190 お盆のおもちゃ
『今年もお盆が来ましたね』
『そぉねぇ、ニンジンとサツマイモの甘煮。ところでいい加減この長ったらしい名前は何とかならないの? めんどくさいんですけどぉ。あたしみたいなかっわいくて短くてかっわいい名前にしなさいよぉ』
あなたは名前の大切さが分かっていないのですね、ラビットさん。
そして何気に『かっわいい』が二つは言っているのは何故ですか
ニンジンとサツマイモの甘煮と言う名の巨大なめっこぬいぐるみです。
なめっこと言うのはキャラクター名ですが、皆さん覚えていましたか?
『お盆っつってもさー、オレ等おもちゃには関係なくね?』
『思いっきり関係ないですね』
『んじゃ何でそんなしみじみと』
『今まで私は押し入れの中にしかいなかったのですよ!? しみじみと季節の移ろいを感じていたいのです!』
『ちょいちょい、ウサギ人形『ラビット!』へいへい……ラビット』
耳をつかめばいいのに……あ、ラジコンカーさんには手がありませんでしたね。
『なぁにぃ?』
『お盆ってさ、季節か?』
『…………』
すみませんねっ!
はっ! 何で私が謝っているのですか!
『勝手に謝ったんじゃねーか、ニンサツが』
『ニンサツ!? 忍者のお札みたいに言わないでくださいよ!』
自分で言ってて何ですけどこの忍者のお札ってなんでしょう?
『知るかよ』
『はぁ……やっぱり光ちゃんが居ないのは寂しいわねぇ』
『突然何を』
光さん含め、このお家の方はお母様の実家に帰るとかでおやつの後に出発しました。
もっと早く出ればゆっくりできるのに、と思ったのは私だけではない筈です。
『そう言えば、ルービックキューブさんがさっきからずっと純さんの机の中で暴れていますね』
『出たいんじゃなぁい? 出してあげなさいよ、ニンサツ』
……一瞬、ニンサツでもういいじゃないかと思ってしまった自分が情けないです。
『動きますかね、この体』
『しばらく帰ってこないんだから、目いっぱい暴れましょっ! 動く動かないは問題じゃないのよ!』
十分問題ではないですか。動けなかったら暴れられません。
『ほらぁ、さっさと立つのよ!』
『ガンバだぜ。ニンサツ』
うっ……立つのです、ニンサ……ッ!? 二、ニンジンとサツマイモの甘煮!
よいっ、しょ……っと。
『立てるじゃなぁい。まっ、あたしほどきれいに立ててはいないけどねぇ』
『ラビットさん、そろそろウサギ人形さんになりましょうか』
『嫌よッ! あたしのこのきれいな耳に何をするつもり!?』
つかむだけですが何か。
『皺になったらどうしてくれるのよっ!』
『アイロンでもかけましょうか』
『熱いじゃないっ!』
それはそれとして、ルービックキューブさんを出してあげましょうか。
『…………ルービック、生きてるの?』
引き出しを開けると、ただのおもちゃのように静かなルービックキューブさんが出てきました。
……あ、私もただのぬいぐるみでした。