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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
八月だけども暴走中
198/410

198 温泉だぁっ!

「皆の者、温泉じゃ!」

「温泉だ~!」

「温泉だぁっ!」

「温泉じゃぁ」

「温泉温泉!」

「温泉じゃね」

「おんせんー、ねっ!」

 温泉温泉五月蠅いわ。

 忍です。

 言わなくても分かるでしょうが、温泉に来ています。

 近所だけどね。徒歩三十秒だけどね。

 うわ、改めて言ってみると近っ。

「さあ、準備はよいか皆の者!」

『お~っ!』

「飛び込めーっ!」

『おぉ~っ!』

 さぁ、誰が最初にあの、アツアツホカホカ気持ちいい大きなお風呂にダイブするのかーっ! って、

「飛び込むな馬鹿がっ!」

『えー』

 あ、そこはちゃんと止まってくれるんだ。

「飛び込むのは体洗ってから! おけ?」

「今日のお姉ちゃん純お兄ちゃんみたい~」

 純兄が飛び込むことを許可するようなこと言うかなぁ?

 いや、純兄はこう言う事痛い目見るまで言わないかな。

「しのぶぅー、ポンポンきれいきれいしたらとびこむねっ!」

 そうして下さい。

「菜月ちゃん、頭も洗わなきゃダメ」

 小四組メンバーその四、麗美れいみちゃんことれーちゃん。お姉さんだ!

 いや、何かよく分かんないけどこの中で一番お姉さんだと思う。あれ、何か負けた気分。

「そうそう、頭の中身も洗わなきゃダメ」

 何を言っとるんだこの小四組メンバーその五、愛弓あいみちゃんは。

「誰が早く体と頭洗えるか競争じゃよ! よーいどん!」

 よーい、の所で何の用意をすればよろしかったのでございましょうか。



「いっちばん!」

「皐月姉、おっとなっげなーい!」

 たっちゃんに大人げないとか言われてるぞ皐月姉。いいのか?

 大学生として、浪人生かもしれないけどそれでいいのか!? 別にいいんだろうな、この人だから。

「ぼぶぼぶぅー」

「菜月ちゃん、動かんちょって」

「そうそう、カチコチになって!」

 菜月ちゃんは凍らされてるのか?

「はーちゃん~、楽しそうだね~、あの全身泡だらけ~」

「そうだね、やったげる!」

「あ、満も手伝うっ!」

「コラそこっ! 石鹸の無駄遣いをしない!」

 ボディーソープのボトル、空にするつもりか!?

『はぁ~い』

 うん、素直でよろしい。

「れいみぃー、あいみぃー、飛び込むねっ!」

「ダメ、静かに入るの」

「そうそう、どぼーんって行ったらごぼごぼってなって、チーンじゃよ!」

 効果音ばっかり。最後のチーンって、おい。

「うぅー」

「菜月たん! ほら! あたいの胸に飛び込んで……目を逸らすな! ちょっ、何でみんなして遠ざかってくん!?」

 いや、だってぇ。

「ひかりぃー、こっちろてんぶろ? ねっ」

 無理やり『ねっ』てつける必要がどこに。

「そうだよ~、行ってみようか~」

「ひかりぃー、こんよくってかいてあるよねっ?」

『読めるの!?』

 天才幼児だ。うん。間違いなく天才幼児だ。

「どうしよっか。混浴って書いてあるとちょっと……」

「そうそう、でれーっな男どもが居たらちょっと……」

 愛弓、ちょっと黙っとこ?

「れいみぃー、なつきさきいくねっ!」

「そりゃ菜月たんなら問題欠片も無いわな」

「でも、こんな小っちゃい子だけで行くのは危険じゃけん、ウチも行く!」

 れーちゃん菜月ちゃん行ってらっしゃぁい。

 止めないよ? 別に。

「えっ!? 行くの!?」

「混浴の意味分かってる!?」

「知っちょーよ、そんくらい!」

『言ってみ』

「大人と子供が一緒に入る!」

 何でだよ!

『はいちょっと帰りなさーい』

「え、でも菜月ちゃんが……」

 もう行っちゃってます。

「はい、それではれーちゃんに混浴の意味を教えます」

「うん」

「男女一緒のお風呂! 分かる?」

「ふぇええええええ!? あうあうあっ」

 うわ、れーちゃんテンパってる。

 ほんとにわかって無かったんだね……。

「あれ? ところで香ちゃん知らない? ねえ、忍ちゃん!」

 あれ? 居ないの? 香ちゃん。

「知らないよ?」

「香ちゃんならさっき菜月ちゃんに付いて露天風呂に」

 愛弓ちゃん、何故止めなかった。

「なら私も行こ~っと~」

「えぇえええ!? ひ、ひーちゃんが行くならウチも!」

「じゃ、あたいも!」

「満も、行こうかな……」

 あれ。残ったの、あたしとれーちゃんだけじゃん。

「……れーちゃん、ほかのお客さんもいないことだし素潜り勝負でもしよっか」

「……うん」

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