228 プログラムお昼休み
「水谷くんお疲れ~!」
「い、意外と速かったのねっ!」
「……二位だった……」
落ち込まないでよ。二位だよ? 四クラス中二位だよ?
忍でーす。
学級対抗リレーが終わり、お昼休みです。
学級対抗リレーでは、何とアンカーの水谷が三位から二位まで駆け上がりました! 差はそんなになかったけどー、とか言ったら雰囲気ぶち壊しになるので思うだけにしておきます。
「亮っ、亮っ! お弁当だよ! 早く食べようよっ!」
「うん……」
紫波元気だねー。
「水谷ぃー、テンション下げんなよ。次応援合戦だぜ?」
「そーそ。得点はこっから巻き替えしゃいーんだよ!」
「応援は応援で表彰されんだからさっ! 声出せよぉー?」
おー、水谷いじめのメンバーが一緒にご飯食べてる。なにがあったんだろう、とは突っ込まないけどさ。
「柿ピー」
「……あのね、先生の名前はね、牡蠣野胤って言うんだよ? ピーナッツ関係ないよ?」
純兄……わざと? わざと柿ピーって言った?
「牡蠣野先生」
「何?」
あら、さっきまで落ち込んでたくせに一瞬で復活した。
「先生、午前中まるで働いてませんでしたよね」
「うっ……柿ピーがショックで、さぁ……?」
『うわー、サイテーだこの教師』……って視線が教室の各所から送られています。
「その分、俺があっちこっち手伝わされたの知ってます?」
「え、そ、そうだったの!?」
『うわー、サイテーだこの教師』
あ、今度は声が出た。先生撃沈。
「って訳で、この豚カツ貰います」
「そんなっ!?」
復活早いなおい。
「おーい、豚カツ欲しい奴何人居る?」
『くれっ!』
手を挙げた奴が……十人くらい。
「……そう言う訳で、も一個貰います」
「勘弁して! ちょっ、先生のお昼のメインがなくなったよ!?」
豚カツ二つも入ってたの?
「いいだろー、別にー」
「そーそー! 高山兄働かしてたんでしょ?」
「サボり野郎に食べさせる豚カツはありません!」
誰だ最後のセリフ言ったの。
「そんなぁー!」
サボってる方が悪いって事でいいんじゃない?
あ、この豚カツ美味しい。先生って結構いいお弁当貰ってるんだな。
「ねぇ、純兄」
「あ?」
「午前中何してたの?」
「柿ピーの代わりと、救護係の手伝いと、得点係の手伝い、かな」
何でも屋みたいだなー。万事屋? さすがに万は無理か。
「じゅんきち! 居るーっ!?」
「誰が純吉だこら」
ぶ、部長……オカルトオタクの部長!?
「純吉居るか?」
「純吉先輩、居ます?」
「純吉……居る筈」
「純吉センパーッイ!」
さらにハルやん、えっちゃん、マコちゃん、タツノオトシゴまで……。
「よし忍」
「逃がさないですよっ!」
えっちゃん……最初は大人しい子だと思ったのに……。
なんっで突然拳構えて走ってくるのかな!?
「えっちゃん先輩っ! 援護します!」
せんでいい!
「いっけぇえええええ!」
『黙れ超音波!』
クラス全員に超音波と言われた部長はどうなんだろう。
「つーかよ、よくもまぁお前等敵陣に乗り込んで来れたなぁ!」
いや村田、昼休みなんだからいいでしょ別に……。
「私白組ですっ! 二年一組ですっ!」
あ、そうなの?
「あ、おーい! 柿ピーのおかずシリーズ第二弾! 漬物欲しい奴!」
すぱこーん
ハルやんのハリセンが叫んだなっくんに直撃。
「てんめぇ、何しやがる」
「俺にもよこせ」
『そっちけ!?』
先生をかばった、とか、シリーズってなんだよ! とか突っ込みじゃないの!? じゃあ何でハリセン出したんだ!
「そのハリセン、何処から出たの!?」
「え……ポケットから」
『ゴム風船か!』
突っ込む側の筈のハルやんが思い切り突っ込まれてる……。
こんな感じで、騒がしくてある意味カオスなお昼休みでした。
誰かが言ってた。『午後からの応援頑張るぞーっ!』
あ、食べたら眠く……。