181 プールでもやるよ
「修也!」
「……?」
「どっちが長く潜ってられるか競争な!」
「ガキ」
「あ゛ぁ゛!?」
岳だ。ガキではない!
「何でいきなり潜り競争なんだよ」
「んじゃいつも通り追っかけっこで。よーいどん」
潜る。逃げる。
さーって。どこに逃げたら捕まりにくいかなーっと。
やっぱ人の多い所だよな。
後はでっかいビート版の下に潜るとか。
お、でっかいビート版めっけ。上に一人のって、二人で引っ張っ……って、あれ?
光たちじゃね?
「怖いよっ! ひーちゃんはーちゃん戻してよぅ!」
美代が壊れてる……。
「ダメ~! 水になれないと~」
「そうだよっ! ほらほら、たのしーよー!」
こいつ等、鬼?
それとも思いやりのある優しい友人?
オレ的には前者に見える。
だって、二人とも無駄に笑ってるし。
「岳ッ!」
「修也ぁっ!?」
ヤベ。捕まるまでもう五メートルねーじゃん。
逃げないと。
翔、ナイスだ。教えてくれてどーもあんがと。
そーいや古閑いねーな。地区違うしなー。
さてさて。どう逃げよう。
「捕まえた……ッ! お前、泳ぐのは遅いな」
修也が速いんじゃねーの?
でもなんかムカつくから言い訳……。
「オレは武闘派なのっ!」
「……関係無くね?」
思いつきで言ったんだから関係なくてあたりめーだろ!
「何を威張ってるのか知らんが威張るな」
あた。ぶたれた。
「口には出してねーじゃん!」
「威張ってたのかよ!」
「知らずに殴ったのか!?」
「無論だ」
無論かよ!
「テメーこそ威張ってんじゃねぇっ!」
喧嘩だ喧嘩!
流石に顔面殴ったら(だって水から顔と肩くらいしか出てないし)まずいかなーと言う訳で、オレは必殺奥義。水鉄砲を使う!
……必殺奥義ってついた割にショボ。とか思った奴!
これだって結構強ぇんだからな!
目なんかに入ったらしばらく反撃不能なんだからなっ!
そんな都合よく入るか? オレを舐めんな。コントロールには自信がある!
「とりゃ」
「フン」
あぁっ!? ずっこい! 水ん中潜りやがった!
「こら修……ゴボッ」
足払いすんなぁっ!
あぁもう、プールとか海って嫌い!
自由に身動きとれねーもん。
人間は陸で生活する生き物だっ!
魚捕るときゃ釣竿使うの!
「プハッ!」
「ほんっとに水ん中だと遅いな」
「テメー水泳でもやってたんじゃねーの?」
「ちょっとしかしてねぇよ」
してたんじゃねーか!
「キャッ! 修也君カッコいっ」
「何この漫画的展開」
「知らん」
「知っとけよ。自分の事くらい」
あれ、何かさっきの言った女子、隣の子に何か言われてる。
何々?
「あれのどこがいいんだか」
オレも思う。激しく。