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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
十月だってば暴走中
259/410

259 わが布団にお化けがやってきた

「ね~んね~ん~、ころ~り~よ~、おこ~ろ~り~よ~」

「……あの」

「なぁに?」

 わぁ、なんて素敵な笑顔だろー、ってそうじゃなくて!

「なんで会ったことも無い人に子守唄歌われてんだあたしは!」

 忍です!

 寝ようとして布団に潜ったら……黄色い着物着た美人さんが壁通り抜けて入ってきて、子守唄歌いだしました。

 ご丁寧にとーん、とーん、って叩いてくれたりもして。

 ……壁通り抜けてって事は人間じゃないよなぁ。

「さぁさ、もう遅いのだから寝ないとダメよ」

「……眠気ならアンタが入ってきた瞬間吹っ飛んだけど」

「あらあら、私はお菊よ」

 お菊姉さん? お菊姉さん、ねぇ……。

「お菊さんか!」

「そうだって言ったじゃない」

 あぁ、ごめん。

「あの、お皿数えてるお菊さん?」

「……いっつも一枚足りないの。十枚一組のお皿なのに、九枚しかないの……」

 おぉう、リアルで見ると怖いわ、これ。

「さ、忍ちゃん。早くおねんねしなさい」

「いやあの、子供じゃないんだから……」

「中学生はりっぱな子供です」

 そうかなぁ? ファミレスとかでお子様ランチ出してもらえないよ? 電車とかは大人料金よ?

 ……あれ、ちょっと待てよ?

「なんであたしの名前知ってんの?」

「純から聞いたの」

「納得」

 そういえば知り合いって前言ってたね。

「お菊さんって、お化けだよね?」

「えぇ」

「お化けって、普段何してるの?」

「好きな事してるわよ」

 好きな事かー。好きな事……。

「例えば?」

「私は、お皿を数えてるわ」

「……なんで?」

「だって、怪談ではそうなってるでしょう?」

 言っちゃっていいのか、お化けのほうがあわせてるって。

「他には?」

「機織、お料理、お裁縫……お手伝いに行く事もあるわね」

 そっか、怪談のお菊さんは奉公に出てたんだっけ。

「じゃあそれが仕事かー」

「仕事? ううん、好きな事をしてるだけ」

 ……ふーん。お給料無しって事かな?

「お化けってさ、着替えたり物食べたりするの?」

「そりゃするわよ。湯浴みだってするもの」

 湯浴み? あ、お風呂入る事か。

「へー、お化けって、ヒューどろどろどろのイメージしかなかったや」

「ヒューどろどろどろ?」

 突っ込まないで。

「ねぇ、足の無いお化けっているの? あの、先っぽがシュッて細くなってて、白い奴」

「居るよ」

 おぉ、本とに居るんだ。

「あれってどうやって移動してるの?」

「さぁ……重心を傾けてるとかかな?」

 重力無視して浮いてんのに、重心とか関係あるの?

「あっ」

 え? 何?

「何か思い出したの?」

「忍ちゃん、もう寝る時間よ」

 そこに戻るか!?

「ね~んね~ん~、ころ~り~よ~、おこ~ろ~り~よ~」

 いや、歌わなくていいから……。

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