268 ハロウィンパーティーをしよう 大人数で
「串刺しても何もついてこないよ!」
「パンプキンパイ完成だね~」
「……いい匂い」
「ねぇ、カボチャの皮って入れる必用あったの?」
彩も大事だよ! お菊姉さんの受け売りだけど。
春だよーっ!
今日はハロウィンパーティー! ハロウィンは明日だけど、明日は学校があるからゆっくりできないもん。だから今日!
「……何故俺はここに居るんだろう……」
「みっくん! なんでそんなに暗いの!?」
みっくんって、岬くんだよ。お兄ちゃん達のクラスメートの。
みーちゃんが引きずってきたんだ! ……意外と強いね。
「ハッピーハローウィーン~!」
クラッカーがパーン!
いつ買ったのかすらわからないクラッカー、昨日押し入れで見つけたんだけど……多分お兄ちゃんが失くしたモノ……ちゃんと鳴って良かった!
「ちょっと、何俺抜きで面白そうな事始めてんのよ?」
「お兄ちゃんは勉強しなきゃなんでしょ?」
忍ちゃんはやってるよ!
「息抜きは必要!」
って言って昨日も遊んでたくせに!
「はーちゃん」
「あ、純くん!」
……普段春なのに、なんで今日ははーちゃんなんだろう。
ま、細かいことは気にしなーい!
「……出来たの? アレ……」
みーちゃんが言うアレとは……。
「ん」
『きゃぁあああああ! すっごーい!』
本物のジャック・オ・ランターン! ジャックランタンでも可!
ちゃんと黄色いし、目も鼻も口も穴開いてる! かわいーっ!
「純くん! コレ、あたしにちょうだい!」
ねぇ、なんで純くんは普通に呼ぶの?
「えーっ、佐紀ちゃんズルい! ウチも欲しい!」
「……美代も」
「私も~!」
純くん、後三個作って!
「……カビるし、腐るぞ? それ」
『……え?』
なんて?
「だから、そのカボチャ生だから、そのうちカビるか腐るかするぞって」
『……えぇ~っ!?』
やだよ、そんなの!
「そんな事になったらただの巨大生ごみじゃんか~」
「ピカちゃん、それはハッキリ言いすぎじゃ……」
事実だけどね!
「山に捨てとけば動物の餌になんじゃねぇの?」
「そっか! お兄ちゃん珍しく賢ーい!」
「……珍しくって言われた」
だって本当に珍しいんだもん。
「……あ、ジャックランタンが居る」
ある、だと思うよ、忍ちゃん。
……忍ちゃん!?
「あれ~? お姉ちゃんいつ来たの~?」
「たった今。んっと、これ、欲しい人ー」
忍ちゃんが掲げたモノは!
ビーズでできた、ジャック・オ・ランターンやゴーストのキーホルダー!
『かわい~っ! 欲しい!』
「あい、どーぞ」
キャー、この白いゴースト可愛い! つぶらな黒い瞳が何とも言えない……って、小学生っぽくないかな?
「しののんちゃん! これどうしたの!?」
「そのあだ名どこで!?」
「え?」
どう言う事だろ? 佐紀ちゃんのあだ名は完全オリジナル作品なのに。……作品じゃない?
「あ、気にしないで。それ? 作った」
「ホントに!? すっごーい!」
忍ちゃん、ビーズで色々作るの得意だもん! 佐紀ちゃんは知らないんだっけ。
「あれ、なんで村田が居るの?」
「美代に引きずられてきたんだよ」
あ、岬くんの事きれいさっぱり忘れてた。
「……人聞きの悪い」
みーちゃんに謝れぇー! 本当にそうなのかもしれないけど。
「アンタそれでも……いや、えぇと、アンタ、ほんとに兄?」
「なんちゅー事言ってくれるんだよ!?」
しかもわざわざ言い直したよ、忍ちゃん。
……あれ? なんでお兄ちゃん、笑いかけてんの?
「忍……やっぱ休憩じゃなくなってんじゃん」
「…………あっ。そうだった! これ、休憩のつもりで作ってたんだ」
休憩のつもりで、四つも?
あーっ! お兄ちゃんこらえられなくなって大笑いし始めた! 忍ちゃんはウチ等のために作ってくれてたのにー!
ほら! あんまり派手に笑うから、耐性の無い佐紀ちゃん引いてるよ!
「よ、陽気な人だねっ!」
佐紀ちゃん、無理して褒めなくていいんだよ?
「パンプキンパイ、あるだろっ!」
あれ? 岳くん……と、翔くんと修也くんと奈那子ちゃん!? 団体様のおな~り~。
「匂いするって言ったって、外まで届くわけが……って、ほんとにあるし!? 岳くんどんだけ鼻いいの!?」
「へへん」
外でパイの臭い嗅ぎつけたの!? 奈那子ちゃんの言うとおり、凄い嗅覚だね!
「犬並みだな……」「……犬」
「修也はともかく……美代さん、それはちょっと略しすぎだろ!?」
それじゃ罵倒になっちゃうよ!
「まぁそれはともかく~」
「ともかくしてくれるなよ!」
「じゃあもっと続ける~?」
「いや、それはいい」
いらないって意味のいいだね。
じゃあなんで『ともかくしてくれるなよ!』とか言ったの?
「早く食べよ~! 冷めないうちに~」
「もうある程度冷めてると思うぜ?」
岬くん、そう言う事言っちゃだめなの!
えーっと、ウチと、みーちゃんにひーちゃん。佐紀ちゃんと岬くんに忍ちゃんと純くん、お兄ちゃんと岳くん、翔くん、修也くん、奈那子ちゃんで……十二人かぁ。多っ!
「良かったね~、十二人で~」
「どうして? 一人分少なくなるよ?」
意外とケチだね、佐紀ちゃん。
「切りやすいもん~」
半分に切って、そこからさらに半分にしたのを三等分すればいいんだよね!
……ウチからすればその三等分が難しそう。