝言で目が覚めちゃって~」
「右に同じく」
そんなに五月蝿いいのね、岳の寝言。
『だから寝言をテープに取っていつか脅しに使おうと(思って~)』
黒い。
「うぅ~、殺されりゅぅ~」
そこまでしないと思うよ、岳。
「馬鹿、アレは寝言だ」
「明かりをつけましょローソクに~。お花をあげましょ菊の花~。五~人ばやしも死んでいた~。
きょ~おは悲しいお葬式~」
「光は何歌ってんの」
突然すぎるにも程があるでしょ。
「今日はひな祭りだったの忘れてて~」
「え? 今日?」
「そうだよ~」
かんっぺきに忘れてた!
雛あられも菱餅も食べてなかったんだもん。
「うっめぇ!」
「黙れ!」
あ、あんまり美味しそうに寝言言うからつい。
「おっ! やった!!」
『?』
宝くじにでも当たったか?
「肉まんのあんに最初の一口で……!」
『それだけか!?』
「でも確かに嬉しいよね~。絶対に一口でたどり着けないもん~」
確かに、それは確かに。
「あ~っ! 光! 取るなァ……」
「何で私が取るの~?」
「普通に考えれば忍だろ……」
純兄、酷い。
「なぁっ! ねーちゃん取るな!」
「結局あたし取るの!?」
「ああぁぁ……オレ一口しか食ってねーよう」
失礼な、あたしは全部取ったりなんかしないよ!
「にーちゃーん、宿題やって」
「断固拒否」
純兄、あれは寝言だって。
岳、純兄がやってくれる訳ないでしょ。
「おぉっ!? 本とか!? やった!」
『嘘(~)』
岳の夢の中の純兄甘ッ!
「ねーちゃん、にーちゃんにべったりすんの止めなって」
「誰がしとるか!?」
「忍、抑えろ。殴ったら起きる」
うぬう……起きたらなぐるっ!
「ねーちゃんマジで猫みてーだ」
『それは確かに(~)』
……悔しいが否定はしないよ。
「ところでー」
ん?
「三人揃って何やってんだ、あん?」
『ばれてた(~)!?』
「バレバレだっ! 大声でツッコミその他するな!」
……一つ言わせてもらってもいーだろーか。
『寝言が五月蝿いお前が悪い(~)』
ちなみに、最初の方は普通の寝言だったから純兄と光、あたしの岳脅し道具となりました♪