236 ある平和な日の事
「……いいなー、三人ともお兄ちゃん居て」
「そうかな?」「……そう?」「無い物ねだりしてるの~?」
光です~。
突然佐紀ちゃんが目の前で溜息を吐きました~。
お兄ちゃんがどうしたの~?
「はぁー、あたしもカッコよくて優しくてカッコいいお兄ちゃんが欲しいなー」
「別にお兄ちゃんカッコよくないよ? 純くんじゃないし」
「……美代の兄上、ヘタレ……だよ?」
「私のお兄ちゃんは~、純お兄ちゃんはカッコいいけど岳お兄ちゃんはたまにしかカッコよくないよ~?」
『カッコいいんじゃん』
えへ~。
プラス思考で考えるんだよ~。
「なっくんは~、……あれ~、褒めるところより恨むところの方が多いなぁ~」
「でしょ?」
はーちゃん~、あっさりうなずいたらなっくんの立場無いんじゃないの~?
私が言ったことが最初だけどね~。
「みーちゃんのお兄ちゃんは~。……知らないな~。ちらっとしか見たことないし~」
「……ヘタレ。言うほどカッコよくない……。投げられる」
投げられる~?
「遊ぶとき……、投げてくるの」
「楽しそうでいいじゃん。ウチのお兄ちゃん、色んな物失くすし、何かと言うと笑うしだよ?」
十分楽しそうじゃん~。主になっくんが~。
「もぉっ! 人がお兄ちゃん欲しいなーって言ってる側でお兄ちゃん自慢しないでよー!」
「は~い、ぶっちゃけけなしてる方だと思いま~す~」
「あたしにとってはお兄ちゃんの話は全部自慢なのーっ!」
面倒な人だなぁ~。
「従兄弟の中でもあたし一番上なのにー……お兄ちゃんちょうだい!」
「うーん……」「取り敢えず五百円で……貸す」「駄目~」
みーちゃん~、レンタル料取るの~?
「うー、ピカちゃん、上のお兄ちゃんちょうだい」
「純お兄ちゃんは一番駄目~。何で純お兄ちゃんなの~?」
そもそも何処で会ったの~?
「体育大会の時にピカちゃんと話してるの見て一目ぼれ♪」
そういう意味のちょうだいだったの~!?
「……面食い」
「面食い佐紀ちゃんだ! 純くんカッコいーもんねー。断じて好青年、好少年? 風じゃないけど!」
メンクイって何~? 麺食べるの~? 今の話にどんな関係が~?
「びーっだ。どーせ面食いだもんね! ねぇねぇピカちゃん、純くん彼女居ないの?」
「きっと居ないよ~」
「ホントにホント!? あ、あの、体育大会の時に一緒に居た女の子は!?」
一緒に居た女の子~? あ~、
「それお姉ちゃんだよ~」
「よかったー!」
あ~……でも~、そういえば~。
玲奈さんって人~……よくお姉ちゃんから話聞くんだけど~、どうなのかな~?
どうせなら不安煽ってあげよう~。
「ライバルはいるかもしれないけどね~」
「嘘」
バッサリ嘘って断言されちゃったよ~!?
「はーちゃん~、みーちゃん~、私って嘘吐き~?」
「ウチ等以外には割とそーじゃないかな?」
「……まぁ、ある意味そうだと」
酷い~! そんなに嘘ついてないよ~!?
いつも嘘っぽく事実を言ってるだけだもん~。
……あ~、これのせい~?