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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
九月だろうが暴走中
212/410

212 お化け屋敷の意味

「ねぇ純兄、行こうよあれ」

「ん?」

 忍の指す看板に書かれてるのは『お化け屋敷』

 純だ。

 電車で三十分位の所にある、白銀しろがね高校とか言うトコの文化祭に来てる。

 何か、忍が前に説明会来て、面白そうだったんだと。

 んで、一人で行ったら寂しい子みたいだから一緒に来いだと。

「ね、行こうよ。お化け屋敷」

「ん、別にいいけど」

 お化け屋敷って……小六の水小祭り以来だな。遊園地とかも行かねぇし。



「はーい、それでは彼女さん、しっかり彼氏さんにに捕まってくださいねっ☆」

「誰が彼女(彼氏)ですか」

「ち、違ったの!?」

『兄妹です』

「はわはわ、これはごめんなさい! ……いいなぁ、文化祭付いて来てくれるようなお兄ちゃん居て」

 俺は単純に好奇心から来ただけなんだけど。

「純兄、小っちゃい時のノリのままだから勘違いされるのかな?」

「知らん」

 うわ、中真っ暗だ。

「……迷子になるに一票」

 迷路じゃあるまいし。

「純兄どこ?」

「目の前に居るだろうが」

「暗くて見えないんだよ」

 慣れろよ。

「おら、さっさと行くぞ」

「見えないって言ってるのに!」

 服掴むな。首が絞まる。

「あ、純兄がここに居たからー。あ、手ここだ。よし!」

 よしじゃねぇよ。

「何で手ぇ掴んでくるんだよ」

「はぐれそうじゃん?」

「納得」

 だって忍の方見ねぇし。

「こぉおおおおんのリア充がぁああああああ!」

「んっ」「とっ」

 あ。

 しまった。

「ぎゃぁああああああああっ!」

 二人そろって蹴っちまった。

 ほら、暗い所から突然叫びながら出て来るから……。

「どーしよ兄ちゃん。つい誰がリア充だーと言う否定のつもりで」

「……まぁ、いいや」

 向こう気絶してる……。一分もすれば起きるだろっ!

『ごめんなさい』

 謝るだけ謝って、次。

「んっと、ここ曲がればいいのか」

「ねぇ、やっぱりまだぼんやりとしか見えないよ。痛っ」

 よかったな、壁が段ボールで。

「とーぉりゃんせー、とーりゃんせー」

 ……とおりゃんせの歌が聞こえてきた……。

 上手いな、歌ってる人。

「こーこはどーこの細道じゃー」

 今のは忍だな。

「きゃぁあああああ! 他の声が聞こえるぅうううう!」

 …………えっと。

「勝った!」

「勝ったじゃねぇよ」

 何の勝負だ。

「あーした天気になぁーあれっ」

 下駄飛んできた!?

「……ん、明日は雪らしいですよ」

「それ僕が言うはずだったのにぃいいいいい!?」

 あれ、着物の男の子が泣きながら走ってった。

 …………何かまずいことしたか?

「純兄、勝ったね」

 だから何の勝負だよ。

「ねぇ……遊ぼうよ」

 今度は着物の女の子かよ。

「ほら、おいでよ」

「純兄、この人、力強い……」

 あ? 忍は手ぇ引っ張られてたのか。

「よし、そのまま手綱引きしろよ。はないちもんめの時みたいに」

「了解っ!」

 足を合わせて、お互いの手を引っ張る奴。

 俺は見てよう。

「むぁっ……」

「むぅっ」

 飽きた。

「よぅっし! 勝った!」

 お化け屋敷ってお化けと勝負する屋敷だっけ?

 誰か辞書を貸してくれ。

「一まぁあああああい、二ぃまぁああああああい」

「お菊さんが居る」

「あぁ、似てねぇな」

「って、実在するの!?」

 ん、あの人の料理旨ぇぞ。

『一枚、二枚……九枚……はぁ……一枚、足りない……』ってのが口癖だな。

 誰かがあんまり可哀そうだからって皿買おうとしてた。わざわざ貯金までして。

「一枚、足りなぁあああああああい!」

「キャァアアアアアアアア!」

「キャァアアアアアアアア!」

 うぉわ。

「し、忍?」

 捕まれた腕が痛ぇ。耳も痛ぇ。

 高っかい悲鳴二つも同時に聞いた……。

「びっくりしたぁ……突然出て来るもんだから」

「びっくりした、びっくりしたぁ……怖かった……」

「くくっあははっ」

「純兄! 何で笑うの!?」

 お化け屋敷のオバケ役の方がビビってんじゃねぇか。

「オマケに、忍がお化け屋敷程度で悲鳴あげやがったっ、あはははは!」

「純兄、ぶん殴るっ!」

「ははっ。やって見やがれ」

 あー、久しぶりに思いっきり笑った。

「もおー。突然出てきたのにびっくりしただけでしょ! 虫が出てきたのとおんなじこと!」

「私は虫か!?」

 夏の気持ちがよく分かった。面白いときには笑った方がもっとおもしれぇな。

「あはは」

「お菊さんごめんなさい。純兄は後で肉まん奢って」

 絶対ヤだ。

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