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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
九月だろうが暴走中
233/410

233 あるものに乗って夜の住宅地をを走り回るあるもの

「夜に自転車で走り回りたいな~」

「突然何言いだすんだよ。ドラキュラかお前」

『…………』

 岳だ。

 しくった!

 突っ込みしくった!

 何だよ、ドラキュラかって! ドラキュラがチャリ乗って夜の住宅地走り回んのか!?

 もしくはドラキュラは何か突然言い出すのか!?

「……お兄ちゃん~、ドラキュラってどういうものだと思ってるの~?」

 えー? ドラキュラだろ?

「何か黒い角があってー、んで紫のマント着てて、牙が生えてて、で髪が黒くてちょっと逆立ってるかオールバックで、マントの中にはタキシードだな」

「ぐ、具体的~……」

 何か悪いか? ドラキュラってこんなんじゃなかったっけ。

「でも~……。ドラキュラのマントって黒じゃないかな~。裏面は赤~」

 そーか? 翔に借りたマンガじゃ紫だったんだけど。

「あのマントリバーシブルなのかな~?」

「知らねーよ!」

「そうだ~、外行こ~?」

 ぜんっぜん話繋がってねーよ!?

 しかも今夜だし……よく見てみりゃ時計二十一時代ってなってるし。

「ね~、行こうよ~」

「いや、行こうよ~じゃなくてだな……」

「夜に外出てみたくないの~?」

 ……出てみてーけどさ。

「母さんとかにーちゃんとかがダメっつーんじゃ……」

「こっそり行けばいいよ~」

「母さんはともかくにーちゃんにこっそりが通用するか?」

「頑張ろ~!」

 結局行くのかよ!

「岳~、光~、外行くなら上着の一枚は着なさいよ~。結構冷えてるから~」

 行く前に気づかれた!?



「……なんだかんだで何も言われなかったね~」

「にーちゃん仕事だっつってたしなー。まぁいーじゃん、外出れたし」

 にーちゃん、まだ怪我してんのに何の仕事すんだろ。死神に書類仕事とかあんの?

 それにしても、意外と冷えてんな。上着着ててよかった。半袖一枚じゃ確かに寒ぃわ、こりゃ。

 上着っつってもパーカーだけどさ。

「静かだね~」

「え、そーか? 虫鳴いてんじゃん」

「それ含めて静かだね~」

 ……あ、静かじゃねーや。

 向こうからめちゃ喧しい声と共に何か来る。

「なー光」

「うん~、ムードぶち壊し野郎を殴ろうか~」

 関節ポキポキ鳴らすなよおい。笑ったままそれすんな。

「ぶっちゃけ賛成だけど」

 あ、でも殴ったら怒られるかな。一応相手大人だろうし返り討ちってことも……。

「オラァ! オラオラオラオラオラァッ!」

「光」

「うん~、やっぱり逃げようか~」

 声的にあれだよな、暴走族か何かだよな?

 にしちゃバイクの音しねーけど。まさか自転車?

 あ、街灯で姿が見、え……。

「光」

「本当に居たね~」

 チャリに乗って夜の住宅地を走り回るドラキュラ。

 が、こっちに向かって来る。

 怖っ!?

「光、逃げんぞ!」

「あ~、あのドラキュラさんのマント黒と赤だよ~。私の勝ち~。百円ちょ~だい~」

 いつ賭けになったんだよ!?

 とりあえず今は逃げる方が先だよな、っつってもチャリ乗った奴からどうやって逃げんだよ。

 木ぃ登んのか? ねーちゃんじゃあるめーし。

「あ~、お兄ちゃん~、こっちに細い道がある~」

「お、んじゃそっちに逃げるぞ!」

「了解~」

 ……ふぅ。

「……いきなり逃げるなんてどぉ~ゆうつもりなんですかねぇ?」

『きゃぁあああああっ!』

「いきなり叫ぶなんてどぉ~ゆうつもりなんですかねぇ?」

 怖ぇよ! 何無理矢理この細い道に自転車ごと入ろうとしてんだよ! 降りろ!

