207 中三集合!
『さぁ、次はブラスバンド、ザ・ブラスバンドです!』
まんまじゃねぇか。
夏だ。
純が何処行ったか知ってる奴居るか? 忍でも可。
「あ、なっくんめっけた」
「めっけたはこっちのセリフだと思うぞ? 忍」
ところで、右隣に居る鈴木はわかるけど、そのさらに右隣でクレープ食ってる浴衣娘は誰?
あ、いや、何かお面だとかヨーヨーだとか持ってるし、どっちかと言うとお祭り娘?
「あのねなっくん。人数の少ない方が迷子って呼ばれるの」
「あのな忍。屁理屈っていうの、それ」
「屁理屈上等!」
喧嘩上等みたいに言うなよ。
「たか……じゅん、は?」
「純? 今探してるとこ。……あれ、鈴木ってそんな風に呼んでたっけ」
「ほっときなさいよっ!」
分かった、ほっと……けるかこんな笑いの種になりそうなもん。
「何でだ何でだ~? ほれ、言ってみ。吐いて楽になっちまいな」
「訳分かんないわよっ! 刑事ドラマじゃないのよ!」
どっかで聞いたのをまとめたんだけど。そうか、刑事ドラマだったのか。
「あたしが頼んだの。だって、あたしも高山だし」
何だ、つまらん。……いや。
「気の強い玲奈ちゃんがそれに従ったのかぁ、その心は」
「謎かけじゃないのよっ! 従うとか言うんじゃないの! わ、私は友達のお願い聞いてあげただけなんだからねっ!」
「リンゴみてぇ」
「何で顔色見えるのよっ!」
あぁ、ほんとに赤くなってたのか。周り暗くて見えなかったんだけど。
「あっ、純兄めっけたぁっ!」
忍、俺を見つけた時と純を見つけた時ののテンションの差は何。地味に哀しいじゃないか。
「純に、玲奈のこと、玲奈って呼ぶんだよ?」
「はぁ? 何を突然」
「別にいいでしょ。桜も篠も名前なんだし」
「いいけど、別に」
あぁ、何か暗くても分かるくらい鈴木の顔が赤くなった。頼むからは爆発だけはしてくれるなよ。
……熱が伝わってくるんだけど。風邪ひいてるんじゃ?
「あ~っ、居た居た、忍ご一行」
「桜、やっぱまとめるんならこれだろ。しじなれみ」
「そんなまとめ方をするのは清だけだ」
篠、俺もそう思うよ。
「あ、清! それはもしや……」
「あん? 綿菓子がどした?」
「いただきます」
「あぁああああっ!?」
忍……今、半分も盗ったな、一口で。
「どんな口してんだよお前は!?」
「ほふなくふぃ」
こんな口、か。なるほど、綿菓子だらけの口か。
……あれ?
「おーい、美咲ちゃん」
あ、シカトされた。ちゃんと言わなきゃダメ?
「おーい、岬! 村田岬!」
「あはー、やっぱ俺の事かよぶっ飛ばすぞテメェ覚悟はいいなコラ」
美咲ちゃんって呼び方気に入っててつい。
「一人でお祭りとか岬も寂しい奴だなー」
「妹も来てるけどよ……」
「うちと、純とこの妹にとられたんだろ。やっぱ兄貴より友達だよなー」
忍は例外かと思ったら案外そうでもないし。
「ほら、何かいいことあるよ美咲ちゃんにも」
「うん、俺は男」
「そこには突っ込んじゃだめだ」
「何で!?」
俺が楽しくないからだ。