26 今日はテストなのです
「しーん、しーん? しーん!」
「んぎゃあああああああああ!!」
「見事な跳躍力! 天井に頭が届きそうです!」
いや、それ大げさでしょ。
結構な高さまで飛び上がったのは事実だけど。
「耳いてーだろ! 耳元で叫ぶな!!」
「テメェが返事しねぇからだ」
純兄口調で返してみました。
「っくそ、兄弟なだけあってそっくりだ……」
「まて、あたし等は兄妹。あたしは弟じゃないの」
「よく分かったな!? 字しか違わないのに!?」
「よく言われるもんだから。
で、なーんであたしが呼んでるのに気がつかなかったの?」
気付いてたら耳元で叫ばなかったのに。
「ふふふ……それはな……「やっぱいいや」聞けよ!」
何だ、聞いて欲しいのか。
「勉強してたか「桜、今日のテスト何だっけ?」……うぅっ」
男子が泣いても可愛くない。
「ん~とね~……理科と技術家庭と数学だよ~」
ふむ、
「清、ご愁傷様」
「まだテスト始まってもねーよ!?」
だってぇ。
清→数学が異常なほど苦手
今回の理科テスト→湿度を計算で求める問題がでる。
+清はマトモにテスト勉強をしない(あたしもだけど)
結果→今回は何時もよりも悲惨になる可能性は高い。
「まだやっても無いテストの結果を予言されたくなんかねーよっ!」
「はい、清くーん? 樹形図は書けますかぁ~?」
「書けるからっ! それ位!」
「この問題解けますか~?」
「無理!」
せめて問題読んでから言ってよ。
「次、湿度をもとめる公式は」
しーちゃん、突然後ろから出てこないで。
「しつど?何それ」
………………。
唖然。
「と言うのは冗談で」
『本当?』
「ひでぇっ!」
「だったらその頭を何とかしろ」
ねぇ純兄、何で君は教科書読みながら話聴いてるの。
どーせなら混ざってよ。
とか言うあたしの手にも教科書は乗ってるけど。
「はーい、座りなさ~い。テスト配りますよ」
一時間目、理科終了。
「どーだった~?」
「取敢えずは全部埋めた」
「しーちゃん理科得意だしね」
「うむ、理科『だけ』は得意だ。忍はどうだった」
何も自分で『だけ』を強調しなくてもいいと思うんだ。
「あたしも一応全部埋めたよ」
問題は……
「…………」ずぅ~ん
「清君? どうしたの。……あ、テストどうだった~!」
そんな元気に聞かないであげようよ。
きっと最後の方の計算問題の公式、その他諸々が分からなかったんだよ。
「聞くな、聞かないでくれ、頼むから、本とに」
「あはは~、純君は……聞くまでも無いね~」
だって純兄頭いいもん。勉強はしてるから。
テスト前二週間だけ。
「席に着きなさ~い」
二時間目、技術家庭終了。
「家庭科ムズイ」
「そのぶん技術は簡単だったかな~」
「……あれ、清が復活してる……あ、そっか」
清は実技そこそこ出来るからね~。
丸暗記で。
「清ー」
「テストどーだった~?」
「全部埋めた!」
理科のときとは凄い違いだ。
「……ただ」
ん?
「名前を書いたかどうかが怪しい」
これで書いてなかったら最悪だな。
「理科のほうが」
そっちか!
「清、次は数学だけど」
「それを言うなぁ!! 純! 頼むから言わないでくれっ!!」
「言った後に言われても」
そーだそーだー。
「次は数学次は数学次は数学数学数学数学数学……」
桜、あんたは鬼か。
「んみゃぁぁああああ!!」
「あはは~、面白い♪」
……確かに?
『次は数学数学数学数学数学数学数学数学数学数学』
「にゃぁぁぁぁああああああああ!!」
猫語で悲劇的展開だー!! だね。
……ピッタリはまってるような。
「席着きなさ~い」
三時間目、数学終了。
教室に一つの死骸が転がっていた。
……うん。
「仏説摩訶依般若波羅蜜多心経
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄
舎利子色不異空空不異色色即是空……」
「出た~、忍の『問答無用、逝きなさい』だ~!」
いつの間にそんな名がついてたの?
「って! 殺すなコラ!!」
「問答無用!」
「おいっ!?」
逝かしました♪
蹴り飛ばしただけだけどね。




