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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
九月だろうが暴走中
223/410

223 素直な泥棒

「うあー、疲れたー」

「お姉ちゃん~、大丈夫~?」

 大丈夫かなぁ。大丈夫なのかなぁあたし。

 とりあえず疲れすぎててよく分かんない。

「はい水~」

「……変なの混ぜた?」

「酷いな~、塩をちょっぴり混ぜただけだよ~、しょっぱくないから安心して~」

 あ、ちょうどいいや。汗かいたし。ナイス光。

「ありがと」

「うん~。何してたらそんなに一瞬で水飲めるまで疲れるの~?」

 えー、何って……。

「バク転、純兄の指導の下……」

「それだけ~?」

 純兄のスパルタ指導を舐めるなー。

 鬼どころの話じゃないからね、ホントに。

 出来ても何か小っちゃいことにケチ付けるんだよ。

 純兄曰く『演技でやるんだから綺麗に出来なきゃ意味ねぇだろ』だって。あたしはやらないのに!

「純お兄ちゃん~。あれ~? 純お兄ちゃんは~?」

「うー? 部屋じゃない?」

「行こ~」

「何であたしも?」

「もうちょっと緩くしてもらおうよ~」

「んじゃ行く」

 じゃないとあたしの身が持たない。



「……あれ、いつかの泥棒のおっさん」

「あ、どうも、ごぶさたしてます」

「あ、ご丁寧にどうも」

 ……じゃなくてっ!

「何で居んの!? ねぇ、純兄!?」

「ちょっと呼んだ」

「どうやって~?」

「泥棒ーって」

 なんつー原始的な呼び方だ。何のために連絡先聞いたの、あの時。

 ってか、それで来るおっさんもおっさんだ。

「で、なんで呼んだの?」

「本買いに行きたかったけどめんどくさくて」

 このめんどくせぇ病! 確かに足怪我してりゃめんどくささも倍増かもしれないけどさ!

「で、行ってきてもらった」

「行った後!?」

「いいんですか、五十円もいただいて」

 そしておっさんも小学生並のお小遣いでパシられんな。

 金銭感覚どうなってるのこの人。

 ……あ、でも一回手伝いしたら二十円の身としては高く感じる。うーん……。

「おじさん~、仕事何してるの~?」

「泥棒です」

「ひゃくと~ば~ん~!」

「あああああそれは止めて!」

 じゃあ素直に泥棒とか言うなよ。

「にーちゃん、台所のテーブルに置いてたオレのダーツの矢が無いっ!」

 何でそんなものテーブルに置いてるの。

「うぉ、何このおっさん」

 ……何か、うちの兄弟ってあたしも含めて失礼だよなぁ。

「おっさん、ダーツの矢盗ったか?」

「はい」

 素直だなこの人!

「よし、百十番」

「やめてぇえええええ!」

 耳が痛い。

「返せよ、おっさん」

「はい」

 あ、返すんだ。

 ……何で盗ったの?

「それでは私はこれで」

「ばいば~い泥棒さん~」

「じゃーな、どこぞのおっさん」

 ……ほんっと、あの人の行動訳分からん。

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