 って、そーゆー問題じゃねーか。

「ちょ、光! もっと奥行け! 反対側から逃げんぞ!」

「お、お兄ちゃん~、こっち……行き止まりだよぉ~」

「嘘っ!?」

「ふふふ、いきなり袋のねずみなんですよねぇ?」

 その喋り方ヤメロ、怖ぇから! しかも何? 何か目の周りに紫の線とか書いてるぞこいつ。

 あれか? コスプレイヤーってやつなのか!? でもドラキュラのコスプレならハロウィンにしろよ!

「さぁ~、楽しい夜の始まりですよねぇ?」

『おーまわーりさーん(~)!』

 っつか、この行き止まりの家の奴も気付けよ! オレ等ずっと大声で話してんだぜ? 何で気付かねーの?

「ふぅ……光、とりあえず落ち着こう」

「何で~?」

 落ち着くの早ぇな、さっきまで『このへんに隠し扉とかないかな~?』とか言ってたくせに。

「いーか、光。こういう時にーちゃんやねーちゃんならどうするか考えんだ! んでそれをやる!」

「そんな無茶な~!」

 光の中でにーちゃんとねーちゃんはどーなってんだ。

 オレん中? えー……にーちゃんはあれだ、めんどくさがり屋の残念なオールマイティ。ねーちゃんはー……掴めん。

 あ、何かオレも無茶だろって気がしてきた。

「ま、まず楽そー方から考えるぞ。ねーちゃんならどうする?」

「相手で遊ぶ~」

「あぁ、そっか」

 …………。

 それをして何になんだよ!?

「ちょ、もーちょい真面目なのねーのかな……」

「この壁を腕と脚つっぱって登って~。塀を歩いて逃げる~」

 あ、それいーじゃん。

「んじゃちょっと登ってみっか」

「頑張れ~」

 何でおめーは見てんだよ。

 ま、いか。

 えーっと、手足つっぱって登るんだよな。家の壁でやったことあるから楽勝だぜ。

「あ~、お兄ちゃん上~!」

 上?

 ゴンッ

「痛っ!」

 何だよ! 何で上に板なんかのっかってんだよ!

「ふふふ、これがホントの袋のねずみですかねぇ?」

 オレ等はねずみじゃねぇし、ここは袋じゃねぇっ!

 えーい、こうなったら……。

「にーちゃんならどうする?」

「純お兄ちゃんなら~……まずこんな事態に陥らない~」

「それ言ったら何も話が進まねーじゃんかよ!」

「……言葉で相手をどかす~?」

 にーちゃんがそんなめんどくせーことするか?

「っつか、オレ等そんなことできねーじゃん」

「じゃあ~、変人変体ドラキュラさんをぶっ飛ばす~!」

 よし、んじゃあそれで行こう。

「何をするつもりなんですかねぇ?」

 行ける、行ける、オレだってにーちゃんの弟なんだ! アイツぶっ飛ばすくらい余裕だっつの!

「オラァッ!」

「ごふっ!?」

 あら? けっこうあっさり。漫画みてーに蹴り決まったなぁ!

 わき腹だからけっこー痛いんじゃねーの? っつかいい加減チャリ降りろよ。

「と~っ!」

 んぁ?

「ぎゃふっ」

 あ、光がトドメにドロップキックした。

 いやいやいや、顔面にそんなもんすんなよ。スカートめくれてんぞお前。ってかジャンプ力すげぇ。

 あーあー、気絶しちゃった。やっと自転車から降りたな。いや、落ちたんだけど。

「あ、めっけた。純兄、居たよー!」

「ねーちゃん!」「お姉ちゃん~」

 何で居んだ?

「……どーしよっかな、これ。やっぱ交番? お巡りさん?」

「お姉ちゃん~。何でここに~?」

「チャリ乗って夜の街を走り回るドラキュラが居ます。それに興味を持たない奴が何処に居る!」

 そっち!?

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