22 突然出たぁ
「のわぁっ!!」
がたん、どてん!
忍でぇす。
何か知らんが隣の部屋から岳の叫び声と何かが倒れる音が聞こえてきた。
行ってみよー。
「おーい、どーちまちたか岳君?」
「何故に赤ちゃん言葉!?」
なんとなく以外にどんな理由があると言うのだ。
「岳お兄ちゃ~ん、どうしたの~」
「あ、いや」
答えになってないよ。
「突然蜘蛛が出てきて驚いたんだと」
何だ蜘蛛か。……って、
「純兄居たの!?」
「気付いてなかったのか?」
「うんにゃ」
気付いてたからこそ言った訳で。
気づいてなくても言うけど。
「うふふ~、か~わい~」
光は何か蜘蛛『で』遊んでるし。
「あ~!」
「どした」
「カーテンの裏に入っちゃった~!」
『それだけか!?』
「え~?そ~だよ~?」
それだけで大声出さないで欲しい。
カーテンを捲ってみよー。
ぴら、ぽと
『うわ(~)っ!』
ビックリした、めくった所ドンピシャでいたんだもん。
ついでに落ちてきたんだもん。
「ったく、いちいちうるせぇよ」
『何でビックリしてないの(~)!?』
「霊が出るときは普通突然だから」
あー……そーゆー理由?
「わ~!!」
……今度は一階?
「どーしたの」
「ゴキさんが出たんのよ~、突然」
何でゴキブリの事をゴキさんって言うんだろう。
も~、小さい時から不思議で不思議でたまらないんだよね。
「なーんだゴキか」
岳、なーんだとか言ってる割にしっかり殺虫剤持ってる理由を聞きたいよあたしは。
「え~、ゴキさん~? どこどこ~」
光、何でゴキブリと聞いてそんなに顔を輝かすの。
『さ~探そ~!』
ねぇ純兄、あたしじゃこの人等止められそうに無いよー?
「光!居たか!?」
「いない~」
「わ~!」
『居たの!?』
「あそこ~!」
かさかさかさかさ
ゴキブリも逃げる、逃げる。
台所からリビングへ……。
「いくぞ光!」
「了解だ~!」
岳はゴキブリを潰すため、光はゴキブリで遊ぶ為、追いかける、追いかける。
岳の手には殺虫剤、光の手には猫じゃらしがしっかりと握られている。
「光! 挟み撃ちだ!」
「了解した~!」
……なんだろう。
モーレツにゴキブリにガンバレと言いたい。
「ん? どーした、岳に光」
「おとーさん逃げろー」
巻き添え食うから。
「いくぞー!」
「お~!」
シューッ! ぴこぴこぱたぱた
殺虫剤と猫じゃらしはしっかりと命中した!
おとーさんに!!
「うぎゃああああああ!!」
あーあ、だから逃げろって言ったのに。
「ちぃ、逃がしたか!」
「そりゃそりゃそりゃ~!」
「ぎゃはははは!」
頑張れおとーさん。
かさかさかさかさ
「居た!」
シューッ
ゴキブリ退治は成功した!
『ばんざーい、ばんざーい(~)!!』
多数の(一人だけど)犠牲者を出したがゴキブリは墓石の下へ眠った。
「……うるせぇ……」
しかし、犠牲になったのはもう一人居た。
二階で来週あるテスト勉強をしていた純兄は五月蝿くて五月蝿くて全く進まなかったらしい。
ごしゅーしょー様。
……あれ? 突然出たものを書こうとしたのにいつの間にかゴキブリ退治に……。
不思議ですねぇ~




