263 強風ってすごいね
「風、強いね」
「びゅ~んびょ~! だね~」
「……それ、風?」
風だよ~。
光です~。
風が強くて~、曇ってて~、つまり外は結構寒いわけで~。
なので今日は学校から帰った後家の中で遊んでます~。
ついでに~、家の前の道路が見える一階の大きな窓から外見てます~。
……あれ~? 今一反木綿みたいなモノが飛ばされていったような~……。気のせいか~。
「あ、見てみて! タオルが飛ばされてる!」
ほんとに飛んでた~!
「……おばさん、追いかけてる」
わ~、タオルを追いかける裸足の主婦だ~。
どこぞのお魚一家の長女を思い出しちゃうんだけど~……。
「あ~っ、誰かの黄帽が飛んでってる~」
小学校登校する時とか~、校外学習とかの時にかぶる、あの黄色い帽子ね~。
「すっごーい! 男の子用のも飛ぶんだ!」
「ちゃんと回ってる……」
フリスビーみたい~。
帽子をフリスビーみたいに飛ばすのは何回もやったことあるよ~。
一回学校のプールに落ちちゃったことあるな~。
「あ、追いかけてる追いかけてる! ……って、あれ、岳くん?」
「……ほんとだ」
え~? あ~、ホントだ~。
岳お兄ちゃんが帽子追いかけて家の前素通りしちゃった~。ちゃんと一回帰ってきてね~。
「あ、女の子用の黄帽もだ」
「……奈那子ちゃんだ。修也くんも一緒……」
ここ帰り道だもんね~。
「あーっ! 翔くん、近く歩いてるおねーさんのパンチラ気にしてる!」
「あれはパンチラって言わないよ~」
思いっきりめくれ上がってるもん~。あれだけ堂々と丸出しにしてたら誰だって気にするくらいには~。
……と言うかお姉さん~、よく気づかないね~。
「あ~、お爺さんに教えてもらったみたいだよ~」
何か話しかけられてる~。
「……そう、かな」
「お爺さんがビンタ喰らっただけなんだけど……」
違ったのか~。
お爺さん何言ったの~?
「あ、今度はカッターナイフが飛んで……えぇ!?」
「……どやって……?」
世の中不思議がいっぱいだね~。
『あーれー、お代官様ー』
何か帯がなっがい着物の女の人が飛ばされていった~。多分幽霊~。
『よいではないかー、よいではないかー』
何か変な男の人の幽霊も飛ばされていった~。何してるの~。
って言うか幽霊って風の影響受けないよね~? 本当に何がしたいの~?
「ふぃー、ただいまっ」
『お帰りー!』
帽子捕まったんだね~。
「帽子無事だった? 岳くん!」
「木に引っ掛かったから、石で叩き落とした以外には無事だぜ」
背伸びして取れなかったの~?
そもそも気に引っ掛かった帽子って石叩きつけて取れるものなの~?
「あ~、お姉ちゃんと純お兄ちゃんだ~」
今日は早いな~。いつもは岳お兄ちゃんが帰ってきてもなかなか帰ってこないのに~。
時計『17:42』……岳お兄ちゃんが遅いだけでした~。
「あっ、忍ちゃんの鞄が飛ばされたっ!」
『どうやって!?』