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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
八月だけども暴走中
208/410

208 夏祭りの終わりに

『さて、今年の夏祭りもあとわずかとなりまちっ……た!』

「噛んだね」

「噛んだね~」

「噛んだ」

 光、春、美代。三連続で言ってやるな。

 何か司会の人が可哀そうじゃんか。すぐそこにいるんだから。

 忍でーす。

 夏祭りが間もなく終わるらしいです。でも毎年の恒例のステージ……と言っていいのか微妙なものがあるのです。

『さて、最後はやっぱりこれ! えぇー、え? 何? は? 適当に題名つけろ? 無茶だろ、これって元から決まってるもんじゃなかったのか!?』

 おーい、全部マイク通ってるよ。司会者ことサンゴの兄ちゃん!

 よくバイトしてるねこの人。これもバイトでしょ?

『えぇ、失礼しました。それではーっ、レッツ、ダンスしたい人だけ前へどうぞー』

 なんて適当な。

 んーと、まぁ大体言っちゃってるけどこれが毎年恒例、自由参加の適当ダンス。

 ランダムで流された音楽に合わせて、どうぞご自由に踊ってくださいこっちは音楽しか用意しませんから。みたいな……なんだろね? ステージとも言い難いし。

 参加する人がいるっていうのが凄いと思うよ。ノリいいなぁ、皆。

 ちなみに、「手抜きじゃね?」とか言ったKYは速攻つまみ出されます。誰にかは知らんけど。怖っ。

「修也行けよ」

「絶対やだ。岳が行けばいいだろ」

「絶対やだ」

 まぁ、こーゆーノリでされる会話も大量発生するけど。

 って、岳達いつから居たの。

「よしゃっ、行ってやらぁっ!」

 こんな奴も大量発生するけど。行ってらっしゃいお祭りに来てた誰かさん。

『よし』

 ん? 岳と修也が突然頷いた。

『翔、お前行け』

 どういう流れでそうなったんだ。

「了解!」

『了解すんの!?』

「よしっ! あたしも行ってやるっ!」

 ……えと、古閑だったかな? この子ノリいいんだねぇ。

「純行って来「ヤ」」

 純兄、いくらなんでも返事早すぎやしないか。

「何でだよ。行って来いよ! 俺の爆笑のために」

「だから嫌っつったんだよ。テメェが行け」

「いや、俺は常に笑う側に居なきゃなんねぇの」

 不思議お菓子持ったはーちゃん相手だと、あたしや純兄に笑われる側になるじゃんか。

 この時はもう、ここまで笑わなくてもいいんだけどってくらい笑ってやるよ。日頃の恨みを晴らすために。

 日頃の行いは大切だねぇ。

「あれ? そこに居た妹ちゃん三人組はどうしたの~? 居ないよ?」

「桜、あっこ」

 しーちゃんの指すところを見てみれば……。

 妹三人組が踊ってました。三人そろって、ソー○ン節を。

 流れてるのはラテン音楽なのですが。えぇと。まぁいいや。地味にリズムあってるし。どうやって合わせてるんだ。

『はいっ、突然ですが、終了です!』

「ほんっと突然だな。曲途中だぞ。毎年こんななの?」

 あぁ、なっくんは初めてか、このお祭り。

「噂によれば……、祭りが始まった時からこんなだったらしいです」

「へぇ~、って」

『どひゃぁい!』

 びっくりした、びっくりしすぎて思わず皆で意味不明な叫び声上げてしまった。

「オカルトオタクのマコちゃん!?」

「しののん……、マコちゃんと呼ばないでください……」

 じゃあそっちこそしののんとか呼ぶな。シナモンみたいじゃないか。シとンしか合ってないけど! 発音がシナモンみたいなんだよ! 四文字だし!

「あとオカルトオタクではありません」

 嘘つけ。オカルト部って、オカルトオタクの集まりじゃんか。

 暇人の集まりのような気もするけど。

『それでは! 花火によって今年の夏祭りを締めくくりたいと思います!』

 あ、何かマコちゃんが去っていく。……何しに来たんだあの子。

「へー、花火? ……って、あれ?」

 あれです。

 ステージの天井を支えてる棒に渡された紐についてる細いモノ。あれ、よく売られてる手に持って遊ぶ花火です。

 んで、その一、二mくらい離れたところにポーンと置かれてる短い筒は、上に吹き出す、でもやっぱりあっちこっちで売られてる花火です。

「相変わらずショボッ」

 岬、謎の誰かさんXにつまみ出されるよ。言っちゃだめだ。

「あれ線香花火だったりしないかな~」

 光、

「……だったら、ソッコー終わる……」

 あぁ、美代に先言われた。

「あ、火が点けられるわよっ!」

 玲奈さん、凄く嬉しそうですね。言わないでおいてあげるけど、なっくん笑いかけてるよ。どうはまったんだ。

「しゅぱー」

 中森、花火の音を口で言ったのは何故。

 まずは上に吹き出す花火。うん、五個ならんで吹き出してたら綺麗。

 点け方も両端からだからね、真中が残るし。

 手に持つ細い花火も点けられると、これはこれでずら~っと並んで綺麗。

 結構高い位置に吊るされてるから、火花が雨みたいに見えるんだよ。

「花だ」

 うん、隣に来た人が言ったみたいに、花が降ってるみたいだよ。

 火の花、椿みたいな形したそれが、落っこちて、消える。

「見る度に思うけど、馬鹿に出来ないな。こんな細い奴も」

 ……ところでね。花だって詩的な事言った人。あたし知ってるんだ。

「ハルやん、だっけー」

「しののん、ちょっと来てくれるか?」

 きゃー、さーらーわーれーるー。

「純も」

「忍」

 逃げるんだね。

「がってんだ!」

 ダーッシュ!

 ……何で夏祭りの終わりに追いかけられにゃならんのだ。

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