182 プールで酔う
「わお、岳が逝っちゃってる」
「いつもからかってる子にからかわれた上に遊ばれて疲れたんだって~」
倍返しされたんだね。
忍でーす。
明日はきっと雪なので石油ストーブでも用意しといてください。
なぜなら、あたしが今日は勉強しかしてないからだよ!
ちなみに石油ストーブなのは節電のため。料理もこの上でしてみたら?
「水はもう見たくもない」
「今君の髪から落ちたのは何かな? 水滴じゃない?」
ちゃんと頭拭いた?
短髪でどうやって濡れたまま帰ってくるの。
「んじゃ、そう言う事で」
「どう言う事~?」
何だろ。
岳が、酔った時の良雅くん父みたい。
良雅くんって、山口の幼馴染の一人ね。
良雅くん父凄いんだよ。酔ったらとことん変な事言い続けるんだから。
「あのさ、あのさ」
「どのさ?」
「うー」
本格的に良雅くん父だぁ。
「どした?」
「岳が良雅くん父化した」
「……酒でも飲んだか?」
「飲まねーよ!」
あ、普通に突っ込んだ。
「何処が良雅くん父?」
「さっきまでそうだったんだよ~」
「ちゃーうもん、ちゃーうもん」
あ、またおかしくなった。
「良雅くん父ほどでは無いけど……変だな」
「ね?」
なっくんとはーちゃんにも見せたい。
「お帰り~」
「あ、母さん居たの?」
「あはは~。ぶっ飛ばすよ?」
怖い怖い怖い。
「ごめんなさい殴らないで」
ペコリ。
あら、治った?
「お詫びにふんどし奢るから」
治って無かった。
「いらねー」
「らね~」
「ね~」
ザ・木霊。
それはともかく。
「岳どうしたの~?」
「プールで疲れたの~」
「んで酔ったのー」
岳、自分で認めた……。
「ベットへゴ―」
「ゴーゴー」
「早く行きなさい~」
「アイアイサー」
ごん
あ、壁に頭ぶつけた。
どたっ
あ、階段に躓いてこけた。
「なぜだー」
前をちゃんと見てないからだと思います。
がん
「ぎゃぁあああああああっ!」
あ、足の指ぶつけた。
小指じゃなくても痛いよね。
「何かすぅっげー階段に喧嘩売られてる気がするからもうここで寝る」
「邪魔だからやめろ」
「えー、じゃあにーちゃん運んで」
「絶対やだ」
絶対までつけなくても。
「んじゃねーちゃん」
「体格的に無理」
もう岳ってあたしと十センチも変わらないしー……。
何か行ってて腹立ってきた。
「と言う訳で、てぃ」
「痛っ!? 何で!?」
「イラッて来たから」
「なーんでなんで、なーんでなんで」
「もっかい蹴ったろか」
「ご勘弁を」
じゃあさっさと酔いから覚めなさい。