180 頭が頭が
「明日は日曜日!」
「119番~。救急車~」
凛、いきなりその反応は何だ。
吾輩は父である。
名前はまだ無い。……酷くね?
「お袋、ボタン今間違えた。110番押しただろ」
「あは~、間違えた~」
「本気で通報するな!」
「冗談だよ~」
冗談で通報しないでほしい。
「で、何があった?」
「明日は日曜日!」
「お袋、やっぱ通報しよう」
こら純!
「ほいな~」
ほいなじゃなぁいっ!
「何でそんな反応ばかりする!?」
「明日は木曜日だし」
「日曜日はもうちょっと先だし~」
日曜日であってほしいから日曜日と叫んでみただけだろう。
「…………純、何をしている?」
「こうすれば頭も冷えるだろ」
「首に直接氷を当てる奴があるかっ!」
冷たいから気持ちいい。と言う前に何だか痛い。
「保冷剤だよ。貴重な氷をわざわざ使うもんか」
皆が使うからすぐ減るもんなー。氷。
「何か馬鹿にされた気が……」
「気のせい気のせい」
そうかなぁ……。
「お袋、冷却ジェルシートってあったっけ」
絶対馬鹿にしてる!
「残念ながら~」
残念じゃねぇよ。
「……あ、氷嚢ならあったんじゃないかな~」
本気で探しに行かない!
「氷嚢何て家で見たことねぇんだけど」
「うん。無いな。ところでいい加減保冷剤どけて」
「ヤ」
ヤじゃなくて。
「無かったよ~」
『やっぱり』
「代わりに湯たんぽなら見つけたよ~」
「温めてどうすんだよ」
「冷やしてどうすんだよ、と言いたいけどねお前の親父は」
いい加減冷たさで頭が痛いんだけっども?
「で、頭覚めたか? 明日は木曜日であって日曜日じゃねぇの。おけ?」
おけ? って数年ぶりに純の口から聞いたなぁ……。
「日曜日であってほしいなと言う切ない願いにこんな突っ込みをしなくてもいいと思うんだけどね」
「まだ覚めてねぇのかな。目に保冷剤突っ込んでやろうか」
「やめんか!」
痛いから!
「はふぅ~。おはよ~」
忍、いきなり入ってきてトンデモナイ事言わないでくれ。
「まだ日付も変わってねぇから」
「おはよ~。早く寝なさ~い」
「んー? にぃやんまだ起きてるの?」
にぃやん? 初めて聞く言葉だ。
「何の夢を見てたのか激しく気になるけどとっとと寝ろ」
気になるんだ。うん。おとーさんも気になる。
「んー、残念ながら目が覚めた。と言う訳で純兄何か相手して」
「数独するか。競争で」
「絶対負けるじゃん。あたし」
「囲碁」
「ルール知らない」
「俺も知らん」
なら言うなよ。
「親父の頭の矯正」
「よしやろう」
おいこら。矯正するようなとこなんか無いよ。
「で、どこがおかしくなったの? どこのネジが飛んだ?」
ネジが飛んだとか言うな!
「おとーさん。明日は何曜日?」
「日曜「純兄どうやって強制し」って言いたいけど! 木曜日!」
ところで忍。
どこから話聞いてた?