199 またね!
「うー、もう帰っちゃうん?」
「もうも何も一週間以上居けど」
「いや純、そこはまだ一週間、じゃろ」
忍です。
帰ります。もう後は新幹線待つのみです、はい。
「じゅんじゅん! 来年こそ勝っちゃるんじゃけえ、覚悟しちょけよ!」
「あー、ハイハイ。来年こそもう少し大人しくなっとけよ、たっちゃん」
あれ、このやり取り一昨日も見た気がする。
「はいこれ、途中でお菓子か何か買いね」
「わ~、ありがとうお姉さん~!」
「まーっ! 光ちゃん正直だからもうちょっとあげる♪」
良雅くんトコのおばさん単純だなぁ。詐欺にあうなよー。そして何か光が黒くなったなぁ。
龍城さん、光に何か吹き込みましたー? いや、仕事だとかで来てないけど。
「じゃあねっ、ひーちゃん! はーちゃん!」
「またねー、ひーちゃんはーちゃん」
「次はお土産もよろしく!」
愛弓ちゃん、もう少しいい事言えませんか。
「忍ちゃん、純くん、またね」
「うん、香ちゃんまたねー」
「俺は!? ねぇ香ちゃん!? 俺は!?」
なっくん、忘れ去られてたね。
「しのぶぅー、しんかんせんきたねっ!」
「かおりぃー、しんかんせんじゃねっ!」
『のりたいねぇーっ!』
勇気くん、菜月ちゃん。そんなきらきらした目でこっちを見ないでください。
「純、次来たときは酒飲めよ!」
「俺まだ犯罪者にはなりたかない」
「ちっ、んじゃ夏!」
「そだな、親しだ「夏?」いややっぱね! 俺未成年で飲酒はよかねぇと思うのよ!」
秋さん、すげぇ。
「先ずは秋さんを超えて来「良雅?」ごめんなさい俺もう酒やめますから!」
秋さん、すっげぇ。
「はっはー! 情けないな二人とも! それでも男か!」
「皐月、貴女が一番問題ね」
あ、皐月姉逃げた。逃げるが勝ちとか叫んでるけど。どう勝ったんだろう。
秋さん、すぅっげぇ。
「早く乗らないと新幹線出ちゃうよ!」
あ、そうだね。
『またね~! 満ちゃん、れーちゃん、愛弓ちゃん!』
『またね~!』
「またな! たく! たっちゃん!」
『またな!』
たっちゃん、次会ったときに男勝りな口調になってたらどうしよう。どうもせんが。
『またね(な)、香ちゃん、良雅くん』
「またねー。純くんも」「またな。ほら純もじゃ!」
「ん。またな」
あー、新幹線のドア閉まる。ってか閉まった。
あれ、誰かにあいさつし忘れてるような。
「俺はっ!?」
あぁ、文月くんか。
『ならいいや』
あぁ、全員思ってたんだ。
うん、新幹線に乗ってない人たちも言ってたよ。
「ゆうきぃー、しんかんせん、すごいねっ!」
「なつきぃー、あっちもみにこうねっ!」
このほや~っとしたかわいらしい声が聞こえた瞬間。
血の気が引きました。ここにいた関係者、全員。