表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただいま暴走中!  作者: 呪理阿
八月だけども暴走中
188/410

188 発散っ! したい

「純兄、もうすぐお盆じゃん?」

「ん。嫌な時期だな」

「……幽霊いっぱい帰ってくるから?」

「稼ぎ時ではあるけど」

「仕事人間発言やめい」

 いつの間に仕事人間になった、俺は。

 純だ。

「で、何が言いたかった。今のか?」

「ううん。もうすぐ山口の方のおばあちゃん所行くじゃん」

「うん」

「前住んでたところじゃん」

「うん」

「皆に会えるじゃん」

「うん」

「楽しみでなんとなくどっかで発散させておかないと暴れちゃいそうで」

「裏山でも駆け回ってこい」

「冷たっ」

 夏にはちょうどいいだろ。

「ん……じゃあその楽しみは組織液にでも溶かしとけ」

「何故に組織液」

「今理科やってたから」

 血液中の赤血球に含まれている、酸素と結びつく物質の名称を答えなさい……。

 ヘモグロビン、と。

「純兄って妙なところで単純だよね」

「そうか?」

「うん。どうでもいいところも言う」

 どうでもいい所ならいいじゃねぇか。

「で、発散できたか?」

「ううん。まだまだ」

「外走ってこい」

「疲れるからヤだ」

 それでいいのか中学生。

 ……まぁ、俺が言われたとしても同じように答えるけど。

「と言う訳で、会話ダメなら発散できる何か教えて。疲れない奴」

「どういう訳でそうなった」

「こういう訳」

 ……絶対ここで聞き返したらループするな。

「八朔でも食えば?」

「無いよ。旬でもないのに。いくら発散と八朔が似てるからって食べるだけで発散できるわけじゃないでしょ」

 楽しみを発散させたいとかなんとかいう割にドライだな。

「八朔は昔は今くらいが旬だったらしいけど」

「過去形でしょ。全くもー、お兄ちゃんってば」

「突然呼ばれたことのない呼び方で呼ばれても引くだけだぞ」

「光には毎日呼ばれてるのに」

「光とテメェはまるで違うから」

「どういう意味だろ」

 名前からして正反対。いや、忍は全然忍んでないけど。

 光もある意味ズレてるような気がするけど。

「ね、どこら辺がまるで違う?」

「全てにおいてって言ってもいいかもしれない」

「そこまでじゃないでしょ。例出してよ」

 例? めんどくせぇ。

「あー、そだな。服の好みとか?」

「そっかー、光よくスカートはくもんね。服装とかどうでもいいって思って無いの、光とおかーさんだけじゃない?」

 確かに。

「それテメェは仮にも女子としてどうなんだよ」

「仮にじゃないんですけど。本当に女子なんですけど」

「そこはまぁ置いといて」

「置いとかないでよっ!」

 じゃあそこらへんに捨てて。

「他にはあれだな、料理がまともか変か」

「ホントに置かれた!?」

「いや、捨てた」

「捨てないでよ!」

 そういえば最近光料理してねぇな。平和でいい。

 ……嵐の前の静けさ、何て縁起でもないこと思い出した。

「ちょっとー? 聞いてるー?」

 嵐なら今目の前に居るか。

「発散できたか?」

「忘れてた。ねぇ、どうやったら発散できる?」

 ……聞くんじゃなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