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ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
八月だけども暴走中
193/410

193 吹き出し花火とか線香花火とか

「夏だーっ!」

「花火だーっ!」

「送り火だーっ!」

 何かがずれているような気がしないでもないような気がしないでもないような気がしないでもない。

 自分で言っておきながら意味が分からん。

 純だ。

「んじゃっいただきます!」

『なんでじゃ!?』

 花火食うのか。流石姉御……じゃ無かった、皐月姉。

「細かいことは気にするなと教えただろ野郎ども!」

『すいやせんでした! 姉御っ!』

 何だよ、この小芝居みたいなモノ。

「分かればよろしい」

 まぁ、多分突っ込んだら負けだな。

「それじゃあこれよりー、花火大会を始めるっ!」

「あー、すいやせん姉御、とっくにみんな始めちまってます」

「えぇっ!? あたい置いてきぼり!? 龍城たつき、吹き出し花火は!?」

 誰だよ、龍城って。

「一m吹き出すのと二m吹き出すのと五十m飛び出すの、どれかいいっすか?」

 急にとんだな。ってか、

「吹き出し花火だからってそんなに吹き出すわけ無かろ!?」

 あ、皐月姉に先に言われた。

「あー、あれですね。花火作ってるトコが間違えてc入れ忘れたんすね。じゃあ、五十“c”mで」

 そんなミスしていいのか?

「よしっ、点いたぁっ!」

 ぶっしゅわぁああああああああっ!!

 どんな音が済んだよこの花火。

 つか、えぇと。

「本当にコレ五十m吹き出してませんか」

 花火やってる空き地が広くてよかったーで済むような状態じゃ……。

「ちょっと改良を加えて……」

「改良? 悪くなってんのにどこが改良ですか。これ」

「多少危険でも一応ほら、やっぱり書かれたとおりにしておいてあげたほうがいいでしょう?」

 龍城、怖ぇな。

「そもそも改良ってどうやって?」

「えー、そこをちょちょーっの、ほいーっ、の、パッ! っすよ」

「分かるか!」

「短大でこーゆー事学んだんすよ」

「…………」

 どーゆー事教えてんだ、こいつの短大。

「それが今の警察の仕事にまるで役に立たなくて、ちょっとストレス発散? まぁそんな意味でちょっとやってみやした」

「ちょっとやってみやしたじゃないですよ! ってか、は? 警察!?」

「え、それが何か」

 こんなのが警察で大丈……突っ込むのやめた。めんどくせぇ。もう何か色々ぶっ飛んでる気がする。

「あれ、お前こんなとこで何しとっと?」

「しかも後ろから声聞こえてくるし、背後霊でもついてるなら今すぐに叩き潰してぇなー」

「おい純、何か危ない人に聞こえる」

 誰が危ない人だ。

「誰すか、この人。お知り合いで?」

「龍城! ちょっ、コレって……」

「あー、はいはい、今行きやす、姉御」

 本とに、こんなのが警察で大丈夫か日本。……あ、突っ込むのやめたんだったな。

「んで、もっかい聞くけどお前こんなトコで何しとっと?」

「テメェこそなにしてんだよ、忍?」

 あ、忍って妹の忍じゃねぇぞ。その忍は向こうでねずみ花火を回りに投げ散らか――いや、なんでもねぇ。

「……あのさ、人の顔見てどっか見て、ほんでうんざりしたような顔になるのやめよ」

「その何処が出身かイマイチ分からん口調もやめろ」

「俺は福岡出身じゃよ?」

 福岡の出身が何で山口弁を使うんだ。

「で、結局なんでここに居んだ。家は福岡……自称、だろ?」

「自称ちゃうわ。本とに「ループするから突っ込むな」ずっこ!」

 事実だろ?

 コイツは、一応死神やってて知り合った俺みたいな状態のヤツ。

 つまり人間か死神かよく分からんヤツ。

「友達ん家が山口にあんだよ。お前は?」

「婆さん家以下同文」

「……そこめんどくさがって何かいいことあると?」

 時間の節約とか?

「んー……ま、いいや。それよりさ、せっかく現実世界で会ったんだし線香花火勝負でも」

「こっちは何でテメェが一人で空き地に居るのかを聞きたいけどな」

「散歩」

「あっそ」

「聞いたのそっちやろ。もっと興味持たんか」

「ヤ」

「あっさり言うなぁ……。まぁえぇ。早くやろ。ローソク何処にあると?」

「確かちょうちんの中に」

「何で!?」

 さぁ。

「あぁ、でも妹がライターやらマッチやら持ってるのを没収したから」

 ライターにマッチなんか文房具じゃねぇだろ。

「それこそ何でや!? テメーの妹はアレか、放火魔か!?」

「人の妹に向かって失礼な。常に文房具を持ち歩く便利な道具箱だ」

「人間じゃなくなってんじゃねーか! それこそ失礼やろ! テメー妹を何やと思っとーと!?」

「多少変だけど人間……って、だからループするからやめい」

「ループの原因誰だよ……」

「テメェだろ?」



 数分後

「やっと線香花火までたどり着いたな」

「長かった……」

「これと言うのもテメェが突っ込み続けるから」

「テメーがボケ続けるからじゃ!」

「落ちるぞ。勝負じゃなかったのか?」

「落ちんように左手はガッチリ固定しちょる」

 左利きだったっけ。うん、まぁそんな気もするな。

「ところでさー、お前兄弟何人居るん?」

「三人だけど。俺のぞいて」

「でもさー、あっきらかーに人数多くないか?」

 軽く十人は超えてるからな。

「あっちで線香花火勝負してる男子共で、一人だけ中腰になってんのが弟。向こうでねずみ花火に追いかけられてるのが妹一号」

 あれ? さっきはねずみ花火投げてる方じゃなかったか?

「んで、歩道のコンクリに花火で落書きしてる奴等を半歩後ろから眺めてるのが妹二号。他は全部知り合い」

「ほー。……あっ、純の落ちた! 俺の勝ちやな」

「ガキかよ、こんくらいで」

 とか言いつつ人の線香花火の先っぽを揺らしてみる。

「あーっ! 落ちた!? テメーの方がガキやないと!?」

「はは、俺は負けず嫌いなんだよ」

「へー、じゃあお盆の間にどっちが多く冥界あっちに送る幽霊捕まえるか勝負しようや」

「負けず嫌いだけど面倒事の方が嫌いなんだよ」

「つごーのえぇ性格しちょんなこいつ!?」

 だから何か?

 純くん、見た目年上の知らない人間には一応敬語を使います。

 忍くん、名前が思いつかなくて百話で言った『名前が同じ男子』を使ってみました。

 龍城くん、気が付いたら居ました。怖。

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