205 お祭り大好き?
「あれ? 美香?」
……は、はぐれたわ……。
もうっ、いっつもふらふらしてるんだから美香はっ!
どうせ適当にぶらぶらしてるでしょうから……。
「こっちから探さないと……」
「おー、玲奈だー」
「あら? 忍じゃない。一人? 高山は?」
「あのね、玲奈」
「な、何よっ?」
急に真剣な顔してっ! らしくない! ……今のは失礼かしら?
「あたしも高山って名字なの、覚えてる?」
「お、覚えてるわよそれくらい!」
ちょっと忘れかけてたわ……。
「それでね」
「まだ何かあるの?」
「夏休みの始めに純兄の事、純って呼んでって言ったの忘れた?」
そ、そういえばそんなことも……。
「でもっ、そっちこそ、高山に玲奈って呼ぶように言うとか言ってたじゃないっ!」
「こんな言葉があるんだ、玲奈」
何よ。
「それはそれ、これはこれ」
「殴るわよっ!?」
「やばーん」
「失礼ねっ!」
「あはは」
もぅっ。
「ところでさ、篠と桜、見なかった?」
「見てないわよ。あなたもはぐれたの?」
「ん? 玲奈もはぐれたの? ……あぁ、中森?」
「別にはぐれたんじゃないわよっ」
「いや、ここで隠すことにどんなメリットが?」
知らないわよ。自分で行っといてなんだけど。
「じゃあ一緒に回ろっか。見つかるかもしれないし」
「そ、そうね」
能天気な考え方……。
「あら? あれって、高山じゃない?」
「玲奈……じゅ・ん!」
「あぁもう! 分かったわよ! あれ、じゅ、じゅ……じゅん、じゃない!?」
「何か……玲奈って可愛いんだね。うん、顔は可愛いというより美人なのに」
「五月蠅いわね黙りなさいよ怒るわよ!?」
「怒ってるじゃん」
それはそれ、これはこれ!
「あめちゃん食べる?」
「子どもじゃないのよ! しかも綿菓子じゃない!」
「綿あめとも言う」
あぁ言えばこう言う!
「あ、玲奈さん」
あ、美香……って、
「何よそのかっこう!?」
「お祭りは楽しまなければ意味がありません」
だからって……、頭にお面、首にはぴかぴか光るおもちゃ、手首足首には光る輪っか、右手に綿あめと風船のヨーヨー、左手にチョコバナナ。
オマケに元から着てた赤い浴衣でもう、これ以上ないほどお祭り! ってオーラが……。
「中森って、意外と……恐ろしい人だね」
「高山さんもいかがですか? チョコバナナ」
「いただきます」
食べるのね……。
「あ、そうそう、玲奈さんにも一つ」
何よ?
「はい」
……ぴかぴか光る、ゴムの指輪……。
「こんなので喜ぶ人がどこにいるのよっ!?」
「ここに」
美香、喜ぶの……?
「ほら、よく言うじゃないですか。プレゼントするなら自分がもらって嬉しいモノをって」
言う、けど……。
「自分がずれてるとかは考えないのね」
「え? ずれてるのですか?」
本気で不思議そうな顔をしないでくれる!?