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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
九月だろうが暴走中
237/410

237 久し振りの……

「にーちゃん」

「ん?」

「最近さ、トリオ見ねーよな。斬天剣」

 夏休みにも帰って来やしねーしさぁー。

「あぁ、あいつ等なら今、牢ん中で暴れてるぞ」

「はぁっ!?」

 いまにーちゃん何て!? 牢とか言ったか!?

 岳だっ!

 修学旅行のしおり読んでて、何か思い出したから聞いてみたんだけど……。何したあいつ等。

「今月初めに、無駄に暴れまくって村一つ潰しやがって……」

「何やってんだあいつ等!?」

「確かにな、その村の側にある森は火事になってたし、暴れんならその火を消して来いって言われてたのも知ってる。でもだからって村一つ水没させることはねぇよなぁ」

 水没!? 村が!?

「そこ住んでる人、大丈夫だったのか……?」

「死ぬ気で助けた」

「あり、にーちゃんが?」

「煽ったの俺だったし……煽ってから不味いと思って行ってみたら案の定大変なことなってるし」

 何やってんだよにーちゃんまで。

「なんとか減給は免れたから良かったけど」

 そっちが大事なのか!?

「……あれ?」

「ん?」

「何で死神が消火活動なんかしてんだよ」

「いやだから、霊界であんまり暴れるから、どーせ暴れんならーってことで」

 その霊界で暴れまわってたって所にはどんなのが入るんだろうなー。

 建物の一つや二つぶっ飛んでんじゃねーの?

「まぁ森が消滅するくらいは予想してたけど」

「んじゃ煽るなよっ!」

 自然破壊反対っ!

「たーけーるーにぃーっ!」

「ぐはぁっ」

 は、腹が……腹がぁっ!?

 誰だよいきなり頭突きなんかしてくる奴は!?

「あ、たけにぃだ」

「……たーにぃ、大っきい」

 そりゃーオレだって成長期だから。背くれー伸びるっての。

 修也にゃ負けん! あ、これは関係ない?

「こらテメェ等。まだ牢に入ってなきゃ駄目だろうが」

「だぁって、暇だし!」

「バナナないし」

「子どもは遊ぶのが仕事だし……」

 マトモな事を言ってるような言って無いような。

「明日で一ヶ月だろ。明後日になったら出してもらえるんだから、今日明日くらい大人しく入ってろ」

 あのさ、てかさ、

「牢って抜けれるモンなの?」

「……今まで抜けられた事なんか無いはずだけど」

 だよなぁ。

「オレの水と斬の氷と、天のバナナよこせパワーでどっかーんだぜぃ! すげーだろ!」

 分かんねーよ。確かになんか凄そうだけど。バナナよこせパワーってなんだよ。

「再現するとだな『しなくていい!』ちぇ」

 この部屋、ってかこの家? を破壊する気かっ!

「みぃ~つぅ~けたぁ~っ」

『ひっ』

 お、いつかの生粋の馬鹿死神。

「斬天剣! もぉ~お逃がさへんよ」

 あれ、コイツ関西弁しゃべったっけ?

「純、ちょい手伝ってな。こいつ等俺一人じゃ捕まえられん」

「天はバナナで釣れる。斬は新種の薬草に食いつくし、剣はとりあえず食い物で……」

 このトリオ、なんだかんだで単純だよなー。

「なるほど。よし、天!」

「私は戻らないぞ!」

「大人しく牢に戻ったらバナナ十本おごっちゃる!」

「本とですか先輩!」

 天がオチた。にしてもバナナ十本もって、

「太っ腹ぁー」

「一桁じゃったら文句言いよぉけん……」

 経験者? じゃあ何でにーちゃんに手伝えとか言ったんだ、バナナで釣れるの分かってんのに。

 あ、この人は捕まえに来た人ほっぽって帰るような生粋の馬鹿だった。

「剣」

 お、今度はにーちゃんか。

「オレぁ天みてーにはいかねーぜ!」

「今度知り合いが幻想世界の珍料理をご馳走してくれるらしいけど」

 どこだよ幻想世界って。

「一緒に行く!」

「じゃあもう少しだけ牢に入って大人しくしてろ」

「はいッ!」

 おもいっきし天みてーにいってんじゃんかよ。

「よし、残るは斬!」

「…………」

 無言。

「ヤマクイ草の根っこ、調達しておいてやるぞ!」

 何だよそれ。……漢字に直したとき、山喰い草、なんてこたーねーよな?

「それ、もう試した……あまり使えない」

 おっと、斬が一番厄介そうじゃん。一番年下の癖に。

「えー……じゃあ、ソウコク草でどうだっ!」

「試した」

「嘘っ!? あの超レア草を!?」

 なんだよ、超レア草って。

「忍、話それてる」

 あり? その人ねーちゃんとおんなし名前なの?

「あぁー、うん、じゃあそうだな……ラフレシア!」

「臭い。……そもそも薬草じゃない」

 うん、何でラフレシアなんか出してきたんだろーな。

「純! 俺には手におえない!」

「薬草の知識少なっ」

「ほっとけ!」

「……実験台、なるなら戻る」

 殺す気か。

 あ、忍くん動き止った。

「アノ、ボクハネ、エトネ、ジュンクン、ミガワリニナッテクレタマエ」

 うちの兄貴を殺す気か。

「斬は忍にって言ってる」

「……別に、どっちでもいい」

 たら~り。

 冷や汗が流れると共に一瞬の沈黙。

「純! ここはやっぱり交流の深いお前が行け!」

「絶対ヤだ。交流を深めるためにテメェが行け」

「くそっ! そもそも何で俺たちがこんなことを!」

「もういっそ妙羅にやらせりゃよくねぇか?」

 また沈黙。

 パチンッと忍くんが指を鳴らして……。

「その手があったか!」

「いい考えだろ?」

 さっきまで争ってたくせに。

 協力しようとしたり喧嘩したり仲直りしたり忙しいな。

「ほぅ」

 あ、妙羅。

「部隊長、丁度いいところへ!」

 何か偉そーな名前だなそれ。

「斬、思い切り人体実験して来い」

「りょーかい」

 あ、飛び出して行った。

「よし、これで全員戻せるな。サンキュー純!」

「どういたしまして」

 ちょっと聞きたいけど、にーちゃんってそこまでしたっけ?

「今日はこっち来ぃやー。何かおごっちゃるけん」

 何かおごってもらうほど何かしたっけ。

「じゃ、行く」

「はぁーい、待ってんで」

 あー、行っちゃった。

「よし、何おごってくれるかは知らんが儲けた」

 にーちゃんセコっ。

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