221 主菜は揚げ物、デザートは卵
「あい、そういう訳で、修学旅行のお昼ご飯、の主菜を決めよー、の巻だよ」
『どういう訳だよ』
岳だっ!
どういう訳か知らんがそういう訳で修学旅行の昼飯決めよー、の巻だ!
巻ってなんだよ。何か巻いてんのか。チーズの海苔巻って結構旨い。
「選択肢はー……白身魚のフライ、チキンカツ、エビフライ、天ぷら」
「天ぷらって主菜か?」
「そこはまぁ、あんまりカロリー捕りたくないダイエット中の女の子のためのね?」
『教師が生徒のダイエット気にするなよ』『ナイス先生!』
あれ、女子にはウケてる? でもさ。
『何でその割には揚げ物ばっかりなんだよ!?』
あ、翔とか修也とかとハモった。流石我が友。
「そこんとこは二組の先生に聞いて」
あ、責任逃れしようとしてやがる! 本とに責任ないのかもしれないけど!
「あ、後デザート選べるよ」
何でデザートまで選べるんだよ。
「プリン、ムース、トーストにメレンゲかけた奴、目玉焼き」
「待たんかコラ!」『何で目玉焼きが混ざってんだよ!』
修也、協調性は大事なんだから一人違う突っ込みをするな。
「目玉焼きについてはネタね」
「ネタ!?」
「修也はどーしたの」
「何で全部そろいもそろって卵入ってんだよ!」
卵アレルギーは辛いな。デザートなしか? 可哀そ。
「あ、大分子供らしくなってきたね、修也も」
「今はんな事言ってねぇ!」
「いや、やっぱりほら、デザートにそんなに必死になるところが……岳のおかげだな」
オレ!? オレは単純に修也と、っつか修也『で』? 遊ぶのが楽しかったからやってただけなんだけど。
「そこんとこは今は流しといてやる。質問に答えろ!」
今は? 今はっつったか!?
「ごめんごめん、全部ネタ」
「歯ぁ喰いしばれ!」
『まぁまぁ』
暴力はよくないぞ修也くん?
「ホントはデザートなんて選べません」
『歯ぁ喰いしばれ!』
「まぁまぁ」
まぁまぁとか言いながら教卓に隠れるなよ!
「大丈夫、デザートはきっとついてくる。だって小学生の修学旅行だよ?」
せんせの頭の中はどんな風になってんだ。
「とにかく、主菜の方はこの時間内に決めておいてねー。決まったら言いにおいで」
えーっと、選択肢何だっけ?
白身魚のフライ、チキンカツ、エビフライ、天ぷらか。
うーん、まず、エビフライは十中五、六はほとんど衣でしたオチだろ? オチってなんだ、自分で言っといて何だけど。
天ぷらは―、うん、主菜って言わねーよなコレ。はい駄目。
あとはチキンカツと白身魚のフライかー。うーん……。
「修也、修也は何にするの?」
「……エビフライかな。奈那子は?」
「あたしも!」
古閑、絶対今決めただろ。一緒だったら何なんだよおい。
「翔ー、翔は何にすんだ?」
「断然チキンカツだね!」
「このチキン野郎!」
「何でっ!?」
何か言ってみたかったんだよ。
……あ、翔にチキン野郎何か言ったら、オレがそれ食べたら絶対仕返しされんじゃん。
よし、白身魚のフライに決定!
……消去法やるとちょっとネガティブな気分になるのは何でだろー。