257 もちろん参加するよ!
「やっほ、しののん、純吉!」
「よし、忍」
「あいよ」
何でいきなり逃げられないといけないんですかっ!
あ、枝奈です。二年一組、オカルト部所属です。しののん先輩が言うようなオカルトオタクではありません。
「待てーっ!」
『叫ぶな超音波!』
日に日に部長の超音波が大きくなってきているのは何故でしょう。今では聞こえた人、学年関係なく怒るような超音波っぷりです。
……超音波っぷりってなんだろう……。
「いっけーっ! タツノオトシゴ!」
「オスッ」
タツノオトシゴ、うちの部活では唯一の武闘派なんです。
え? ハルやん先輩ですか? あれは曲がりなりにも突っ込みです。ダメージ与えられないです。
「話くらい聞いてくれてもいいじゃないですか……」
マコちゃんの言うとおりです! 最近、純吉先輩がしょっちゅう遅刻や早退をするからなっかなか話しかけられなかったんですよ?
毎日三年一組の教室を見張ってたのに……。今、無駄な苦労とか思ったの誰ですか、ちょっと手を挙げてください。
しののん先輩は捕まえてもすぐ逃げちゃうし……。最近は文化差の取り組みで見張りに行くのも難しいし……。
でも、今日! やっと追いかけるところまで行ったんです! 何がどうあっても捕まえて見せます!
……あれ? 最終目的が変わっているような……気のせいですよねっ。
「オラァッ!」
タツノオトシゴ、掛け声が不良みたいです。とび蹴り、行っきまーすよー!
「ん」
「なんで防ぐの!」「なんで防ぐんですかっ!」「何故防ぐ」「ちっ」「防がないでください……」
とび蹴りですよ! そう簡単に防げませんよ!? 多分。とにかく私なら防げません。
「純兄、それ、避けなきゃいけなかったんだよ」
「そうじゃない!」
ハルやん先輩のハリセンが直撃! なんでそれが出来るのに捕まえられないんですか!
「えぇーい! 行くよ皆! 質より量! どどーん!」
どどーん! で、皆で二人の先輩にとびかかります。周りの人に引かれました。そりゃそうでしょう。
先輩たちには避けられました。
オカルトクラブ、仲良く床とハグします。痛い。
「……あのさ、チリがたくさん集まっただけで、掃除機に勝てると思う?」
「思う」
何でしののん先輩の質問に純吉先輩が答えるんですか。
「チリがよっぽど多かったら掃除機は壊れるんじゃねぇか?」
「んー、そっか。じゃあ、ハエが五匹集まって、ハエ叩き持った人間二人に勝てると思う?」
思いません。
「おいしののん。他人をハエに例えるな」
「ごめんなさい」
……しののん先輩、変なところで素直ですね。
「頼みだけ聞いて! 一生のお願い!」
部長の一生のお願いを聞いたのは二回目です。
一回目は、去年、今の高一の先輩二人が卒業する時に、行かないでください、でした。当然無理でしたけど……。たまに、顔見せてくださいますよ、その先輩達。
『……ま、聞くだけなら』
「あ」
ちょっと、部長。
何聞くことだけをお願いしてるんですか。
「文化祭、あるじゃん」
あきらめて話し始めましたね。
「ん? 文化祭? いつもの幽霊みせろーとかじゃねぇのか」
あはは……
「文化祭でね、劇、やれるでしょ? やりたい人で」
「あぁ、はいはい、それに出たいの? どうぞ」
「二人も出てほしいって事なの! 足りないんだよ! 人が!」
ほんとに足りないんですよ! だから他の人に頼みまくってんです!
「……何の劇さ」
しののん先輩! やってくれるんですか!?
「トリック・オア・トリート!」
「まだ早いよ」
「劇の題名だよ!」
ハロウィン、お菓子貰えるかなぁ……。って、そうじゃなかった。
「手伝ってくれる?」
「どんな内容かによるー」
『やったぁあああああっ!』
手伝ってくれるって! 手伝ってくれるんですって!
「ちょ、まだ手伝うとは言ってない……」
「忍、そこは内容聞いてから言い直せ。一応会話をテープにとっておいたから」
都合のいい所しか聞かない主義です!