226 プログラム二番、三番!
忍です。今ちょっとブルーです。
徒競走でスタート失敗して、もう少しのところで二位になってしまったのです。誰だクラウチングスタートなんか考えた奴。おかげで純兄に一瞬睨まれたじゃないか。それだけだったけど。
……はい! 切り替えよう! 眠気も飛んだことだし、今はプログラム二番、綱引きの応援をしよう!
がーんばれ、がーんばれ。……練習ではダントツで弱かったけど。
まぁあれだ、奇跡よ起これ!
あ、負けた。奇跡、起こらず! 次は赤組と三位決定戦かー。ここでは勝ってほしいな……。
綱引きって配点高いも……あ、負けた。一瞬にして負けた。どんだけ弱いんだよ白組!
「ちょっ、嘘でしょ!? 皆! 次のハリケーンは一位とるよ!」
『おぉおおおおお!』
花上、切り替え早いな。そして皆テンション高いな。
ハリケーンは綱引きと同じ配点だもんね。綱引きで四位とっちゃったんだから、こっちは一位とらないと。
「行ってらっしゃーい」
「行ってきまーす。って、なっくんどうしたの、その怪我」
「綱にめっちゃ引きずられた」
あ、よく見たらそんな感じの人が結構多い。
「そっか。ちゃんと手当てしてもらってくるんだよー」
きっと保健室の先生と救護係の子大変だろうなぁ。
「忍~、どうしよう」
「今度は桜? どしたの」
「わたしね、まっすぐにしか走れないの」
イノシシかアンタは。
「棒にしっかりしがみついといたら?」
「練習の時にやったら怒られた~。忍に」
だって重かったんだもん。
「あ、忍、跳んで!」
人間は飛べないよ。あ、違う? 跳べ? 何? もう競技始まってたの!?
「ほいっと」
「ほら、跳んだらすぐしゃがむんだよ! 先生が言ったはったやん! ハリケーンのコツ五つ!」
桜、関西弁になってるよ。
……って、うわっ、危なっ。もう少しで頭にハリケーンの棒がぶつかる所だった。
「……あれ?」
「どうしたの~?」
「白組、四位じゃない?」
「そうだね~」
やばいよやばいよ、二つのドカンと得点入る競技で両方ビリとかかなりやばいよ?
「よし、俺等は逆転するんだな。逆転劇だ」
「よしよしよし、やる気出てきた!」
…………あ。
「いつか村田と一緒に水谷いじめてた奴等だ。ついでに村田も」
「またんかコラ! 俺はついでか!?」
だからそう言ったじゃん。
「いじめてたとか、人聞きの悪いことを言うな!」
事実じゃん。ちゃんと謝った?
「あ、跳んで!」
うぇ? あ、危なー。
「……なぁ岬、何か、すでに二位まで順位上がってんぞ」
「逆転しても大した事じゃ無さそう」
「やる気なくなるからそう言う事言うな!」
やる気なくさないでよ。一位とりたいんだから。
「あたし達が安心して行けるように一位まで上げてよ? 順位」
『ったり前だ!』
さっきと言ってることが違うような気がします。
今更ながら、あたし達……桜、花上、愛華さん(って名前だったはず)とあたしはアンカーです。責任重大です。そうか?
「あい、行ってらっしゃい美咲ちゃん」
「美咲ちゃんとか言うな! 何か懐かしいじゃんかよおい!」
懐かしいの?
「頑張ってね、村田く~ん」「いっけぇー!」「フレ―、フレ―」
愛華さん、何か器用に指でエールを送っています。はたから見たらいじいじしてるようにしか見えないよ。
「よし、いいね皆。岬達から棒もらったらダッシュよ、ダッシュ! 一位とるぞー!」
『はい、姐さん』
「誰が!?」
何か言ってみたかった。まさかハモるとは思わなかったけど。
あ、村田達けっこう速い。一位の黄組追い詰めた! ……って所で戻ってきたよ。はい、ジャンプ! で、しゃがめー!
「よし、行けっ!」
そして棒が渡されたー、一人で持ったら結構重いけど、四人で持ったら大したことない。
順位は一位! おぉ、ビリからトップまで上ったよ。凄い。奇跡だ。
……とかおもったけど、練習の時も一位だったなぁあたし達。全く同じ展開で。
「忍! もっと詰めて!」
あい。
一つ目のコーンを時計回りに、二つ目のコーンを反時計回りに回って、三つ目のコーンを時計回りで半分回ってUターン。そこからまた、行きと同じように回って……。
「いいぞ! 一位だ!」
端っこのあたしと花上で皆の足元を通す。うぁー、何回やってもこれ、体制キツイ……。
で、通し終わったら頭の上をまた通して……あ、手が滑った。
「いっっったぁ!?」
ごめん、二年男子Aくん。
とっとと拾って、一番前へ。
「棒立てて! 棒!」
分かってますって。
ほい、終わり!
……疲れたぁっ!
「み、皆! 一位だーっ! 拍手!」
ぱちぱちぱちぱち……あれ、何か形的に花上に送られてるみたいだぞこの拍手。
で、花上がパッパッパッと手を振ると拍手が止まった。
「ふぅ。これがやりたかった!」
……さいですか。