206 お祭りの四人組
「修也ぁ、なんでおめー、かき氷みぞれなの?」
「悪いか」
「悪い」
舌の色が変わったのを見せ合いっこすんのがかき氷の楽しみだろ!
違う? 違うのか?
岳だっ!
歩きながら食べるかき氷ってうめぇよな! ちなみにオレのはブルーハワイ。
ブルーハワイって、どーゆー意味なのかね。単純に青いハワイか?
「修也、このイチゴ味、美味しいよっ!」
「古閑ぁ、かき氷の味ってどれも同じじゃない?」
あ、言おうとしたこと翔に言われた。
「微妙に違うの。多分!」
多分にそんな力入れて言うなよ。
「む」
「どーした修也」
砂の上で元気に跳ねる金魚でも見つけたか?
「金魚の群れだ」
修也かき氷を突いてたストローの先を見ると……。
砂の上で元気に跳ねる金魚の群れがあった。
怖ぇよ!
「ど、どうしよ、水に戻してあげないと……。何処から来たのよこんなの!」
古閑、すぐそこにひっくり返ったタライがあることに何故気付かない。
「あぁごめんね、すぐに戻すから……」
お、金魚すくいのおいちゃん。
この人の手が金魚に近づくと、一段と跳ね方、っつか暴れ方がひどくなるように見えるんだけど、これはオレの目がおかしいのか?
「よかったですね! 元気な金魚で!」
「じゃないと今頃チーン、だもんなー」
「高山!」
ごめんなさいもう冗談で死に関係すること言いませんから。古閑の怒った顔って意外に怖いです、はい。何処からどう見ても鬼です。ツノ見える。冷や汗半端ない。
浴衣着てる女の子は誰だろうと可愛いモンだとか言ってた文月くん、怒らせたらそーでもねーぞ。
さっきまでは確かに可愛かったけど。
「……ちょっと、君顔見せて?」
何ですか金魚のおっちゃん。略してお茶。あれ、何か全然違うものになった。
「うわぁ~、やっぱり金魚すくい女王に似てる~」
誰だよそいつ。
「ごめん、もう来ないでね」
「いきなり何だよ!?」
酷くね? いくらなんでもこれは酷くね?
「奈那子、ヨーヨー釣りがあるぞ」
「わぁっ! やろうやろう!」
「おれ等は? 邪魔? やっぱお邪魔虫は居ない方……ってぇっ!?」
あ、翔がいらんこと言うから殴られた。
あ、お茶がどっかに消えた。
「あぁ、ごめん。つい岳にやるような感覚でやっちまった★」
「やっちまった★ じゃねーよ! お前が『★』とか使うと怖ぇんだよ! っつかどんだけハイレベルな喧嘩してんだよアンタ等!?」
前半は修也も明るくなった、っつー事でいんじゃね?
で、後半は……。
『この場合は翔のレベルが低すぎるだけ』
「ハモっていうんじゃなぁああああい!?」
いや、だって。
脚は速ぇーけど、こういうのの反応鈍いし。少なくともそこら辺のクラスの奴よりは。
「いいから、早くヨーヨー釣り行こうよ!」
「そうだな」
「ほいさっ」
「え、今の話題これで終わり!?」
翔、違う。もとの話題に戻しただけだ。
数分後。
『岳ってこういうの下手なんだな』
「ほっとけ!」
そこに突っ込んじゃだめだ!