251 文化祭ではこれをします?
「……お、やっと来たかー。おっせーぞお前。今何時間目だと思ってやがる」
「昼休み」
そら分かるわな。みんな弁当食ってっし。
清だぜ!
何でだろうな、最近、純の奴遅刻ばっかしてきやがるんだ。
忍に聞いたら『仕事じゃなーい?』だってよ。中学生の仕事は遊びだろ!
…………勉強? やっぱ勉強なのか?
あ、そーそー。オレな! オレな! どどーんとテストの点数あがったんだぜ!
三十点以上上がって、数学は五十点だ! …………何で純の奴、目の前で百点なんか取るんだろうな。そのせいで喜べねー。
「純ー、ノート見せてやろっか?」
「いや、帰ってから忍に借りる」
あんだよ、人の親切をー。
「あたし、ノートなんか持って帰んないよ?」
「ん、清、やっぱ貸して」
あいあい。切り替え早ぇー。一瞬で切り替えやがったぞこいつ。電気のスイッチみてーにカチッと切り替えやがったぞ。
「…………やっぱいい。忍、貸して」
「ほーい」
オイコラ待てや。
何でオレのノートの中を見てすぐ返す!?
「まるでオレのノートが汚いみてーじゃねーか!」
「そうは言ってねぇぞ」
「何も言ってねーもんな! やっぱいいとしかいってねーもんな! 態度で言ってんぞおい!」
ぱらぱら、やっぱいい。だぞ!?
「見にくかっただけだ」
「イコォオオオル! オレのノートの取り方が汚ぇっつってんじゃねーかよ!?」
「あ、数学と社会だけでいい。ノート提出あるのこれだけだろ?」
「うん。あ、理科にはプリントついて来てたよ」
「ん。分かった」
無視か!?
「何人の事無視してんだよ!」
「ん? 一時間目に総合あったのか。何やった?」
……なんだこいつ、まるで反応しねぇ。スルー力天下一品だなおい。
「文化祭のことやったよ」
「文化祭か。今年は何やるんだ?」
「今年はなー! 文化祭の日がハロウィンと重なってる……っつか、絶対重ねたんだと思うけどな……それはともかくしてだな、だから、学校総出でハロウィンっぽいことするらしーぜ!」
別に、突然騒いだのは無視されて寂しかったからじゃねーぞぉ。
「らしーぜって……決まってねぇのかよ?」
「いんや。他のクラスも学年も、ハロウィンネタって言っただけ」
うちのクラスはだなー。
「オバケ喫茶だ!」
「…………喫茶? 中学の文化祭でか?」
いんや。
「オバケ喫茶と言う名の展示だ」
「何すんだよ、それ」
「えーっとなー。単純に、オバケの格好してきゃいきゃいわいわいやってる中をお客に通ってもらうーって感じかな、はっきりとはしてねーけど」
決まったばっかりだしな。
決まったばっかりでなんで『オバケ喫茶』何て名前が付いてるのかと言うとー。……何か、オレが言ってみたら『それでいーじゃん』的なノリになって……決まった。
ま、変更されるかもしんねーけどな。
「ねー純兄。お化けの知り合い居るでしょ? 来てもらったら? といれの華子さんとか」
いや、トイレの花子さんは学校の怪談だろ。ハロウィンに出てこねーだろ。
……って、ちょっと待てよ!? 今聞き捨てならない言葉が聞こえなかったか!?
「オバケの知り合いがなんだって!?」
「影が薄い奴を忘れるくらいには居るぞ」
「ハァ!?」
『マジで!?』
おぉう。クラスの奴等が食いついた……。
「じゃあ、その人たちに手伝ってもらったらリアルじゃない?」
「……ゾンビなんかは、テメェ等が見るにはキツイと思うぞ。なぁ?」
「ごめん。ゾンビさん。ホントごめん。でもグロいモンはグロイです」
お、おい忍、どうした? 口抑えて……。
「ちょぉおおおっといーかなーっ!?」
『黙れ超音波!』
「酷いよ!」
あまりに高いキンキン声だから、つい。
「ゾンビが居るという報告をうけてまいりました!」
誰だ報告した奴。
『・・・・・・・・・・・・』
何か、声が……あれ? 何か、純の後ろに……。
皮膚が解けて、目玉が落ちて神経で眼の奥つながってぶら下がってる状態になってて……とにかく、言葉で表せないほどグロイのが、居る?
『ぎぃいいいいいやぁああああああああっ!』
「だから言ったのに。・・・、・・・・・・」
「純兄、昨日も聞いたけど何語それ」
「昨日言ったとおり。霊界の言語」
んだよそれ!? そんなのがあるのか!?
……あ、グロイの消えた……。
高山兄妹以外、教室の隅に固まって震えておりまーす。先生込み。
そんだけ怖かったんだよ! 夜中にトイレ行こうとしてあんなのに会ったら漏っちまうぞ!? その前に気絶だ!
「や、やっぱり、自分たちでやろう……?」
誰かが呟いたその言葉に。
オレ等は赤べこのごとく首を振り続けた。……高速で。