20 ホントに居たのかこんな奴
「おーい、たけ「誰が竹だ!」誰も竹とは言ってねーよ!」
そりゃそうだ。
オレがわざわざ途中で切ったんだからな!
岳だー。
ちなみに話してる相手はクラスメートで友達の中谷翔な。
「で、何か用か九日投下?」
「投下じゃない、十日」
「それはさて置き。何か用?」
「用が無きゃ来ちゃダメなのか!?」
「うんそう」
とは言わないけど。
あ、言ったか。
「ふーん。じゃ、面白いことあるけど言ってやんね」
「なにッ!? 何だ!? 面白いことって!」
「ひっひーん」
「馬?」
「違ぁう!」
全く、話が進まないじゃないか。
オレのせい? まさか。
「で、面しれー事って?」
「これこれ」
む? 手紙? ピンク色の女子が使うような感じだなー……。
……まさか。
「お前そー言う趣味だったのか!?」
「んな訳ねーだろ!!」
「じゃーそれは何だ!」
「シーッ! 実はな……修也の靴箱の中に入ってたんだ」
人の靴箱覗いたのかコイツ。
あ、修也っつーのはうちのクラスの男子な。
なんつーのかな、地味? いやいや違うな。
クール? ツンデレのツンだけバージョン?
まー、そんな感じか。
で、スポーツ、勉強、大体出来るような奴。
まっ、オレには敵わねーけどな!
本当だぞぅ。
「で、中身を見てみたら……」
人の手紙の中身を見たのか!?
あーあーあー、怒られてもしーらね。
「で、何て書いてあったんだ?」
え? 人の手紙の中身を見ちゃいけねーって?
バーロ、見たのは翔だ。オレは内容を聞いただけ!
「じ、じ、じ、実はな……所謂ラブレターってヤツだったんだよ!」
「ぅえええええええ!?」
ホントに居るのか!? 靴箱の中にラブレター入れる奴!
「十中八九ドッキリじゃねーか!」
「いや、それがな……どっからどー見ても女子の字だぜ?」
「そこら辺の奴に書かせたんじゃねーの?」
「だからってわざわざこんな便箋と封筒買うか?」
あぁ~、それもそーだ。って事はホンモノ!?
「で、何て書いてあったんだ!?」
「んーとな……
『しゅ、しゅーや、くん、へ……
ほうか、ご、たいーくかんの、うら、で、まって、ま、す……』
だと」
「なんでそんなしどろもどろで言うんだよ」
聞きにくくてしょーがねー。
「書いてあるのをそのまま言っただけだけど。
全部平仮名で書いてあるから読みにくいったらありゃしねー」
「話し言葉でラブレター書くかね、普通」
「まー、とにかく見に行くのは確実って事で!」
「おう!」
……って、あれ?
「それ修也は読んだのか?」
「……あ゛」
おい。
「ガッコ来たのは修也より先だったから……」
おいおいおいおいおいおいおい!
「放課後って事は今戻しに行っても大丈夫だよな! 戻しに行こう!」
「あ、ちょっと待て。修也にラブレターなんて出した度胸のある奴、誰」
だって、修也はラブレターなんてもらった途端やぶって捨てるような奴だぜ?
そんな奴にラブレター出すなんてほぼ自滅同然じゃねーか。
「んーとな……。5-2古閑奈那子って書いてあるな」
「古閑ぁ!?」
古閑っていやー、隣のクラスの普通な顔立ち、ちょっとテンション高め、成績普通な女子……。
つりあうかねぇ。
「よし、翔! 賭けしよーぜ! お菓子一つ賭けて!」
「じゃ、おれは「オレは実らないに賭ける!」……実るに賭けろと」
「そーゆーこと」
「ま、いいや」
よしっ! 勝った!
さーって、何のお菓子もらうかなー♪
ラブレタードッキリ、引っかかったことある人ー。
または引っ掛けたことある人ー。
私は誰かが引っ掛けようとするのを黙って見る人です(笑)