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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
十月だってば暴走中
252/410

252 理科の先生を怒らせるべからず Ⅱ

「細胞分裂は前の時間にやりましたね。じゃあ今回はこれです」

「細胞破壊!」

 何その恐ろしそうな言葉。

「高崎君、黙りなさい」

「すいませんでした……」

 理科の先生相手だと弱いなー。

 忍でーす。

 理科の時間、細胞分裂は昨日やったので、今日は染色体だそうです。

 ……遅くない? 何か、ほかの学校に比べて、遅くない!?

「はい、これで一本の染色体です」

 H型、かと思ったらこれでXの形なんだねー。

「これの中に、親の情報が詰まっていて、子どもに伝えられます」

「たとえば~?」

「眼の色とか、髪の色とかね」

 耳たぶがくっついてるか離れてるかーとかもでしょ。

「生物の形を作るための設計図とも言えますね。

 あ、そうそう。兄弟、姉妹は、情報の50%位が一致しているらしいけど……」

 ……あの。

 何で皆こっち見るの?

「あら、ちょうどいい所に兄妹が。観察してみましょうか」

『観察言うな』

 あたし等は植物か。はたまた金魚か、メダカか、カエルか。

「似てるんだけどな……何っか違うんだよなぁ」

 本気で観察するな、清。

「髪の色じゃない?」

『あぁ!』

 あぁ! じゃないよ。

「それだ! 二人とも基本は黒なんだけど、忍は茶色っぽくて、純はそうじゃなくてー……うーん、とにかく真っ黒いんだ。あ。烏の羽に似てるな! むしろまんま! 烏羽色か!」

 しーちゃん、何興奮してるの。いくら理科好きだからって……。

「篠、普通それって女の人の髪に使う言葉だよ~?」

「似てるんだから仕方がない」

 ……はっきり言うなー。

「目の色も違うよな。髪と同じ色だし」

「弟妹居るんだったよな、そいつ等は何色?」

 岳と光?

 そんなに注意深く見ないからなー。

「忍と同じだ」

「純だけ違うのか。誰譲り?」

「爺さん」

 へー。それは初耳。

 ……いや、多分聞いてたとしても忘れてるな。

「他は別に違うとこねーよなー」

「そうだよね~、顔立ちも似てるし~」

 そーかな?

「でも表情がなー。純は殆ど無表情のなのに、忍ころころ変わりすぎるんだよ」

 何か悪いか。やろうと思えばできるよ? 無表情。

「ちょっと二人、立ってみて」

『ヤだ』

「おぉ! 今の表情そっくりだったぞ!」

 何で興奮するの。クラスメートA

「なぁ! 似てたよな!」

「似てた似てた!」

 盛り上がるな!

「でも、身長も違うよなー。立ってみろってば」

「ヤだ」「何で?」

 おい、何で『あっちゃぁ~』とか言って額押さえるの。

「そこはハモれよ-!」

「知るか」「えー」

「ハモれってば!」

 無茶言うな。

 いや、何かよくハモることはあるけどさ。

「なんかなー。純は高いのに、忍小っちぇよな」

「悪かったね!」

 まだ成長期なんだもん、これから伸びるんだもん! ……多分。

「小学ん時は俺の方が小さかったんだけどな」

『嘘ぉ!?』

 あ、あたしまで一緒に叫んじゃった。

「そーだったっけ?」

「記憶力悪いな、おい」

「悪かったね」

 悪いとは微塵も思ってないけど。

「あ! 二人の似てるところ思い出したよ~」

 桜、もうこれ以上この話題広げないで欲しいんだけど。

『何!?』

「喧嘩強い」

「あたしは喧嘩した事無いんだけど」

 適当な事を言わんで下さい。

「じゃあやってみて~、今」

「今!?」

「相手どうしようかな~」

 どうしようかな~じゃなくて! 曲がりなりにも今は授業中!

「純くんでいいよね」

「よくない!」『おっけー!』『い、いいの?』

 誰も止めはしないのか!

「レディー、ファイっ」

「ファイじゃなぁあああい! ちょ、先生! この人等止めて!」

 もう絶対遺伝も何も関係なくなってるよ!?

「はい、染色体は並んで、分かれて、増えるんですよー」

 一人授業してる!?

 黒板には細胞やら染色体やらの図と共に『お前等受験生だろ♪』の文字が!?

「わぁっ! 先生すみません!」

「調子乗りましたぁっ!」

「お前等、受験生だろ♪」

 何か、先生が、ドスのきいた低い声で言った。

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